保育園のお散歩に同行
以前、散歩に同行した園で、面白い子どもの遊びに出会いました。
その日は近所の公園へ行きました。担任の先生が「落ち葉アートをするからたくさん落ち葉を拾ってね」と子どもたちに声をかけていました。一部の子どもたちは、先生と一緒に落ち葉拾いを楽しんでいました。他の子どもたちは、なにか遊びを探している様子でした。
子どもたちの面白い遊び
10分程経ち、子どもたちはバラバラに散らばって遊び始めていました。そこで目に止まったのは、しゃがみ込んで土で山を作っている3人の子どもたち。私はその子たちにそっと近づいて遊びを覗いてみました。そこには5歳児の男の子AくんとBくんの2人と3歳児のAくんの妹がいました。
私に気づいたAくんが「アリのためのふじさんをつくってるんだ」と教えてくれました。私は「アリのための富士山?!確かに!アリにとったら富士山だね」と答えながら、面白いな〜と思って見ていました。するとAくんは「ほんとはみずがほしいんだけどね〜」と呟いたので、私は「水?あるよ」と自分の小さな水筒を差し出しました。
土から出てきたお皿に大興奮!
そのやりとりをしていると、近くにいた3歳児の数人も何をしているのかと興味を持って集まってきました。
Aくんは「え?!いいの?」と言いながら私の水筒を受け取ると、山のてっぺんに指で穴を開け、そこへ慎重に水を垂らしました。
まるで火山から溶岩が流れるように、水が流れ出しました。私が思わず「わ〜!火山だね!」と声を挙げると、それを見ていたBくんも「すごい!かざんだ!」と喜びましたが、Aくんの顔は真剣そのもの。
今度はその水を吸った土を下から両手で掬い上げました。乾いた土はサラサラとこぼれ落ち、丁寧に乾いた土を払うとそこに現れたのは、湿った土でできた黒いお皿でした!
私もBくんも「わ〜!!おさらができた!」と大興奮!Aくんも「できた〜」と呟き、嬉しそう。周りにいた3歳児も興味津々でその様子を見ていました。
それからは、私の200ccの水筒の水を子どもたちが代わる代わる、慎重に少しずつ使いながら、3歳児の子どもたちも含め、みんなでお皿作りに没頭し始めました。
Aくんが作る様子を間近で見ていたBくんは、自分でも同じようにお皿を作ることができて、「みて!みて!!」と嬉しそうに見せてくれました。
3歳児の子どもたちも、見よう見まねで作り、ちょっと欠けたり、枯れ草が飛び出しているお皿を嬉しそうに見せてくれました。
試行錯誤の遊び
実はこの遊びは、AくんがYouTubeで観てやってみたかったのだとか・・。それを知らなかった私を含めた大人たちは「すごい発見だ!」と大興奮でした。
このお皿作りの時の子どもたちの眼は真剣そのもので、どの土だとうまくいくか、どれくらい水を垂らしたらお皿の形になるのか、どこを狙って水を流し入れるとよいのか・・試行錯誤している姿はまるで研究者のようでした。
1ヶ月後また行った時、Bくんは私を見るとすぐに「おさらつくったのおもしろかったね!」と声をかけてくれました。あの時の体験は、Bくんにとってインパクトが大きかったのでしょう。そして今回、そこに居合わせた大人たちも子どもたちの発見に一緒に驚き、子どもの力に感動した体験となりました。
新しい時代に必要な体験
このように、子どもたちの試行錯誤そのものが遊びになることがあります。その試行錯誤の遊びは、大人が想定する活動の枠を超えたところで起きるのです。子どもの興味と目の前の環境や状況が合致した時、偶発的に始まります。大人の意図や想定を超えた体験は、子どもが自らきっかけを掴み、創り出します。 その体験はきっと、子どもの深い所で学びとなるでしょう。
大人の思考の枠を超える遊びこそ、これからの新しい時代に必要な体験なのではないでしょうか。
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