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遊びを自分で創り出す!『浦和ひなどり保育園』の自然体験

自然とのかかわりを通して子どもたちの主体性を伸ばす「自然体験」活動を取り入れた保育園が人気を集めています。実際どんな活動を行っているのか? 保育士さんはどのように関わっているのか? 今回は、埼玉県さいたま市にある「浦和ひなどり保育園」の様子を取材させていただきました。

約2,100平方メートルの里山が第二の園庭

埼玉県さいたま市にある「浦和ひなどり保育園」。なんと約2,100平方メートルもある山、通称「どんぐり山」が園舎の裏にあり、子どもたちは毎日のようにその中で自然体験活動を行っています。この山が作られた理由と、そこに込められた想いとは…?

子どもたちの遊びの幅を広げたい

もともと今のような「どんぐり山」はなく、自然体験も行っていなかったという浦和ひなどり保育園。そこから現在に至る経緯には、園長先生の想いが込められていました。
「最近では、子どもたちが日常に入り込める様な自然環境が、特に都市部ではほとんどなくなってしまいましたよね。それと時を同じくして、子どもが主体的に遊びこむような姿や、異年齢で群れて関わり合うような姿も減ってきています。

子どもたちの遊びが室内化する中で、五感を伴う実体験が少なくなっているのは、今や保育や子育てに関わる人々の共通の悩みだと思います。子どもの遊びの幅を広げるために、何とか自然と子どもが共存する環境をつくりたいと思いました。」(丸山園長)

そんなときに目に入ったのが、裏手にあった通称「どんぐり山」。しかし当時は、管理もされておらず荒れ放題…。とてもじゃないけど子どもたちを遊ばせられる環境ではありませんでした。
 
そこで、園長先生は「埼玉県生態系保護協会」の協力を経て、荒れた裏山を整備。子どもたちの笑顔と笑い声にあふれる「どんぐり山」が完成しました。

実は園長先生も園の先生方も、特別に自然体験のノウハウがあったわけでもなく最初はおっかなびっくりの連続。自然が好きな人、得意な人を中心に、専門家の方を真似したり、余裕や柔軟性を大切にしながら、自然と子どもとの関わり方を学んでいったそうです。



 
「当番活動では雨の日でもカッパを着て出かけます。ちょうど今はタケノコが出てくるので、採って給食に出してもらいます。虫を探したり、落ち葉で遊んだり、その季節によっても色々な楽しみ方があるんですよ。」(丸山園長)

浦和ひなどり保育園では第二の園庭として、ほとんど毎日の様に「どんぐり山」を活用しており、自然体験を通して子どもたちがたくましく育つ姿を実感しているそうです。

変化が楽しい、それが自然

毎日どんぐり山に入って、活動を楽しむ子どもたちと保育士さん。確かに自然体験って、なんだかよさそうな雰囲気! 実際どんな魅力があるのでしょうか? 


「自然は毎日、毎季節、刻々と移り変わっていくので、その変化が子どもたちにはおもしろいのだと思います。五感で感じて、「触ってみたい!嗅いでみたい!」と。子ども達にとっては魅力的な遊びの素材の宝庫ですよね。


また、子どもの興味のままにふるまうことを許容してくれる大らかさのようなものが自然にはあります。もちろん怪我には気を付けなければいけませんが、子ども達が自然の中で主体的に遊び込む姿には、自身の童心も刺激されて、保育のロマンを感じますよ。」(丸山園長)

雨が降れば土は濡れ、風が吹けば葉っぱが舞い、虫がいて、鳥の声がして…。子どもたちの興味の対象が溢れていて、それでいて毎日違う! それが自然体験ならではの魅力だと感じました。



子どもたちの目が輝く空間

広い竹林の中に手作りの遊具。自然を利用して遊ぶ子どもたちの姿。私も一緒に「どんぐり山」に入らせてもらいました!

どんぐり山での毎日

まず目に入るのが、「わくわくとんねる」と書かれた手作りトンネル。本当に「わくわく」するスタートです。くぐっていくと、ハンモック、ブランコ、ターザン、綱渡りなど、自然を活用して作られたお手製遊具で遊ぶ子どもたちの姿が!

