最近の夏は、気温が高すぎて外に出ることが危険な日が増えています。夏の猛暑をどう乗り切るか、対策に頭を抱えている園も多いのではないでしょうか。
先日、園長先生たちと話していた時、話題に上がりました。
- 散歩に出かけたいが、公園までの道のりが暑すぎる
- 外遊びをしたいが、園庭の樹木が低く日陰が少ない
- 公園の木陰は涼しいが、夏は蚊が多い
外遊びができない理由を探せば、いくらでも見つかります。冷房の効いた部屋で保育をすれば、熱中症などの心配はなくなるでしょう。
しかしそれでは、外遊びの中で出会う生き物や日々変化する自然、五感が刺激される豊かな体験の機会を子どもたちから奪うことにもなりかねません。できる限り自然体験の機会を増やす方法を、大人が知恵を絞りながら進めて行くことも必要だと思っています。
以前、都心部で自然を活用した保育を行なっていた時のことです。保育園から公園までは、アスファルトの道を10〜15分歩かなければなりませんでした。少しでも日陰が多い道を探して遠回りしたり、街路樹がある道を選んで歩いたりと、夏の暑い日は試行錯誤しながら散歩コースを決めていました。
ある夏の日のことです。
その日は、池がある少し遠い公園まで行こうと子どもたちと話し合って決めました。遠い場所だったので、日陰が多い遠回りの道ではなく、最短の日差しが強く暑い道のりを選びました。こまめに水分補給をしながら、子どもたちの顔色の変化に注意し、道路脇の家の屋根の下で涼ませてもらったり、時々私が持っていた水を子どもたちの頭や首筋にかけたりしながら歩きました。
汗だくで歩いていた子どもたちでしたが、目的地の公園に行きたい一心で頑張っていました。そして、やっと樹木の多い公園に辿り着くと、
「うわぁ〜すずし〜!」
と、子どもたちは声をあげながら、次々にリュックを下ろし、水筒の水をガブガブと飲み、木陰で涼み始めました。私も思わず「涼し〜い!」と声をあげながらリュックを下ろし、子どもたちと一緒に木陰に座り、その涼しさを味わいました。
「きのしたはすずしいんだよ!」
ひとりの女の子が、私に言いました。
日向の暑さを体験しているからこそ、木陰が涼しいという感覚を体験的に持っているのです。こうした暑さの体験も、子ども自身が自分の体の感覚を知る機会になっているのでしょう。
強い日差しのリスクはこれから益々高くなってくるでしょう。その中で、外遊びを止めてしまうことは簡単です。でも、どうしたら子どもたちが戸外での遊びを体験できるか、どうしたらそれが可能になるのかを、みんなでアイディアを出し合っていくことが大切だと思います。
大人が頭を柔らかくして発想の転換をしながら、「ああしたらどうか」「こうしたらどうか」と、面白がって試行錯誤できたらいいですね。
【ほか自然体験に関するおすすめ記事はこちら】