現場でよく聞く質問
「一人だけ違う事をさせたら他の子がズルいと言います。何と説明したらよいでしょうか」
人それぞれ得手不得手がある
皆の顔が違うのと同じように、発達の状態はひとり一人違います。そして、それぞれ苦手と得意があります。かけっこが得意な子もいれば苦手な子もいて、お絵かきが得意な子、折り紙が苦手な子など、得意と苦手は様々です。
大人でも苦手もあれば得意もありますよね。
発達に偏りがある子が得意なもの苦手なもの
これらの苦手と得意は分かりやすいですが、発達に偏りをもつ子どもたちは、切り替える事が苦手、気持ちのコントロールが苦手、相手の気持ちを察するのが苦手など、一般的には誰が教えなくても自然に習得してきたことにつまずく傾向があり、苦手を理解されにくい毎日を過ごしています。集団生活の場面では、切り替える事やお友達と仲良く遊ぶ事、集団のルールに沿って行動することが多く必要ですが、苦手ならばその子に合わせて対応する必要があります。
すぐに切り替える事が難しければ時間をかけて切り替えるのを待てばよいですよね 。
それぞれの事例にあわせた具体的な支援方法は、こちらの動画でも詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
「あの子だけズルい」と言われたら
個別に対応することで「○○君だけズルい」と発する子がいるならば、その子にも「あなたもまだ遊んでいていいよ」と伝え、先に活動を始めていれば良いのです。社会性が育っていれば、皆と一緒が楽しいと感じるでしょう、また、ルールとして、今は○○する時間だと割り切って行動を調整することが出来ます。
そして、みんなそれぞれ苦手な事や得意なことはある。苦手はそっと見守ってほしいよね 。
これが「やさしさ」っていうんだよ。と伝えてあげてください。初めに書いた、得意と苦手の具体例をあげても良いでしょう 。
“みんな違うことが当たり前”
人は違いを見つけるのが得意な生き物です。違いを見つけた時に排除しようとするのではなく、困っていたら助ける、見守る、そうやって困っている人の気持ちを考え、寄り添える優しい大人になって欲しいですよね 。それを育てられるのは今なのです。
違っていても良い、違うものを排除しない、みんなそれぞれ違いを受け入れる事がいじめのない社会をつくると私は考えています。
また、ぼくも特別にしてほしいと強く表現する子がいるならば、その子が特別にされていると感じる事が出来る体験が出来ると良いですね。
時には先生が隣で給食を食べたり、「今日は特別に、抱っこでトイレまで連れて行ってあげるね」なんてことも良いでしょう 。
忙しい保育時間にも、少しの意識と柔軟なアイデアで、スペシャルな愛情をプレゼントすることが出来ます。
みんな一緒の保育でなく、違いや苦手に優しくなれる人を育てる、そんな素敵な保育士さんが一人でも増えて欲しいと思います。
こんな本が子どもたちの理解を助けます
※説明では理解することが難しい子どもたちには絵本をつかいながら自然に理解する方法もあります。『きみがいるからおもしろい こんなこいるかな』
有賀忍 (著)
2023年/日本図書センター
>>本の紹介はこちら
個性あふれる12人の子どもたちが登場します。自分とは、違う個性があって良いことを自然に受け入れられる本です。
『友だちのこまったがわかる絵本 みんなちがってみんないい 』
赤木和重 (監修), WILLこども知育研究所 (著), すがわらけいこ (イラスト), 常永美弥 (イラスト), 法嶋かよ (イラスト)
2022年/金の星社
>>本の紹介はこちら
皆とは違う行動をする子の「心の声」が書かれています。自分とは違う行動をするには意味があるということを知ることが出来ます。
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