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“子どもが育つところ、ふじようちえん”の秘密とは?

ふじようちえんの子どもたち
静かな住宅街の中に、明るく響く子どもたちの声を辿ってみると現れるのが「ふじようちえん」。コンセプトづくりに人気クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんが参加するなど、時代の先端を行く園として話題になりました。ここでは、モンテッソーリ教育を基本にした保育だけでなく、園のさまざまな場所にこだわりが溢れています。今回は、大人気「ふじようちえん」の魅力を取材させていただきました。

ふじようちえんこだわりの保育

園庭をぐるりと囲んだ園舎に、大人でも思わず走り出したくなるような幼稚園「ふじようちえん」。東京都立川市のJR立川駅から車で15分程の住宅街の中にあります。園児約670名、職員約80名の大規模な園です。今回は、加藤積一園長にお話を伺いました。

すべては子どもが育つために

「先生も園舎も、木も草も、みんな子どもたちが育つための”道具”のひとつです。落ちている石ひとつでも子どもたちに役に立つように。そんなことを思いながら、日々生活をしています」

園のコンセプトについてこう語る園長先生。子どもたちの想像力は、大人が考える以上です。どんなものも、子どもたちの興味関心を育てるための道具になるのですね。

また、園内で出会った先生方はみなさんとても明るく素敵な笑顔の先生ばかりという印象を強く受けました。子どもも大人も共に楽しみながら過ごしている空間がここにはあるのだと、その表情を見て感じました。

このことについて園長先生に尋ねてみると、「子どもたちが育つために、大人が手本でいなくてはならないと考えています。その点、ふじようちえんの先生方はみんなとても光っていますよ」とのこと。

子どもたちの憧れる先生と、その先生を見て育つ子どもたちの理想的な空間です。


“不便”が子どもを育てる

ふじようちえんの人気の秘密はどこにあるのか? その答えを探るべく、園内を探索させていただきました!

園内を見ると、近年ではあまり見かけなくなった電気をつけるために垂らされた紐や、自分で蛇口をひねらないと水が出ない水道など、近年では“不便だ”と言われるような設備がちらほら。
「子どもは与えられた環境の中で育つといいますが、何も考えないで与えられたものをただ使っているだけではそこまでで終わってしまいます。しかし、ちょっとした不便にぶつかることで”考えて工夫する”ようになるのです」

現代の日本には便利なものが溢れていて、私たちもとても快適な暮らしをしていますよね。しかし思い出してみると、子どもの頃はボタンひとつで点く電気はほぼありませんでした。車のキーをしめるのもドアに差し込みまわしていました。

なるほど、確かにこの経験はその後の生活の中でも、知識として自然と活用していたかもしれません。

「子どものときのちょっと困った経験を乗り越えることは、自信につながります。そのために、ふじようちえんではあえて少し不便な環境を作っています。モノの道理や本質を知ることが理解につながる、そう思っています」

不便を子どもたちの成長に繋げる、明るく楽しい園長先生ならではのこだわりが溢れていました。

“自分の意思”を伝える大切さ

園内に入って一番最初に気になったのは、職員室前に設けられていた面白いコーナー。そこにあったのは栗やさつまいも、どんぐり、どじょうまで!
「今はちょうど秋なので、秋の食べ物や自然を集めてみました。どじょうは、『どんぐりころころ』に出てくるのにみんな知らないっていうので(笑)。幼児期には、見て、触れて、感じて、そして考えて行動する。そのサイクルを自分で作ってほしいですね」

子どもたちが生活する中で、加藤園長が大切にしているのは“方法”ではなく“自分の意思”だとのこと。

「今はどこでも『こうすると失敗しない』というHow to が非常に多いですよね。しかし私は、子ども時代にはHow to よりも、“What to do”、つまり『何がやりたいのか』『何に興味があるのか』が大切だと思っています。やりたいことがないと前には進まない」

例えば触ると“痛い”こと、“冷たい”こと、“重い”ことなど、言葉で伝えるだけではわからないものがたくさんありますよね。さまざまな経験が、子どもたちの中にあるたくさんの興味や関心、好奇心を育てていく原動力になるのですね。

ふじようちえんのモンテッソーリ教育

ふじようちえんでは、モンテッソーリ教育をもとにした活動を行っています。モンテッソーリ教育について、耳にしたことはあってもその内容はあまりよく知らない、という方も多いのではないでしょうか。ふじようちえんでは、どのような考え方で行っているのかお聞きしました。

子どもたちには、“教えない”

モンテッソーリ教育を行ううえで、ふじようちえんが大切にしていることは“教えないこと”だと言います。

「子どもが育つ場所なので、子ども自身が考えて、チャレンジして、自分で気付いてもらいたいと思っています。お手本は見せますが、あくまで見せるだけ。間違えて、もう一度チャレンジして、その繰り返しをする中でできるようになるんです」

“教えられたことは頭に残りづらい”というのは、よく耳にしますよね。確かに自分で興味や関心を持って学んだこと、取り組んだことは大人になっても覚えているもの。そのような学びを大切にしているのですね。

保育者もゼロからスタート

「モンテッソーリ教育に興味があるけれど、なにも技術がない中で挑戦はむずかしい?」という疑問を持っている保育士、幼稚園教諭の方も多いはず。そこで、ふじようちえんの先生たちについてお聞きしました。

「ふじようちえんで働く先生たちも、“名前は知っています”くらいで就職する先生がほとんどでしたよ。子どもたちの姿を見ていれば、目からうろこのように理解が深まります。それに加えて研修を受ける機会もあるので、さらに子どもの育ちを理解することができます。

最初はみんな素人。少しずつ、自分なりに現場の状況を考えたり子どもの育ちを捉えて、どうしたらいいのか、この子のためには何がいいのかと、環境づくりができるようになるんです」

現在、ふじようちえんで働く先生のほとんどがモンテッソーリ教師の資格を取得済み! 現場で子どもと触れ合うことが、一番の学びの場となるのですね。

子どもの成長は、保育者の自信

子どもの成長は、保育者の自信につながります。子どもの育ちを理論に基づいて理解する、そして実際に子どもと触れ合うことで『やっぱりそうなんだ!』と実証できる。そのような経験で、子どもを育てるプロに近づいていきます」

自分の保育によって子どもたちの成長が見られたときの喜びは、何にも変えられないほどのものですよね。そのような経験を重ねていくことが自信につながり、保育者の成長にもなるのではないでしょうか。

幸せな未来をつくる場所

さまざまな場面で、子どもの主体性・自主性を大切にする保育を実践するふじようちえん。最後に、加藤園長が子どもたちに寄せる想いをお聞きしました。

「ふじようちえんの一番の理念は、『幸せな未来をつくること』。先生の仕事は、幸せな未来をつくる人を育てること。大人のさまざまな行動が、子どもたちの育ちに貢献できているかを大切にしています」

先生たちの言葉、立ち振る舞い、ひとつ一つのことが子どもたちの未来に変化を与えます。むずかしいことかもしれませんが、いつでも子どもたちの手本となる“かっこいい大人”でありたいですよね。
「子どもは自ら育つ力を備えて生まれてきていると、私は信じています。その力を育てていける場所、それがここ『ふじようちえん』だと思っています」

「子どもたちの幸せな未来は、子どもたちひとり一人が自立して社会に貢献するひとりの大人として生きていき、さまざまな可能性を追求していってほしい。多くの人を幸せにする人こそが、一番幸せな人なのです」そう語る加藤園長。

ここには、幸せな未来を生きる子どもたちの姿が溢れていました。

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ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

ほいくis(ほいくいず)編集部

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