発達支援相談として園に訪問する際、5歳児の相談でよくでるのが「このままでは小学校にいって困ることがたくさんある」、「学校にいって困らないために… 」 というご質問です。
このままでは学校に行ったら困ってしまうのでは?
先生方は子どもたちを想うあまり、“学校”という現在とあまりにも違う環境に不安を感じ「○○を出来るようにしておこう」と考えるのだと思います。しかし大事なことは、小学校で上手く過ごせることがゴールではありません。ひとり一人の子どもたちが、その子らしく育ち、自分を大切にできる大人になることではないでしょうか?
必要なのは、その子らしく成長すること
学校に合わせてその子の成長を促すのではなく、今の発達状況に合わせた関わりをすることで、その子に必要な力が身についていくのです。それでは、入学後に○○君が困りごとだらけになってしまう。と思われるかもしれません。しかし、入学後の生活は学校の先生方にお任せし、それまでの園生活を丁寧に関わり、過ごすことで有効な支援方法を知り、その支援情報を学校の先生に繋ぐという役割を保育士さんたちにはしてほしいのです。
学校に合わせて子どもを無理に引き上げようとして、せっかくの残り少ない園生活が、楽しかった保育園から嫌な保育園として終わりにしてほしくはありません。
幼児期に必要な支援については、こちらの動画でも詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
保育者だからこそできることがある
子どもたちにとって、園生活が楽しく安心できる場所であり、自分を丸ごと受け入れてもらえる大好きな大人がたくさんいる場所という気持ちのまま送り出してもらいたいと思います。先生方が不安に感じているように、就学後に様々な困りごと起きるかもしれません。そんなときに、ふと「保育園の先生は僕の良い所は誰にでも優しいところだよ。と言ってたなぁ」とか「困った時には、助けを呼んでいいんだよ」など、自分を丸ごと受け入れられていた頃を思い出し、懐かしく感じ、自分の進む方向や、自分を大切に出来る気持ちを思い出せるのです。
幼児期の頃に大切にされた経験はお守りのように子どもたちの心に残り、自分を大切に出来る力になります。
勉強ができることよりも、自分自身を大切にでき他者も大切にできることは人として大切なことではないでしょうか?
長い期間一緒にすごした今と以前の発達を再確認しながら、一人一人の成長を喜び、残りの短い日数を楽しく安心できるものとして変わらぬ園生活を過ごしていって下さい。
井上さんからアドバイス
今回は、就学に対して、先回りの余計な心配はしなくて大丈夫という内容をお伝えしました。
学校生活が不安なあまりに先回りし、あれもこれも出来るようにしなくては…と思ってしまうかもしれません。しかし保育者ができるのは、その子を信じ、困った時には助けを求めてよいこと、自分は大切な存在であること、あなたを大切に思っている人たちがたくさんいることを伝えることです。
そういった、上辺のスキルだけでなく深い部分を育てる事で、困った時にも何とか自分のペースで進んでいく力になります。
先回りして何でも身につけさせることよりも、壁にぶつかった時に一つずつ他者の力を借りながら解決し、次第に自分でも解決できる力が身につくそんな子どもたちに育ってくれると良いですね。
井上さんに直接聞いてみたい発達支援のお悩み募集中
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