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保育の一人担任制を解説〜メリット・デメリット・複数担任制との違い

保育士と3人の園児
保育園では子どもの人数に応じて「一人担任」になる場合があります。一人でクラス運営をすることにプレッシャーを感じる方も多いのではないでしょうか。新年度を迎える前に「一人担任」について知り、不安を解消していきましょう。今回は、一人担任制について解説していきます。

一人担任とは

考え事をしている保育士
保育士が一人で担当できる子どもの人数は、年齢によって異なります。国に定められた配置基準は以下の通りです。

◎国が定めている配置基準(保育士1名に対する子どもの人数の上限)
0歳児 3名
1・2歳児 6名
3歳児 20名
4歳以上児 30名
出典:児童福祉施設最低基準/厚生労働省

国が定めている基準はあくまでも「最低基準」であり、自治体によっては子どもの人数が国基準より少なく定められているところもあります。

一人担任とは、この配置基準に従い「一人でクラスを担当すること」です。0歳児クラスであっても、在籍が3名であれば一人担任になる可能性があります。3歳以上児は、保育士一人あたりの子どもの人数が20名以上と多くなるため、一人担任になる場合が多くなります。

複数担任との違い

保育室で子どもたちを指導する2人の保育士
複数担任とは「複数の保育士でクラスを担当すること」です。子どもの人数が配置基準を一人でも上回れば、複数担任にする必要があります。3歳未満児は保育士一人あたりの子どもの人数が少ないため、複数担任になる場合が多いです。

複数の保育士で担当する場合、保育士同士の連携が必須となります。情報交換をし、役割分担をしながら保育にあたる必要があります。チームワークがうまく機能している場合、保育士一人ひとりが個を発揮し、お互いに支え合うことができます。保育者が複数いることで多角的な視点から子どもの姿を捉え、意見を出し合うことで保育の幅を広げていくことができます。

逆に職員間の連携が良くないと、複数担任制が負担に感じる場合もあります。意思疎通がうまくいかず「複数担任より一人担任の方が働きやすい」と感じている方もいるようです。

一人担任のメリット・デメリット

「merit」「demerit」と書かれた消しゴムと色鉛筆
常に連携を意識しなければならない複数担任制に比べると、一人担任は気楽に感じるかもしれませんが、逆に一人だからこそ難しいことも存在します。

ここからは、一人担任のメリットとデメリットを解説します。

一人担任のメリット

子どもたちに読み聞かせをしている保育士
一人担任のメリットとして、以下のことが挙げられます。
  • 自分のペースで保育ができる
  • 人間関係の悩みが少ない
  • スキルアップできる
複数で担任を持っていると、先輩保育士の目が気になって動きに迷いが生じることも。保育歴が長くても、保育観の異なる保育士が一緒だと仕事がしづらいものです。一人担任の場合、そのような相手がいないため自分のペースで保育ができますし、保育士間の人間関係で悩むことも少ないでしょう。

また、一人担任だと他の保育士に頼りづらくなり、自分でやらざるを得ない状況が続きます。自分で試行錯誤を繰り返した経験は、スキルアップへとつながっていくことでしょう。

一人担任のデメリット

ノートパソコンに向かって焦りながら仕事をしている保育士
一人担任のデメリットとして、以下のことが挙げられます。
  • 責任が大きい
  • 身動きがとりづらい
  • 保育士主導になりやすい
担任は自分しかいないため、子どもの保育に加えて、環境整備や保護者対応なども一手に担うことになります。保育補助の先生がいなければ、トイレに行くことさえ難しい場合も。

子どもがいればトラブルが発生したり、危険な行為をしたりすることもありますが、保育士の身体は1つしかないので同時に対応はできません。子どもたちの安全を守るために指示が多くなり、保育士主導型の保育になってしまう可能性が高まります。

クラス運営が順調であれば、自分のペースで進めていくことにやりがいを感じるかもしれませんが、「手が回らない」「子どもを見きれない」と負担や不安を感じる方もいることでしょう。

一人担任のクラス運営のポイント

保育室内で子どもたちの活動を見守る保育士
一人担任のデメリットは事前の計画や工夫でカバーしていきたいですね。子どもが最善の利益を得られるような保育を考えていきましょう。

ここからは、一人でクラス運営を行う上でのポイントを解説します。

「偏らない」ようにする

一人担任の場合は、さまざまな場面で「偏らないこと」を意識する必要があります。

保育士も人間なので、得意・不得意もあれば、好き・嫌いもあります。保育士個人の感性や個性も大切ですが、専門職として子どもを平等に見守り、さまざまな体験の機会を用意していくことを忘れてはいけません。保育の内容や子どもを見る目が偏っていないか、保育士資格を持つ者として常に自分の保育を見直していくことが大切です。

主体的に生活できる環境を作る

キッチンの遊具でままごと遊びをしている女の子
子どもたちが主体的に生活できる環境を作りましょう。

例えば、遊びや生活で使う物を手の届くところへ置いておけば、毎回保育士が準備をしなくても、必要な時に子どもが自分で取り出すことができます。

生活の流れがわかるようにイラストで示しておけば、子ども同士で教え合うこともできます。

保育士の身体は1つしかありません。本当に必要なところで援助を行うためにも、日頃から子どもたちが自分で考え、行動できる環境と習慣を作っていきましょう。主体的な行動は保育士のためだけでなく、子どもの発達を促すためにも重要なポイントです。

他の保育士と連携を図る

書類を書いているクラス担任の保育士と、子どもたちと遊んでいる保育士
一人担任だからといって、一人で抱え込む必要はありません。「自分がなんとかしなきゃ」という強い思いは、不適切保育を招く可能性があります。

主任や園長、他のクラスの保育士とも日々コミュニケーションを図ることで、クラスの状況を理解してもらい、必要に応じて相談したり、連携をとったりできるよう準備しておくと良いでしょう。担任だけが子どもに関わるのではなく、園全体で子どもの成長を見守る意識が大切です。

仲間と支え合える一人担任になろう

一人担任になった時に「自分で試行錯誤をしながら頑張ってみよう」と意欲を持つのは素晴らしいことです。しかし、これからますます多様化する社会の中で生きていく子どもたちにとって、担任一人の価値観の中で保育されることは必ずしも得策とは言えません。

他の職員と連携し、支え合うことで、子どもがなるべく多くの大人から見守られる環境を作っていきたいですね。今後、一人担任を持つ方は参考にしてみてください。

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佐野きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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