保育士の自己評価とは

第1章 総則 > 3保育の計画及び評価 > (4)保育内容等の評価 > ア 保育士等の自己評価
(ア)保育士等は、保育の計画や保育の記録を通して、自らの保育実践を振り返り、自己評価することを通して、その専門性の向上や保育実践の改善に努めなければならない。 (イ)保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。 (ウ)保育士等は、自己評価における自らの保育実践の振り返りや職員相互の話し合い等を通じて、専門性の向上及び保育の質の向上のための課題を明確にするとともに、保育所全体の保育の内容に関する認識を深めること。 |
このように、保育士の自己評価は、「保育の質の確保・向上」を目的として行います。
具体的には、自己評価を行うときは、日々の保育を客観的に振り返ります。そうすることで自身の保育の良さや課題が浮き彫りになり、改善点が明確になってきます。その結果を基に自分の目標や保育計画を見直し、実践を繰り返していくことで専門性が向上し、保育の質を高めていくことに繋がります。
自己評価は、定期的に自分の保育を振り返る役割を担っているとも言えるでしょう。
評価の観点や項目は園ごとに設けられます。「保育所における自己評価ガイドライン」には、参考として以下のような観点が挙げられています。
【評価の観点】
- 保育の基本的理念と実践に係る観点
- 家庭及び地域社会との連携や子育て支援に係る観点
- 保育の実施運営・体制全般に係る観点
これらは互いに密接に関連し合い、全体として保育の質を構成する要素になっています。
自己評価の流れとポイント

一般的に、自己評価は以下のようなサイクルで行われます。
- 目標設定→実践→自己評価→改善→目標設定…(以下繰り返し)
ポイントは、設定した目標に対してどれくらい達成できているのかを自ら振り返ること。その上で課題点を明確にし、改善策を考え、再び目標設定を行います。
このように、目標設定から改善までを循環的に繰り返すことにより、保育者として継続的に成長を遂げていくことが期待できるでしょう。
キャリア・役職別のポイントと例文
自己評価の内容は、キャリアや役職によって異なります。立場が変われば、園が求める役割も変化するためです。ここからは、立場別に自己評価のポイントと例文を見ていきましょう。新人保育士

学ぶ意識を持って先輩保育士を観察したり、質問したりする姿勢も大切です。
【例文】
- 社会人として、報告・連絡・相談を意識しながら仕事に臨むことができた
- 側にいる子どもにばかり意識が向いてしまい、クラス全体への視点が欠けていた
職務分野別リーダー
職務分野別リーダーは3年以上の実務経験があり、保育士等キャリアアップ研修を受講しています。研修で学んだことを保育と結びつけ、主体的に実践していくことが求められています。中堅保育士として、後輩のモデルであるという意識も大切です。
【例文】
- 研修で学んだことを活かしながら、積極的に実践へ移すことができた
- 自分の役割外まで意識を向けることができず、柔軟性に欠けていた
専門リーダー

ベテラン保育士として、保育だけでなく、後輩保育士の育成にも視野を広げていくことが求められています。
【例文】
- 保護者の話に耳を傾け、誠意を持って応答することができた
- クラスや園の運営について、後輩へ伝えていく機会をあまり作ることができなかった
副主任

保育士と管理職とのパイプ役となり、情報の共有や報告、相談を適宜行うことも必要です。
【例文】
- 園の状況を把握し、フリー保育士を適切に配置することができた
- 適切なタイミングで担任保育士に助言や指導を行うことができなかった
管理職(園長・主任)

管理職は園の中だけでなく、外部の機関とも連携を図りながら、円滑に運営を継続できるよう調整していく役割があります。
【例文】
- 園全体の情報を収集し、早期の問題解決に向けて行動することができた
- 保育者の頑張っている姿を認め、労う機会をあまり持つことができなかった
自己評価で保育の質を高めよう
自己評価をきちんと行うことで、自らの行動や考え方を見つめ直すことができるようになります。保育者としてより質の高い実践へ結び付けることができるよう、丁寧に振り返りを行っていきたいですね。自己評価を行う時には、参考にしてみてくださいね。
【関連記事】
