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汐見稔幸先生が語る“ポストコロナ時代”の保育現場の未来

ポストコロナの保育現場について語る汐見稔幸先生
2023年5月に新型コロナウイルスの感染症区分が5類に移行となり、「コロナ禍」は一つのターニングポイントを迎えました。保育現場ではこの間、感染対策と並行する形で業務のたな卸しや進め方の見直し、ICT化が否応なしに進みました。このような経験を経て迎えた“ポストコロナ時代”。保育現場はどう変化していくのでしょうか? 今回は、そんな気になるテーマについて東京大学名誉教授の汐見稔幸先生に伺いました。

 ポストコロナの入り口を迎えた2023年

「POST CORONA」と書かれた積み木
2023年(令和5年)を振り返ると、3月にマスク着用義務が撤廃され、続く5月には新型コロナウイルスの感染症区分が2類から5類に移行されました。2020年4月の緊急事態宣言からまる3年間続いた「コロナ禍」という観点からは、一つの区切り・ターニングポイントを迎えた年となりました。

コロナ過の3年間、保育現場では感染対策に追われる一方で、限られた人員で運営を続けていくための試行錯誤が繰り返されました。業務効率を高めていくために、保育に関わるさまざまな業務がたな卸しされ、進め方の見直しが行われました。また、登降園管理を始めとした管理システムや保護者とのコミュニケーションツール、午睡チェッカー、非接触型の体温計などまで、実に多くのICTサービスがそれまで以上の速さで導入されました。

このような経験を経てポストコロナ(アフターコロナ)時代の入り口に立った保育者たちは、何を考え、どう取り組んでいけば良いのでしょうか? コロナ過が残した影響と、コロナ禍が生み出した副産物を一つひとつ検証し、次の時代に何を考えていくタイミングなのではないでしょうか。

そこで今回は、東京大学名誉教授の汐見稔幸先生に、『ポストコロナ時代の保育現場の未来』というテーマでお話を伺いました。

コロナ禍が保育現場にもたらした影響

保育に関する取材を受ける汐見稔幸先生

コロナ禍の保育現場では先生のマスク着用を始め、子どもたちが密になるのを避ける活動や行事の中止・縮小、保護者が保育室に入るのを制限するといったことが行われていました。こういった変化がもたらした影響についてどのように捉えていらっしゃいますか?


初めての体験でデータが無かったこともあり、国も行政もかなり悩んだと思います。「大人がマスクで防衛しなければいけないのであれば、子どももそうすべきでは」というように、当初は大人と子どもを区別しない対応をずっとやっていました。

いろいろな育ちをどん欲にしなきゃいけない時期の子どもたちが、「外に出てはいけません」「すぐ触ってはいけません」という形で規制をかけられてしまう。それが子どもの育ちにちょっとネガティブな影響を与えてしまうんじゃないかということに対しては、もう少し慎重に議論すべきだったと感じています。

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