紅葉から落葉にかけてのシーズン、子どもたちと自然の中で過ごす時間は、とても穏やかで豊かです。
大きなイチョウの樹が風に吹かれた瞬間、黄色い葉が一斉にパラパラと舞い落ちます。その葉をつかまえようとして、両手を広げ、宙を掴みながら葉を追いかける子どもたちの姿。

その姿は陽の光に照らされ、まるで映画のワンシーンのような光景です。
ぽかぽかと暖かな陽の光を浴びながら子どもたちと一緒に過ごす、穏やかで優しい時間の流れを感じる保育は、大人も子どもも心地よいひとときです。
先日、保育園の0~1歳児クラスと一緒に、広い公園へ行った時のことです。その公園の周囲の木々はほとんど葉を落とし、緩やかな起伏のある広場でした。
子どもたちは、木の破片や枝を拾い集めたり、落ち葉を拾ってその感触を手で味わってみたり、起伏のある原っぱを走りまわっていたり…と、それぞれの興味で夢中になって遊んでいました。
保育者も子どもたちと一緒に葉っぱに触れてみるなど、子どもたちの遊んでいる様子を傍でそっと見守っていました。
すると一人の女の子が、広場の中心で「みて〜!」と、公園の端の方にいた保育者に呼びかけました。その声は、澄んだ青空に吸い込まれるかのように、心地よい響きとなりました。
その時の全体の光景は、静かで穏やかだけれど、子どもたちはそれぞれ遊び込んでいて、保育者もその風景の中に自然に溶け込んでいました。
そして、その女の子の透き通った声が、まっすぐに公園の端にいる保育者へと届きました。
まわりにいた保育者の声は穏やかでほとんど聞こえず、遊びに没頭している子どもたちも、大きな声を発することはほとんどありませんでした。周囲の保育者の声が大きかったら、女の子の呼びかけはかき消されてしまっていたでしょう。
保育者が穏やかである時、子どもたちも落ち着いて過ごすことができます。保育者が柔らかなあり方の時、伸びやかな子どもの声が響きます。
こんな穏やかな雰囲気の中で育まれた子どもたちは、優しい雰囲気をまとう人に育つのではないでしょうか。
冬だからこそ、陽の暖かさをより一層感じ、穏やかで優しい時間の流れを体験できるのかもしれません。
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