子どもを叱ってもいいの?

叱るべき場面
子どもが安心して園生活を送るためにも、保育士はむやみに叱るべきではありません。ただし、「人として、してはいけないこと」をしている時には、叱る必要があります。この「人として、してはいけないこと」は、誰が聞いても納得のいくものでなくてはいけません。次のような目安を持っておきましょう。
【叱るべき場面は…】
- ケンカをする中で相手にケガをさせるような場合
- 大きなケガや事故など、健康や命に関わる場合
- 人を厳しい言葉で傷つける、人権に関わる場合
- 社会のルールやマナーを無視している場合
叱る前に考えること

【叱る前に考えること】
- 子どもの発達に合った環境だったか
- 子どもがなぜその行動をしたのか
- 保育士の感情はコントロールできているか
適切な環境の中で危険な行動をした際には、子どもの心の中を想像してみましょう。友だちを振り向かせようとして叩くのと、玩具を取られて叩くのでは、保育士がかける言葉が変わってきます。
そして、子どもに声をかける前に保育士自身が怒りや焦りの感情を持っていないか、確認しましょう。冷静さを保ち、子どもに伝える内容を整理してから対応することが重要です。
叱るときに気を付けたいこと/NG行動
叱るべき場面では、気を付けておきたいポイントがいくつかあります。ついついやってしまいがちなことばかりなので、再度確認してみましょう。感情的にならない

また、子どもに対してつい「いい加減にしなさい」という言葉を言ってしまうことがあるかもしれません。この言葉は怒りの感情から出るものであり、子どもと今向き合っている問題とは繋がりがない言葉であるため、使わないようにしましょう。
怒鳴らない
ついつい怒鳴ってしまう、大きな声を出してしまう…人間なら誰でもあり得ることですよね。しかし怒鳴ることで子どもが謝ったり、大人しくなるというのは恐怖心からくるもの。何がいけないのかという本質が分からないままになってしまいます。恐怖を与えたり、脅すような叱り方は避けましょう。
人格を否定しない

同じ行動を繰り返したとしても「いつかはできるようになる」と信じて子どもに接することが大切です。
恥をかかせない
子どもは4歳頃になると自意識が芽生え、周囲から自分がどう見られているのか気にするようになります。そのため、友だちの前で叱られることを恥ずかしいと感じることも。叱る目的は子どもの自尊心を傷つけることではありません。話をする環境にも気を配りたいですね。
無理に謝らせない

すぐに「ごめんね」が出てこなくても焦らず、何が問題なのかを一緒に考えてみましょう。
ポイントは“叱る”よりも“伝える”
子どもを叱る時、保育士さんが心に留めておいてほしいこと。それは、「叱る」だけではなく「伝える」ということです。ここからは、伝え方のポイントを見ていきましょう。子どもを落ち着かせる

理由を聞く
叱る前にまず、なぜそのような言動をとったのかという理由を聞きましょう。うまく言葉が出ないこともあるかもしれませんが、ゆっくりと子どもの言葉に向き合ってみてください。また、年齢によっては自分の言葉で伝えることが難しい場合もありますよね。そのような時は問いかけながら、子どもの気持ちを代弁してみましょう。
ポイントを明確にする
叱る時は、何について話をしているのか明確にしましょう。例えば「友だちを押すのは危ない」という話をしているのに、「玩具も投げたら危ないよね?」「友だちの話も聞かないとダメだよね?」とさまざまな角度から話をすると、子どもが混乱し、本来伝えたかった内容が伝わらない可能性があります。子どもが話すさまざまな理由は受け止める必要がありますが、保育士は伝える上でポイントがぶれないように気を付けましょう。
いけない理由を話す

この時、子どもとしっかり向き合い、目を見て話すようにすると、こちら側の気持ちも伝わりやすいですよ。
子どもと一緒に考える
「じゃあこうしようね」と保育士さんが答えを出すのではなく、「どうしたらいいと思う?」と、一緒に考えてみましょう。自分で考えるという経験を重ねることで、次に同じようなことが起きた時にどうすればいいのか、少しずつ自分で考えられるようになります。
否定しない
「いつもお友だちを叩いて困ったね」「なんでできないの?」など、子どもを否定するような言葉はNGです。何気なく言った一言でも、“否定された”という感覚は子どもたちの中に残ってしまいます。まずは一度子どもの気持ちを受け止めることも大切ですよ。褒めることも忘れずに

子どもと向き合う姿勢で
子どもを叱るときに大切なのは、向き合って伝えていくこと。自分が感情的になってしまっていると感じたら、他の保育士さんに対応を変わってもらうなどすることもひとつの手です。保育士さんの想いが子どもたちにも伝わるように、落ち着いて対応を考えてみてくださいね。
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