「 ナショナルカリキュラム」とは?
連載4回目は、スウェーデンの「ナショナルカリキュラム(以下、カリキュラム)」を紹介します。スウェーデンでは、プレスクールは「学校」という位置づけになり、「Läroplan」と呼ばれるカリキュラムがあります。これは日本の「幼稚園教育要領(他2つの指針・要領含む)」にあたり、幼児期にどんな価値観に基づき、どんな方針で教育を行っていくのかが記されています。日本では2018年に改訂されましたが、スウェーデンもまた2019年の7月に新カリキュラムが施行されたところです。
根底に流れる人権保護と民主主義の考え方
カリキュラムのベースには、スウェーデンが大事にする人権保護と民主主義があります。特に男女の平等は、保育士養成コースの学習の中でも何度も出てくるトピックです。男女に分けて活動することも、色を分けることも、「男の子だから」「女の子だから」という理由で子どもに大人の価値観を押しつけることも絶対にありません。社会全体に男女平等が定着しているため、私の職場ではとりわけ意識することもない、というのが現状というくらい徹底されている様子が伺えます。そして、幼児期における教育とは何なのか? スウェーデンは「生涯学習の基礎を築く」と考えています。これは、プレスクールでの教育は小学校以上の教科学習の先取りではなくて、人生全体を通して学んでいく態度や、身の回りの世界を知り、次の知識へとつなげていくためのもの、と私は解釈しています。
日本の「幼稚園教育要領」との共通点
日本の「幼稚園教育要領」では、幼児期の教育を「人格形成の基礎を培うこと」と位置づけています。言葉こそ違いますが、その根底に流れているものは同じように感じます。幼児期は人格であれ、学習であれ、基礎を築く時期であり、教育を通して社会の一員として生きていくための基本的なことを学んでいく時期だということです。
次回は、このカリキュラムをもう少し深掘りしていきたいと思います。

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