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いま求められる保育士の専門性とは?【海外での保育から学んだこと】

カノア保育園の子どもたちが遊んでいるところ
ブラジル北東部の小さな漁村“カノア・ケブラーダ”に保育園を作った鈴木真由美さん。独自の視点で、保育士が大切にしたいことを語ってもらいました。>>ストーリーの一覧はこちら

子どもの「生きる力を育む」こと

草の上に座る子ども
「生きる力を育む」という言葉を、最近よく目にするのではないでしょうか。

以前とは異なり、今の社会で生きていくためには、新しいスキルが求められています。

それは本能とも呼べるような生まれながらに備わっている感覚を研ぎ澄ますこと。

五感といわれる、「触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚」。

さらに、非認知的能力といわれる、生きることをポジティブに感じることのできる心の育ちの重要性です。

子どもは本来持っている力を思い切り出すことのできる環境では、何度も失敗を繰り返し、そこから学び、壁を乗り越えていきます。

このときに、子どもは驚くほどの集中力をみせることもあります。

こうした姿を見せることができる。ありのままの自分を認めてもらえる環境というものが、子どもの成長や発達には欠かせないのではないでしょうか。

カノア保育園で学んだ見守り方

木登り遊びをするブラジルの子どもたち
カノア保育園の子ども達と一緒に村を散歩していると、砂地のでこぼこの道を器用に歩き、穴を飛び越え、木々や枝をかいくぐり、進んでいきます。

遠くから見ている私が、
「あっ、頭がぶつかるよ!!」
と声を出しそうな場面でも、村のお母さん達や先生たちからだまっているようにと、諭されます。

先回りして危険を知らせるのではなく、子どもが気付けるようにする必要がある。

子どもは自分で危険を回避できる、危ないということに気付けるのだと、信頼しなければならない。

何度も村のお母さん達から聞かされてきていることです。

確かに、子どもたちは高いところから飛び降りる瞬間を、自分で決めています。

「大丈夫」と思った時、飛び降りるのです。

そうすると、まるで猫のようにしなやかで、怪我をすることはありません。

子どもは自分で自分の体と語り合い、今、どんなことができるのか。

これから挑戦したいことがあるときには、どんな風になっていなければならないのか。そんなことを頭ではなく、体で分かっていくのだといいます。

保育士が大切にしたいこと

草の上を走る女の子
「子どもが自分と向き合い、自分の体と語り合う時間をあげなくてはね」

村のお母さんや保育士の仲間から、よく始め言われたメッセージです。

最初は時にはピンとこなかった私も、今では子どもにとってのそんな時間の大切さが分かるような気がしています。

危ないと子どもに伝えることは簡単です。先回りして教えることもできるでしょう。

でも、保育士としての私たちは、子どもとどのように向き合う必要があるでしょうか?

まずは保育士として、子どもを信じてください。

一人ひとりを観察し、その子どもの中で育っているものを見つめてください。

そして、保育士という環境の一つとして、子どものそばで見守っていてください。

いざというときにはここにいる。助けてあげられる。それを子どもにきちんと伝えながら。

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鈴木 真由美(すずき まゆみ)

この記事を書いた人

鈴木 真由美(すずき まゆみ)

保育士。ブラジル・カノア保育園 園長。2000年にブラジル北東部にある漁村カノアに渡り保育園の運営を始める。2006年にカノアでの支援を目的にした「光の子どもたちの会」を設立(2015年にNPO法人となる)。現地の地域力向上を目指して活動中。2児の母。

<光の子どもたちの会HP>
http://criancasdeluz.org/quem_somos_nos/quem_somos_jp.html

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