感触遊びのねらい
さまざまな素材を使い、不思議な感覚を楽しむことができる感触遊びは、乳児から幼児まで幅広く楽しめるおすすめの遊びです。保育士さんが悩みがちな室内遊びのアイデアとしてはもちろん、夏は水遊びのときに取り入れることで、汚れを気にせずのびのびと遊べるのでおすすめですよ。まずは、感触遊びのねらいを考えてみましょう。<ねらいの例>
- さまざまな素材に触れ、感触の違いを楽しむ。
- 変化する感触の様子に興味を持ち、自分なりに考えたり調べたりする。
- さまざまな素材を楽しみ、指先の感触やにおい、音など感じて五感を育む。
- 身の回りのものの感触を楽しみ想像することで、発想力や想像力を高める。
- 握る、ちぎる、こねる、丸めるなど、指先の動きや感覚を高める。
年齢や子どもの興味によっても、ねらいは異なります。子どもたちの様子をよく観察して、それぞれに合ったねらいを定めていきましょう。
おすすめの感触遊び10選
今回は、身近にある素材を使った感触遊びのアイデアをご紹介します。遊び方のポイントや作り方をまとめましたので、遊ぶ前にチェックしておきましょう。またここではおすすめの年齢をご紹介していますが、子どもの興味や発達によっても異なります。子どもの姿に合わせて取り入れてみてくださいね。①寒天遊び
不思議な感触を楽しめる寒天遊びは、0歳児や1歳児クラスでも特におすすめの活動です。食紅を使ってカラフルな寒天を作り、視覚でも存分に楽しんでみてください。【おすすめの年齢】
0歳・1歳・2歳・3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
- 粉末寒天
- 食紅
- ゼリーのカップやお皿
- スプーン
- 水
- バットや牛乳パック
- ビニールシート(汚れ防止)
- 事前に粉末寒天と水、食紅を混ぜ合わせて鍋にかけ、バットや牛乳パックに入れて冷蔵庫で冷やし固めておきましょう。
- 初めは固まった状態から、子どもたちに手で潰してもらうと、不思議な感触を楽しめます。
- 子どもたちから「プルプルしているね」「ゼリーみたい」「つめたい」など、さまざまな声が聞けるように、手で触ったりスプーンなどの道具を使ったり、さまざまな触れ方をしてみましょう。
②片栗粉スライム
料理で使用する水溶き片栗粉を使った、簡単な感触遊びです。少ない材料ですぐに遊べるので、明日からでも取り入れられるのもうれしいですね。寒天遊びと同じように、手で触ったりスプーンを使ってすくったりしながら楽しめます。【おすすめの年齢】
0歳・1歳・2歳・3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
- 片栗粉
- 水
- バットやボウルなど
- ビニールシート(汚れ防止)
- すぐに水溶き片栗粉にせず、少しずつ水を足しながら感触の変化を楽しんでみましょう。
- 食紅を入れて色をつけても楽しめます。
③粘土(小麦粉粘土・パン粉粘土)
感触遊びに取り入れたい粘土遊び。紙粘土や油粘土などいろいろな素材のものがありますが、手作りできる小麦粉粘土やパン粉粘土もおすすめです。【おすすめの年齢】
0歳・1歳・2歳・3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
- 小麦粉orパン粉
- 水
- 絵の具(色粘土が作れます)
- 小麦粉やパン粉に水を少しずつ足していき、感触の変化を楽しみましょう。
- 食物アレルギーにはくれぐれも気を付けて活動をしましょう。粘土の欠片や粉、拭き残しでも症状が出ることがあります。特にワンフロアで保育をしている園は、他クラスのアレルギー児にも注意しましょう。
④塩でお絵描き(ソルトペインティング)
驚きの新感覚遊びとしておすすめなのが、ソルトペインティングです。実は数年前から少しずつ実践しているところもあるものの、まだあまりメジャーではない遊びです。少ない材料で素敵な絵が描けるので、ぜひ挑戦してみてください。【おすすめの年齢】
3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
