慣らし保育とは
慣らし保育とは、新入園児が保育園の生活に慣れるために行う短時間保育の期間です。園や子どもによって異なりますが、1週間~1か月程度の間に行われます。慣らし保育中は子どもが保育園で過ごす時間を少しずつ増やしていき、保育士や保育園に慣れ、新しい生活リズムを作っていきます。
また、新しいリズムに慣れる必要があるのは保護者も同じです。育児休業中のママもいれば、慣らし保育と共に職場復帰するパパもいます。子どもを保育園に預けてから仕事に行く新しい生活リズムを作るので、保護者にとってもしんどい時期です。
そしてもちろん、新入園児のいる慣らし保育中は保育士にとっても大変な時期ですよね。どうやっても泣きやまない子どもを相手に、自分だって泣きそうになることも…。
しかし、難しい時期だからこそしっかりと見通しを持ち、丁寧に子どもや保護者と関わり、信頼関係を築いていくことが大切です。
慣らし保育のスケジュール例
保育園によって慣らし保育のスケジュールは異なります。また、子どもの年齢や集団生活の経験の有無、保護者の仕事復帰の状況によっても変わるものです。1つの例として、慣らし保育の1週間のスケジュール例をご紹介します。
1日目 | 2時間保育したらお迎え |
2日目 | お昼ごはん前にお迎え |
3日目 | 昼食後にお迎え |
4日目 | 午睡後にお迎え |
5日目 | 16時にお迎え |
6日目~ | 慣らし保育終了 |
慣らし保育の内容は?
慣らし保育の期間は、どのように保育を行うのでしょうか。その内容を見てみましょう。遊び
最初の数日は、1時間~2時間程度で終わりになることが多いです。その間は、保育士と一緒に遊んで過ごします。子どもの様子や好きな遊び、特徴などを知る機会になるので、一人ひとりの姿をよく見ておきましょう。給食
お昼までに時間が延びると、給食を食べて帰宅する日も。子どもの食の進み具合や好みなどを見る機会にもなります。また、アレルギー児がいる場合は、その場で慌てないように事前に保育士間でしっかりと情報を共有をして、正しい対応ができるようにしておきましょう。また、なかなか給食を食べずに泣いてしまう、という子もいますが、無理強いせず少しずつ進めていきましょう。まずはみんなで一緒にご飯を食べる楽しさや、保育士とコミュニケーションを取りながら食べる楽しさなどを感じてもらえると良いですね。
午睡
さらに時間が延びると、午睡まで園で過ごすようになります。実はこの時間がとても重要。遊びの時間などは楽しく過ごしていた子も、午睡の時間になると疲れや寂しさからなかなか寝付けないことが多くあります。午睡にあたる2~3時間ずっと泣きっぱなしということも。何人も慣らし保育の子どもがいると、対応に追われてしまうこともあるかもしれません。しかし、一人ひとりの気持ちを受け止め、安心できるような居場所づくりを心がけてみてくださいね。
慣らし保育で注意すべき5つのポイント
慣らし保育中には、保育士が気を付けたいポイントが5つあります。①保護者と協力する
慣らし保育期間は、保護者の協力が何より必要です。仕事で忙しい保護者もいるかと思いますが、慣らし期間中は早退やお休みをしていただくことになります。育休からの復帰などで不安を抱えている方も多いので、声をかけながら協力体制を作っていってくださいね。また、好きな遊びやおもちゃなど、保護者から子どものことを聞き取ることも大切です。その子の好きな遊びを一緒に楽しんだり、保育士が話題にすることで、「保育園って楽しいな」と感じてもらいやすくなるからです。
慣らし保育中の子どもの姿や家での様子など、保護者との情報交換を密にすることで、子どもが安心できる環境を作りやすくなります。
②担任間で連携する
慣らし保育中は担任間で新入園児担当と在園児担当に分かれ、クラスを運営することが多いです。新入園児担当は子どもへの個別対応や早いお迎えの対応などがあり、在園児グループとの関わりが少なくなりがちです。ですので、新入園児が降園した後に、担任同士でその日あったことの伝え合いが必要です。新入園児の様子や新しい生活に不安感のある保護者の思い、進級した在園時の姿など、担任間でしっかりと共有してください。
③子どもに無理をさせない
中には、なかなか園生活に慣れず、設定している慣らし保育のスケジュール通りに進まない子もいます。しかし、無理に合わせるのはNG。その子のペースを大切に、無理のないスケジュールで進めていきましょう。また、保護者にその現状を伝えることも大切です。④子どもに寄り添う
慣らし保育の目的は、園生活に慣れてもらうこと。保育士は、子どもの気持ちに寄り添って信頼関係を作っていかなくてはなりません。「子どもが泣き止まずどうしたらいいか分からない」「上手く進まないのは私の保育がダメだからかも…」と不安になってしまうこともあるかと思います。しかし、慣れない環境に泣いてしまう子どもがいるのは当たり前。なぜ泣いているのかを見極め、笑顔で温かく接することを忘れないでくださいね。⑤在園児へのケアも忘れずに
新入園児の対応でいっぱいいっぱいになってしまい、在園児の対応がおろそかに…というのは慣らし保育期間によく見られる光景です。在園児への対応をする職員を決めておく、遊びの時間は異年齢児合同にする、など在園児ともしっかりコミュニケーションがとれる体制を整えておきましょう。丁寧な慣らし保育で子どもを迎え入れる準備をしよう
慣らし保育は、そのとき目の前にいる子どもによって状況が変化するので、何度経験しても難しいもの。子どもが安心して過ごせる場所を作る、ということを忘れずに、寄り添いながら進めていってくださいね。【関連記事】