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初めての卒園児が不登校に!その解決策とは?【みんなで作るカノア保育園<18>】

2000年、ブラジル北東部にある人口300人の小さな漁村“カノア・ケブラーダ”に保育園を作った鈴木真由美さんのストーリーの18回目です。>>ストーリーの一覧はこちら

カノア保育園で初めての卒園児

カノア保育園の卒園児
私たちがカノア保育園を設立してから初めての卒園児を出すこととなりました。

12名の子どもたち。ただ、そこには一つの大きな問題がありました。

ブラジルの「小学校就学前教室」制度

当時ブラジルでは、小中学校で合わせて8年生まであり、小学校1年生に入学するのは、基本的に満7歳となる子どもでした。

そのため、現在の小学1年生にあたる1年間は、「小学校就学前教室」として、小学校に入学する前に簡単な読み書き計算を学ぶ場所として設けられていたのです。

しかしカノア保育園のあるアラカチ市では、そもそも小学校入学前の子どもたちが通う施設がなかったため、カノアにある公立の小中学校には、小学校就学前教室というものが存在していませんでした。

そこで、私たちはカノア保育園を卒園した子どもたちが小学校就学前教室に通うことができるよう、アラカチ市教育局にお願いすることにしたのです。
黒板の前に立つ女性

小学校就学前教室が開校! 

カノア保育園のあるカノア・ケブラーダ地区エステーヴァン村には、カノアにある公立の小中学校の分校がありました。

そこには小学校1年生~4年生までが通っており、複合学級として、午前、午後のクラスがありました。

アラカチ市教育局では、カノアにある公立の小中学校の校長に問題がなければ、エステーヴァン村にある分校にて、小学校就学前教室も開校することができるという話になりました。

そこで、カノアにある公立の小中学校の校長と話をすると、分校の担任が承諾すれば問題ないとのこと。

そこで、分校の担任の先生と話をすると、もともと複合学級であったこともあり、二つ返事でOKをもらうことができました。

初めての卒園児である12人の子どもたちは小学校就学前教室に通うことになりました。

保育園の卒園児全員が不登校に

しかし、子どもたちは次第に学校に姿を見せることがなくなり、入学から2ヶ月も経たないうちに、全員が不登校となってしまったのです。

そして、我が家に子どもたちの保護者が押し掛けてきました。

「あんたたちが保育園を作ったから、うちの子どもは毎朝お腹が痛くなるんだ!」

「あんたたちが保育園さえつくらなければ、子どもたちはこんなに苦しむことはなかったんだ!」


子どもたちは朝になると腹痛や頭痛を訴え、吐いてしまう子どももいました。

「学校に行きたくない」

子どもたちは涙ながらに話しているそうです。

「なんで?」

しかしその疑問の答えはすぐに分かりました。

保育園と小学校就学前教室の大きな違い

カノア保育園と小学校では、環境が大きく異なります。温もりのある中で、すくすくと育っていった子どもたち。

学校に通うようになり、先生は黒板の前に立っているだけ。威圧的な態度で、黙々と机に向かって勉強する。

あまりの環境の変化に、子どもたちの体は悲鳴をあげてしまったのでした。

「子どもたちをこのままこの学校に通わせることはできない。私たちで小学校就学前教室を開校しよう!」

私たちはこう決意し、サンパウロから知人が教師としてきてくれることになりました。そして地域住民1人を助手として受け入れることにしたのです。

毎朝苦しんでいた子どもたち・不登校だった子どもたちは、まるでそんなことがなかったなかったかのように、それから毎日笑顔で通ってくるようになったのです。

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鈴木真由美(すずき まゆみ)

この記事を書いた人

鈴木真由美(すずき まゆみ)

保育士。ブラジル・カノア保育園 園長。2000年にブラジル北東部にある漁村カノアに渡り保育園の運営を始める。2006年にカノアでの支援を目的にした「光の子どもたちの会」を設立(2015年にNPO法人となる)。現地の地域力向上を目指して活動中。2児の母。

<光の子どもたちの会HP>
http://criancasdeluz.org/quem_somos_nos/quem_somos_jp.html

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