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子どもの『微細運動』を解説|発達の目安・環境構成・注意点

ハサミで画用紙を切り出している女の子
私たち人間は、ご飯を食べる時も、着替えをする時も、手や指を使いますよね。この手指の動きを「微細運動」と言い、日常生活を送る上で必要な働きとなります。今回は、子どもたちの微細運動の発達と保育をする上で気を付けたいポイントについてご紹介します。

微細運動とは

積み木遊びをしている子どもの手元
私たちは普段から、「歩こう」「つかもう」という意志に従ってさまざまな動きを行っています。このように、自分の意志で身体を動かすことを「随意運動」と言います。

この随意運動には、「粗大運動」と「微細運動」の2つがあります。
  • 粗大運動→立つ、座る、歩くなどの身体全体を使った動き
  • 微細運動→持つ、にぎる、つまむなどの手や指を使った動き
いずれも生活の中で必要になってくる基本的な動作ですが、保育者が子どもたちの成長を見守っていく上で、「粗大運動」「微細運動」のそれぞれの発達過程でどんな姿が見られるかを知っておくことも重要です。今回は、このうち「微細運動」について見ていきましょう。

生後3〜4カ月頃に手掌把握反射(※)が消失すると、赤ちゃんは自分の意志で手を開いたり、握ったりできるようになります。

そして徐々に手首や指で細かな動きができるようになり、なめらかに動かせるようになっていきます。

「手を使うことで脳が発達する」とも言われていますので、子どもの興味関心に合わせた玩具を準備しておくことで、積極的に手指を動かせる環境を作りたいですね。
※手掌把握反射(しゅしょうはあくはんしゃ)は、新生児期に見られる原始反射の一つで、手のひらに何かが振れると反射的に握ろうとする動きのこと。足裏についても同様の動きが見られる。


発達の目安と関わり方のポイント

ここからは微細運動の目安と発達を促すポイントを、年齢ごとに見てみましょう。

0歳児

積み木のおもちゃで遊ぶ小さい子ども
【0歳児の手の動き】
  • 握る
  • 叩く
  • つまむ
  • 物を出す
0歳児は腕や手を大きく動かしながら、物を掴んだり、叩いたりします。手で触って感覚を確かめる時期なので、さまざまな素材のおもちゃを用意しましょう。

0歳児前半では握りやすい玩具、後半では太鼓やお手玉などがおすすめです。

1歳児

ブロック遊びをしている女の子
【1歳児の手の動き】
  • めくる
  • 積む
  • はがす
  • スプーンやフォークを使う
1歳児は指で小さな物をつまんだり、積み木を重ねたりできるようになります。出し入れしたり、開閉したりすることが楽しい時期なので、いつでも玩具を手に取れる環境にしましょう。

1歳児では、ポットン落としやビジーボード、積み木などの玩具がおすすめです。

2歳児

自分の服のボタンを留めている子どもの手元
【2歳児の手の動き】
  • 紐を通す
  • 靴下を履く
  • 粘土をこねる
  • 人差し指と中指を立てる(指で2を作る)
2歳児になると協調運動(※)が発達し、左右の手で異なった動きができるようになってきます。着替えや食事も上手にできるようになってくるので、基本的生活習慣の自立が進みます。

さまざまな手指の動きを経験できるよう、ボタンかけやひも通し、道具を使ったおままごとなどの遊びがおすすめです。
※協調運動(きょうちょううんどう)は、右手と左手や、目と手、手と足など、身体の複数の部位を相互に調整しながら行う運動のこと。

3歳以上児

ハサミで画用紙に切れ込みを入れている女の子
【3歳以上児の手の動き】
  • 鉛筆を持つ
  • ハサミを使う
  • 絵を描く
  • 服をたたむ
3歳以上になるとより手先が器用になり、ハサミや鉛筆などの道具を使った遊びも楽しめるようになります。友だちの真似をしながら遊ぶことで、どんどん上達していく時期です。

さまざまな素材や道具を使った活動を取り入れ、手を動かすことを楽しむ経験を重ねていきたいですね。

微細運動を促す上での注意点

子どもたちの微細運動を促す上で気をつけたいポイントをご紹介します。

発達に合った玩具を準備する

子どもの発達に合った玩具を準備しましょう。難しすぎたり、逆に簡単すぎたりする玩具に子どもは興味を示しません。

少しだけ頑張ればできるレベルの遊びを用意することで、子どもの「やってみたい」という気持ちを育みます。子どもたちの興味関心を探りながら、遊びの環境を準備していきたいですね。

誤飲に注意する

小さな玩具や道具の取り扱いには十分注意しましょう。手指の動きがスムーズになってくると、より小さな素材を用いた遊びが微細運動を促しますが、一般的に4cm以下の物は誤飲に配慮する必要があります。

ビースなど細かいものを鼻や耳に詰める場合もあるので、子どもから目を離さないようにして遊びを見守りましょう。

子どもの動作に注目する

地面に落ちているドングリをつまみ上げようとしている子どもの手元
子どもたちが手指を使っている動作をよく観察してみましょう。

運動能力や運動発達には個人差がありますが、よく物を落としたり、道具がうまく扱えなかったりする場合、脳の機能障害による「発達性協調運動症」の可能性もあります。

繰り返し支援をしても動作にぎこちなさを感じる場合は、発達障害の可能性も視野に入れ、保護者と話し合いながら専門機関へ相談することも検討してみましょう。

 手を動かして遊べる環境を作ろう

あやとりをしている子どもの手元
子どもにとって手を動かすことは楽しい遊びであると同時に、指先の運動機能を高めていくための練習にもなります。保育園では子どもの発達や興味関心に合わせて、十分に手指を動かして遊べる環境を整えていきましょう。

クラスにどんな玩具を置こうか考えている方は、参考にしてみてください。

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佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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