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保育園の保健計画を解説|内容とクラス運営への活かし方

保健をイメージしたハートに白十字の木製オブジェ
保育園で作成している「保健計画」。子どもたちの健康を支えるために必要な事項が書かれています。計画をクラス運営に活かして、子どもたちの生き生きとした生活を保証していきたいですね。今回は、保健計画について解説します。

保健計画とは

2008年(平成20年)の保育所保育指針改定から「保健計画」の作成が明記されるようになりました。保育士に限らず、園の全職員が保健計画の内容を共通理解し、子どもの健康を守っていくことが求められています。ここからは「保健計画」について解説していきます。

保健計画の目的

計画をイメージさせる「PLAN」と書かれた積み木
保健計画を作成する目的は「一人一人の子どもの健康の保持及び増進」です。

保育所保育指針の第3章にも以下のように明記されています。
子どもの健康に関する保健計画を全体的な計画に基づいて作成し、全職員がそのねらいや内容を踏まえ、一人一人の子どもの健康の保持及び増進に努めていくこと。
出典:保育所保育指針(平成29年告示)/こども家庭庁 >>詳細はこちら

保育園は集団生活の場です。子ども一人一人の健康を守ると共に、保育園全体の健康を守ることも大切です。同時に、基本的な生活習慣を獲得していく中で、子ども自身が自らの身体や健康に関する力を身につけていくことも求められています。

「子ども一人一人」そして「集団」の健康を守り、健康でいるための力を育てていくためには、年間を見通して計画的に保健活動を取り入れていく必要があります。全職員が共通理解の下、役割分担し、協力体制をとって保育を行うためにも、保健計画は重要な役割を果たします。

保健計画の概要

かけっこで遊ぶ子どもたち
保健計画は、全体的な計画に基づいて作成します。様式に定めはありませんが、主に以下のような項目で書かれています。

【保健計画の項目】
  • 年間目標
  • ねらい
  • 行事・活動
  • 留意点・保育士の配慮
  • 環境構成
  • 保護者との連携
一年を季節(期)ごとに分けて年間計画を立てる園もあれば、月ごとの計画を立てる園もあります。また、園全体としての計画を立てる場合もあれば、クラス別のねらいを立てる場合もあります。

保健計画の作成者については、特に定めがありません。看護師や保健師が配置されている場合は、その専門性を活かして保健計画の作成にあたることができます。看護師がいない園では、保育士等キャリアアップ研修で「保健衛生・安全対策」の分野を学んだ専門リーダーもしくは職務分野別リーダーが担当することが望ましいでしょう。

保健計画の内容

保健計画を生かすためには、内容を把握しておくことが大切です。一般的に記載されている内容についてご紹介します。

​​子どもの発育・発達状態の把握

歯科検診を受ける女の子
子どもたちの健康を守るために、まずは子どもの発育や発達の状態を把握する必要があります。園では定期的な身体測定を行うと共に、嘱託医との連携の下、内科診断や歯科検診などの定期検診を計画している園が多いです。

健康増進

洗面所で手洗いをする女の子
子どもが自分の身体をウイルスや細菌から守るためにも、手洗いやうがいの習慣をつけることが大切です。また、抵抗力を養うために薄着の習慣をつけたり、遊びを通して体力をつけたりするなど、健康増進のための計画が考えられている場合が多いです。

疾病への対応

体温計と赤ちゃん
乳幼児は病原菌に対する抵抗力が弱い上に、集団の場では子ども同士の接触が多くなるため、感染症に罹りやすい傾向にあります。集団での感染拡大を防ぐため、疾病の早期発見や蔓延予防の対策が計画に含まれていることが多いです。

保護者との連携

保護者には健康診断の結果を報告するだけでなく、疾病の特徴や看病の仕方、健康的な生活の在り方などを伝えていく必要があります。定期的な保健だよりの発行や保護者会の開催を計画し、子どもの健康について保護者と連携を図っている園も多いです。

クラス運営にどう生かす?

保健計画は実践に移してこそ意味があります。適切に環境を整え、子どもの健康を守っていきたいですね。ここからは保健計画をクラス運営に活用する方法についてご紹介します。

月案の作成

ノートパソコンで事務作業をする保育士
月案を作成する際に保健計画を有効活用しましょう。保健計画には、時期ごとに確認が必要な事項を記載しているので、取り入れた方が良い活動や、必要な配慮を確認することができます。疾病の予防や健康づくりは事前の取り組みが重要なので、計画的に進めたいですね。

活動と環境構成

保健計画をもとにクラス活動と環境構成を考えます。内科検診や歯科検診などの年間に組み込まれた行事だけでなく、手洗い指導やうがい指導など、季節や子どもの発達に合わせた活動も忘れずに取り入れていきたいですね。保健計画を確認することで「感染症が流行る前に、手洗い指導を入れよう」と活動計画を立てることができます。手洗い手順をイラストで描いて貼るなど、活動に合わせて子どもが主体的に行動できる環境設定にも生かしていきたいですね。

保護者との連携

お迎えに来た保護者と話をする保育士
保護者との連携に保健計画を活用していきましょう。子どもの健康を守る上で保護者の協力は欠かせません。疲れやすい夏場は家庭で十分に休息をとってもらったり、寒くなる冬場は厚着になりすぎないよう衣服を準備してもらったり、日々のやりとりの中で伝えていくこともたくさんあります。こまめに保健計画を確認しながら、家庭との連携を図り、子どもの健康を守っていきたいですね。

保健計画を保育に生かそう

保育園では、子どもの健康を守り、子ども自身が健康に過ごすための力を身につけていくことが求められています。保健計画を見直して、保育の中で大切にしていくことを確認していきましょう。これから月案を作成する方は、参考にしてみてください。

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佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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