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子どもたちの声が響いていますか?保育者が大切にしたい“穏やかな時間”

青空の下で遊んでいる子ども
自然の中での保育を専門にしている野村直子さんによる、「子ども」と「自然」をテーマにした連載。冬晴れの日にふと感じた、保育者と子どもたちの間に流れる“穏やかな時間”のエピソードを紹介してくれました。

紅葉から落葉にかけてのシーズン、子どもたちと自然の中で過ごす時間は、とても穏やかで豊かです。

大きなイチョウの樹が風に吹かれた瞬間、黄色い葉が一斉にパラパラと舞い落ちます。その葉をつかまえようとして、両手を広げ、宙を掴みながら葉を追いかける子どもたちの姿。
 
イチョウの葉を持っている子ども

その姿は陽の光に照らされ、まるで映画のワンシーンのような光景です。

ぽかぽかと暖かな陽の光を浴びながら子どもたちと一緒に過ごす、穏やかで優しい時間の流れを感じる保育は、大人も子どもも心地よいひとときです。




先日、保育園の0~1歳児クラスと一緒に、広い公園へ行った時のことです。その公園の周囲の木々はほとんど葉を落とし、緩やかな起伏のある広場でした。

子どもたちは、木の破片や枝を拾い集めたり、落ち葉を拾ってその感触を手で味わってみたり、起伏のある原っぱを走りまわっていたり…と、それぞれの興味で夢中になって遊んでいました。

保育者も子どもたちと一緒に葉っぱに触れてみるなど、子どもたちの遊んでいる様子を傍でそっと見守っていました。

すると一人の女の子が、広場の中心で「みて〜!」と、公園の端の方にいた保育者に呼びかけました。その声は、澄んだ青空に吸い込まれるかのように、心地よい響きとなりました。

その時の全体の光景は、静かで穏やかだけれど、子どもたちはそれぞれ遊び込んでいて、保育者もその風景の中に自然に溶け込んでいました。

そして、その女の子の透き通った声が、まっすぐに公園の端にいる保育者へと届きました。

まわりにいた保育者の声は穏やかでほとんど聞こえず、遊びに没頭している子どもたちも、大きな声を発することはほとんどありませんでした。周囲の保育者の声が大きかったら、女の子の呼びかけはかき消されてしまっていたでしょう。

保育者が穏やかである時、子どもたちも落ち着いて過ごすことができます。保育者が柔らかなあり方の時、伸びやかな子どもの声が響きます。

こんな穏やかな雰囲気の中で育まれた子どもたちは、優しい雰囲気をまとう人に育つのではないでしょうか。

冬だからこそ、陽の暖かさをより一層感じ、穏やかで優しい時間の流れを体験できるのかもしれません。

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野村直子(のむら なおこ)

この記事を書いた人

野村直子(のむら なおこ)

「子ども」と「自然」をキーワードに国内外での保育と自然体験活動などの経験を重ね、 “森のようちえん”という自然保育の活動に関わる。小規模保育室園長を経て、現在は新しい視点で子育ての質を伝えて行くため『new education LittleTree』代表として研修事業をメインに活動中。
<ホームページ>
https://www.new-edulittletree.com/

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