- 画用紙
- 絵の具
- 筆
- 塩
- 木工用接着剤
<遊び方>
①木工用の接着剤で画用紙に絵を描きます。
子どもたちが描くときは直接描くのは難しいので、まずは画用紙にクレヨンなどで絵を描いてからそれを切り抜き、台紙になる画用紙に貼りましょう。
②①で切り抜いた型の枠を木工接着剤でなぞるようにして絵を描きましょう。
③接着剤が完全に乾く前に、塩をふります。思い切ってたくさんの塩をしっかりとつけてください。ある程度乾いたら、絵を立てて余分な塩を落とします。
④水に絵の具を溶かし、絵の具をつけた筆で塩を軽く触ります。すると絵の具が塩に染みていきます! 色を変えながら、塩全体に絵の具を染み渡らせましょう。
- 絵の具はべったりつけるのではなく、軽く触れて染み渡らせるのがポイント。混ざってもグラデーションのようになって美しいですよ。
- できあがった作品の塩のツブツブした感触、立体感を楽しみましょう。
⑤高野豆腐
実は高野豆腐は、感触遊びにぴったりの素材のひとつです。まずは売っているときの硬い感触を、そして水につけてやわらかくなっていく感触を、と少しずつ変化を楽しんでみましょう。【おすすめの年齢】
0歳・1歳・2歳・3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
- 高野豆腐
- 水
- ビニールシート(汚れ防止)
- 食紅(必要に応じて。色付き高野豆腐になります)
- 高野豆腐は水を含むことで膨らむので、その過程を一緒に楽しみましょう。
- ちぎったり握ったりして、高野豆腐ならではの感触に触れてみてください。
- においを嗅いで、「どんなにおいがする?」と声を聞くのもおすすめ!
⑥緩衝材(プチプチ)
荷物が壊れないように同封する緩衝材、いわゆる「プチプチ」。この感触は、大人も好きな方が多いのではないでしょうか? 手だけでなく、足で踏んでも楽しめます。乳児クラスでもおすすめですよ。【おすすめの年齢】
0歳・1歳・2歳・3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
- 緩衝材
- 手でつぶすのはもちろん、床に敷いて足で踏んでみるのがおすすめ! 不思議な感覚を楽しめます。寝転がってコロコロするのも楽しいですよ。
- 乳児から楽しめるので、0歳児クラスでも取り入れられます。
⑦マカロニ
マカロニやペンネ、リボン型、貝型など、さまざまな形のものを用意して遊びます。茹でずに硬いまま触ればツルツルやギザギザ、ペンネの線状の感触などを楽しめます。食紅で色をつけることもできますが、もともと色がついているマカロニを使うと簡単ですよ。また、容器があればマカロニを出し入れして遊べますし、毛糸を用意すればひも通しやネックレスづくりまで楽しめます。
【おすすめの年齢】
1歳・2歳・3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
- マカロニ(なるべく多くの種類)
- タッパーやヤクルトの容器など
- アクリル毛糸
- マカロニをつまんで容器に入れる遊びは、感触だけでなく指先の操作や目と手の協応の経験につながります。
- 毛糸があればネックレスなどの装飾品や飾りが作れますが、ひもが首にひっかからないように注意が必要です。
- 茹でたマカロニを使えばベタベタやモチモチした感触も経験できます。
- マカロニは小麦で出来ているので、食物アレルギーには注意してください。
- マカロニを鼻や耳に入れてしまわないように、しっかりと見守ることが必要です。
⑧スポンジ
さまざまな形や素材のスポンジを用意するだけで、子どもたちは自由な発想で遊び出します。食器を洗うおうちの人のまねっこをしてゴシゴシ辺りをこすったり、積み重ねたり、にぎったり、投げたりと、遊びの中で感触も楽しめます。そこに水を加えると触った感じや重さなどが変化し、感触遊びの幅が広がります。 スポンジで吸った水をプラスチックのカップやボウルに移動させる「水運びゲーム」も、幼児クラスなら大盛り上がりです!
