男女平等が進んでいるスウェーデン
スウェーデンといえば「男女平等が進んだ社会」と捉えている方も多いのではないでしょうか? これは男女格差が少ない国ランキングで常に上位5位以内にランクインしていること、男性が育児休暇を取ることが一般的になっていることからも伺えます。このようなスウェーデン社会の中にあるプレスクールでは、男女平等社会に対してどのように取り組んでいるのでしょうか?
プレスクールの現場では
私が保育士として働き始めて驚いたことは、保育士が意図して男女を分けることが全くないことです。環境面ではロッカー、下駄箱の位置、食器やその他備品の色、玩具といったあらゆる面で性別による区別をつけていません。さらに活動中も、グループ分けや造形活動に使う素材の色を男女別に用意することはありません。そのため園の中では、男女という区別を全く感じません。
ただこれは、子どもたちの性認識を否定する(遅らせる)ものではありません。2歳半頃から子どもたちの多くが、自分の性別を認識しています。それは生物学的な性別であり、そのことによって社会的に分けられることがないよう取り組んでいるのです。
「ジェンダー・ステレオタイプ」を作らない意識の徹底
ここまで徹底しているのは、プレスクールの任務として「ジェンダー・ステレオタイプ」を作らない、ということが挙げられるでしょう。ジェンダー・ステレオタイプとは、「男の子は青、女の子はピンク」のような社会によって作られた先入観や価値観のことをいいます。そしてそれらによって「男らしさ、女らしさ」といった性別役割を植えつけないようにしています。
さらにスウェーデンは「差別禁止法」という法律の中で、性別、性アイデンティティ、性的指向、宗教、民族、障害、年齢において直接的、間接的にも差別することを禁じています。そして企業や組織単位で、これらの差別が起こらないように普段から啓蒙活動が行われています。
例えば、男児がマニキュアをしてきて、それを保育士に見せてくれた場面では「男の子なのに?」とは絶対に言わないし、「ママに塗ってもらったの?」とも聞きません。
かといって、「私はピンクが好き」と公言する女の子に対して、否定することはありません。ただし、もしこれを男の子が発言し、周りの子どもたちが「男の子なのにピンクが好きなの?」という冷やかしを始めた場合には注意します。
保育士側はこのようにニュートラルに子どもたちに日々接しており、それは小学校以上も続きます(ただし小学校以上では男女別の更衣室はあります)。
最後に、スウェーデンは子どもたちが接する社会は全てジェンダーフリーな環境であることを目指しています。決してプレスクールの中だけで完結しているものではありません。それが男女平等社会に最も近い国を造っている理由だと言えます。
▼その他の関連記事↓