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異年齢保育の環境構成を解説|ポイント・必要な配慮・具体例

小さい子どもと遊んでいる女の子
保育園やこども園によっては、異年齢保育を取り入れているところがあります。発達の異なる子どもたちが一緒に過ごすことで育まれる力にメリットを感じる一方で、進め方に難しさを感じている保育士さんも多いのではないでしょうか。そこで今回は、異年齢保育の環境構成やポイントについて解説します。

異年齢保育とは

小さい子の手を引いて歩いている女の子
異年齢保育とは、異なる年齢の子どもたちが一緒に生活をしたり、遊んだりする保育体制のことです。「縦割り保育」「混合保育」「異年齢児保育」と呼ばれることもあります。

日中は年齢別保育で、早朝や夕方など一部の時間だけ異年齢保育を行っている園もあれば、クラス自体が縦割り保育で、1日を通して異年齢で生活している園もあります。

異年齢保育を導入する場合は、ねらいを持って実施することが必要です。指導案に書くねらいとして、次のようなものが挙げられます。
  • 子ども同士の関わりの幅を広げる
  • 年上の子の真似をして、自分もやってみようとする
  • 年下の子のお世話をして、思いやりの心を育む
  • さまざまな年齢の子ども同士が関わることで、社会性や協調性を育む
異年齢の子ども同士の関わりが生まれることで、ねらいのような力が育まれるメリットはありますが、一方で「どの発達に合わせた保育を行えば良いのか?」という迷いが生じることも。

このような迷いについては、環境構成を考えることでクリアしていきましょう。

環境構成のポイント

園庭や園舎の構造はそれぞれの施設により異なりますが、その中で工夫した環境作りを行っていきたいですね。ここからは、異年齢保育を行う上での環境構成のポイントをご紹介します。

空間・エリア

遊びコーナーごとに環境設定がされた保育室の様子
異年齢保育をしていると、年齢毎のペースの違いで悩むことがあります。年上の子の方が行動が速く、年下の子の方がゆっくり動くことが多いですよね。

揃えることは難しいですが、それぞれのペースで過ごせる保育室を作ることはできます。

例えば、遊びと食事の空間(エリア)を分けておけば、食べ終わった子は遊びの空間へ行き、ゆっくり食べている子は自分のペースで食べ続けることができます。

活動の内容に応じて空間を分ければ、子どもたちが必要以上に待たされたり、急かされたりすることなく生活を送ることができます。

遊び

異年齢の子ども同士が遊んでいる様子
異年齢保育をしてると、「どの年齢に合わせた遊びを準備すれば良いのか?」という悩みも出てきます。

まずは、遊びを1つではなく複数用意して、それぞれの空間を分けましょう。例えば、絵本、ごっこ遊び、製作、積み木などが挙げられます。

その中で、それぞれの発達に合わせた玩具や道具を置き、選んで手に取れるようにしておきましょう。十分な空間と玩具の数を準備しておけば、無用なトラブルを避けることができ、子どもたちが並んで遊ぶ姿が見られることでしょう。

年下の子ができなくて困っている時は、年上の子に教えてもらえば関わりも深まっていきます。

活動の設定

異年齢での関わりがなかなか見られない場合は、意図的に活動を計画してみましょう。

例えば、年上の子が年下の子のお世話をする「お世話当番」を設けたり、異年齢でペアを組んで散歩したりする機会を作ってみるのも良いでしょう。

親しみを感じる機会が持てれば、普段の生活の中でも自然と関わりが増してくることが期待できます。

保育士の配置

指差し確認をしている保育士
保育士は環境を作った上で、子ども同士の自発的な交流を見守ります。また、必要に応じて介入し、支援や助言を行うことも欠かせません。

複数の保育士で担当している場合は、スペースや子どもの人数に応じた保育士を配置しましょう。年齢にこだわらず、必要な子に必要な支援を行います。

また、危険な箇所やトラブルが起こりそうな場所も把握した上で、保育士の立ち位置を決めていくことも大切です。

子どもの状況は常に変化し続けるため、保育士には柔軟な対応が求められます。

環境構成の見直しのポイント

保育環境は一度作ったら出来上がり、ではありません。子どもの発達に合わせて、何度も見直し、改善していくことが大切です。ここからは、環境構成の見直しのポイントをご紹介します。

定期的な評価と柔軟な調整

「REVIEW」と書かれた積み木
環境構成は、子どもたちの成長や季節の変化に合わせて定期的に見直す必要があります。月や季節ごとに環境を評価し、子どもたちの興味や発達に合わせて変えていきましょう。

また、子どもたちの様子に応じて、その場で柔軟に調整していくことも大切です。今の子どもたちにとって最適な環境を作っていきたいですね。

安全性と挑戦のバランス

「RISK」と「SAFETY」の文字がシーソーに乗ったイメージ
安全性を確保しつつ、子どもたちの「やってみたい」という気持ちを叶えられる環境であることが大切です。起こりうる危険性を予測しながら、安全に子どもたちが挑戦できる環境を作りたいですね。

異年齢保育では、年下の子が年上の子に憧れ、真似ようとする姿が見られます。ケガが無いよう、発達過程に応じて段階的に取り組める工夫が大切です。

子どもと保育者の意見の反映

遊びの環境を見直す上で、子どもたちの意見も取り入れていきましょう。イメージを実現する体験を重ねることで、子どもたちの園生活がより充実したものへと変わっていきます。

また、保育者間でも定期的に話し合う機会を持ち、課題や改善案を共有することが大切です。みんなで意見を出し合い、子どもにとってより良い環境を考えていきたいですね。

異年齢保育で子どもの力を育もう

年齢の異なる3人の子どもたち
異年齢保育では、発達の異なる子ども同士が一緒に生活するからこそ育まれる力があります。子どもたちが主体的に関わりを持てる環境を設定し、必要に応じて支援を行っていきましょう。

異年齢保育を行っている方は、参考にしてみてくださいね。

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佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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