【おすすめの年齢】
0歳・1歳・2歳・3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
・大きさや素材、形の異なるスポンジ
・水
・プラスチックカップ
・ボウル
【遊び方・ポイント】
- 100円均一などで種類の違うスポンジをなるべく多く集めて、多様な感触を楽しめるようにしましょう。
- スポンジをハサミで切って、形を変えるなどしてもおもしろいです。
- 大きなタライに水をはり、スポンジで吸った水を空っぽのタライに移動させる競争なども楽しめます。
⑨汚れない!ポリ袋の色水遊び
汚れないのに「もにょもにょした不思議な感触」を楽しめるのが、ポリ袋の色水遊びです。作り方は簡単で、絵の具で色水を作ったらポリ袋に入れて口をしばるだけ。それだけで水の感触や音、色を楽しめます。【おすすめの年齢】
0歳・1歳・2歳・3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
・ポリ袋
・絵の具
・水
【遊び方・ポイント】
- 絵の具と水を入れて口をしばったポリ袋を、子どもたちの前で振って色水作りを見せるのも遊びへの導入になります。
- 遊んでいるときにポリ袋が破れることも想定されるので、水にぬれても良いテラスなどで遊びましょう。
- ポリ袋も大きなものから小さなもの、傘を入れる細長いものなど、いろいろなサイズを用意すると遊びの幅が広がります。
⑩新聞紙
新聞紙があれば破る、丸める、くしゃくしゃにするなど、さまざまな感触を味わうことができます。しかも、水にぬらせば感触が変わるのも楽しさの1つ。軽かった紙が水を吸って重くなったり、ぎゅっとにぎると固くなるなど変化を味わうことができます。【おすすめの年齢】
1歳・2歳・3歳・4歳・5歳
【用意するもの】
・新聞紙
・水
・大きなビニール袋
【遊び方・ポイント】
- 事前に新聞紙を1枚ごとに分けておくと、子どもたちがすぐに遊べてスムーズです。
- 戸外で遊ぶと新聞紙が飛んでいってしまうので、室内で遊びましょう。
- 新聞は踏むとすべりやすいので、子どもたちが転ばないように見守ってください。
- 新聞遊びの最後には、子どもたちと一緒に大きなビニール袋に新聞紙を集めて片付けをしましょう。
感触遊びの注意点
最後に、感触遊びをするときの注意点をまとめました。遊ぶ前に必ずチェックして、安全に楽しく遊べるようにしておきましょう。準備をしておく
感触遊びは、身近にある素材で手軽に楽しめるものが多いです。しかし子どもたちがスムーズに活動に入れるような準備や、安全に遊ぶための準備は必須。保育士さんは事前にある程度の計画を立てて、子どもたちが主体的に楽しめる環境設定を行いましょう。誤飲・誤食に注意
食材を使用した感触遊びも多いですが、だからといって「口に入れても安心」という油断は禁物です。誤飲・誤食には十分に注意して活動を進めましょう。またアレルギーの原因(アレルゲン)になる食材にも要注意。アレルギー児がいないか考慮して活動に取り入れ、終わった後の掃除はしっかりと行いましょう。無理強いしない
感触遊びをする中で、特定の感触を苦手と感じる子も必ずいます。そのような場合は決して無理強いせず、楽しめる範囲で活動に参加できるようにしましょう。少量から触ってみる、水の量を調整して感触を変えてみるなど、楽しめる工夫をしてみるのもいいですね。感触遊びで五感を育もう!
触覚はもちろん、視覚や嗅覚といった五感を使って楽しむことができる感触遊びは、室内遊びにぴったりです。遊び方を工夫すればどの年齢でも取り入れられるので、ぜひ子どもたちと楽しんでみてくださいね。▼ほかおすすめの記事はこちら