プレスクールの4月は保護者面談の時期
道端にクロッカスやすみれが咲き始め、春の訪れを感じるスウェーデンの4月。日本では新年度の始まりですが、スウェーデンは春学期の後半に入ったところです。この時期のプレスクールの行事といえば、保護者面談。そこで、今回はスウェーデンの保護者面談の様子をお伝えします。 スウェーデンのプレスクールを含めた学校全ては、12月までを秋学期、1月から6月までを春学期としています。そのため、8月が新年度の始まりになります。
スウェーデンでは、保護者面談は年に最低1回以上行うことになっており、ほとんどのプレスクールが年に2回、各学期に1回ずつ開催しています。この面談は「Utvecklingssamtal(ウートベックリングスサムタール)」と呼ばれ、直訳すると「発達面談」になります。
この「発達面談」は担任の保育士と保護者が約30分間、園での子どもの発達や学習、家での様子について話し合います。小学校以上のように到達目標があるわけではないので、発達や学習の度合を評価するものではありません。
プレスクールごとに面談で聞くこと・話すことの“面談の準備用テンプレート”を持っていて、保育士はそれに沿って園での様子を事前にまとめておきます。
三つに分かれている面談の項目
私の園では、“面談の準備用テンプレート”の項目が、カリキュラムに沿って大きく三つに分かれています。「スウェーデン保育から幼児教育へ」(白石敏江著)から言葉を引用すると、「規範と価値観」「成長と学び」「子どもによる影響」の項目になります。著者:白石 淑江
出版社:かもがわ出版
発売日:2009/3/1
●面談での「規範と価値観」の項目
子どもの社会化がテーマになっており、スウェーデンが大切にする価値観「民主主義」の基礎となる他者への尊敬の念、思いやりや責任感と社会の規範を理解することなどが含まれます。
●面談での「成長と学び」
学びへの取り組みや興味、関心について話します。
●面談での「子どもによる影響」
子どもがプレスクールの環境や活動の計画にどれだけ影響力を持っているかを伝える項目です。この項目はスウェーデン特有だと感じますが、子どもの権利の発言権を意識した項目だといえます。
この3つの項目に対して、現状と今まさに発達していること、これから取り組んでいくことに整理されたテンプレートになっています。そして、保育士はこのテンプレートに沿って、面接の事前準備をします。
面談の準備の進め方
多くの園ではクラスに約3人の保育士が付いていて、日ごろから、子ども一人ひとりの担当者を決めており、その保育士が面談も対応します。ただし、面談はプレスクールの開園時間内で設定をします。保護者は時間を調整することに理解があるので、園側が親の都合に合わせて残業したり、土曜出勤したりすることは一切ありません。
新型コロナウイルスのパンデミック以降は、室内で開催をせず野外で行ったり、電話で開催したりと、実施方法も柔軟に対応できるようになりました。
私もこの春学期は、6人の子どもの面談をすることになりました。面談を担当することは、準備も含めてプレッシャーのかかることですが、ステップアップのチャンスと捉えていきたいと思っています。
次回は、面談で実際にあったケースや、私が工夫したことなどをご紹介したいと思います。
※2021年6月25日に公開予定です。
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