「見ててねー!」の声に振り向くと、衝撃! スルスルと竹を登っていく女の子の姿が!

反対側では、「片足で立てるよ~」と綱の上に片足立ち!

「これなんだろう?」と、木についた蜜のようなものを枝ですくってみたり、「葉っぱのお風呂だよ~」とたくさんの落ち葉を集めたり。子どもならではの視点と遊び方には、思わず心からの「すごい!」が出てしまいました(笑)。

自然と一緒に食を楽しむ

この日は、「どんぐりキャンプ」が行われました。これは、数人の異年齢グループが、どんぐり山で給食を食べるという楽しい企画! なんと私、園長先生のご厚意で参加させてもらいました!

ご飯を食べながら、「なんの声?」と、聞こえてくる鳥の声に興味を示す子。「美味しい~」と、いつもは完食しないけれど今日はお弁当箱をピカピカにした子。園内とはまたちょっと違った、静かな自然の中でゆったりとご飯を食べることで、子どもたちにも変化や気づきがあるようです。

食べ終わった後は、「体を鍛えるんだよ!」と、どんぐり山を全力疾走(笑)! 体を動かして、帰る頃には「眠い~」なんて声も。子どもらしい時間の過ごし方に、魅力を感じました。

子どもと一緒に毎日を楽しみたい!

子どもたちと一緒に自然の中で生活をする保育士さん。どんな楽しみがあり、どんな保育への思いがあるのでしょうか。年長クラス担任の本間先生と、主任の栗原先生にお話しを伺いました!

どんぐり山は、癒しの場

(写真:年長クラス担任 本間先生)

ここで働くようになった経緯は?

「元々は幼稚園で働いていました。でも、そこでは”大人の目”をすごく気にしていて。それって、子どものためになっているのかな? と感じて転職を決めました。どんぐり山での活動や、”見守る保育”という保育方針を見て、これが私のやりたい保育だと思いました。」

保育士として、自然体験に感じる楽しさは?

「私自身も自然の中で育ち、自然で過ごすことが好きなので、どんぐり山に行くと落ち着くし癒されます(笑)。自然の中で子どもと一緒に過ごしたり、発見することが楽しいです。一緒に虫図鑑を持って行って見たりもしています。」

逆に大変なことは?

「子どもたちには自由にのびのび遊んでほしいと思う反面、やっぱりけがは心配です。子どもたちはいろいろなことに挑戦するので(笑)。その中で、私たちは気持ちを汲み取りながらもけがに気をつけて見守ることは大変な部分です」

保育園の魅力はズバリ!

子どもがのびのびとやりたいことをやれる保育園、ですかね(笑)私たちも、お散歩で公園に行くよりも、どんぐり山の方が安心するんですよ」

子どもらしく育てる場

(写真:主任 栗原先生)

自然体験は、子どもにとってどのような意味がある?

「自然の中では五感が自然に育つと思います。いろんな音や虫や、自分たちで発見する楽しさを味わえるのがいいですよね」

保育士は自然体験を通して、どう子どもに関わる?

「なんでも大人が言いすぎないようにしています。子どもの気づきや発見を待って、一緒に共感したいなと。それがまたうれしいですよね」

保育園の魅力はズバリ!

「園長先生がよく言っているんですが、“子ども時代を子どもらしく”という考えにすごく共感できて。ここはそれが叶えられる場所です」



それぞれの想いを自然で叶える

「みんなそれぞれ感じ方が違うので、子どもたちも自然体験に対してそれぞれの楽しさを感じていると思います。子どもたちの“やってみたい”を引き出してくれる多様性が自然の中には溢れているので、そうした喜びをみんなで見つけ出して、豊かな時間を共に過ごしたいです。」(丸山園長)

子どもたちは、自然の木々や葉っぱ、虫、土、なんでも遊びに繋げられる天才です。保育士はそんな子どもたちの想いを大切に見守っていくことが役目。自然体験は、実は子どもたちにとって一番の“遊び”かもしれませんね。


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