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6歳児が小学校の前に通う「プレスクールクラス」。スウェーデン独自の教育制度とは

スウェーデンの幼児向けの教科書
スウェーデン在住で2児の母であり、プレスクールで保育士として働くよしざわたかこです。この連載ではスウェーデンの幼児教育を中心として、保護者の目線と働く目線とを織り交ぜながら、現地のリアルな情報をお伝えしていきます。
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スウェーデン独自の教育制度

今回は、スウェーデンの学校制度の特徴でもある「Förskoleklass/プレスクールクラス(以下、プレスクールクラス)」について説明します。

プレスクールクラスとは、6歳児が通う小学校0年生のような場です。日本では年長さんにあたるこの年の子どもたちは、5歳でプレスクールを卒園し、小学校に生活・学びの場が移ります。

この制度は1998年に設立され、プレスクールと小学校の架け橋の役割を担っています。日本でも小1プロブレムと呼ばれていますが、それまでの遊び中心の生活から教室スタイルへの移行の難しさはスウェーデンにもあったようです。そして学校とプレスクールのはざまにいる6歳児をプレスクールクラスという双方の出会いの場に置くことにしました。設立当初は、各家庭が任意でプレスクールクラスに通うかを決められましたが、2018年度からは義務となったため、義務教育が1年早く始まる形になっています。

我が家の長女は昨年からこのプレスクールに通っており、この6月に晴れて修了しました。この1年でスウェーデン語の読み書きがずいぶんできるようになり、さらに足し算の概念も理解している姿が生活の中で垣間見られました。




「プレスクールクラス」の授業内容

期間中は毎週先生からお便りが届き、月曜日から金曜日までにやったことの報告があります。それを見ると、言葉と算数の時間が大半を占めていました。その内容は「Arbetspass」と呼ばれる、先生から与えられるプリントに取り組むというものです。年度始めは、アルファベットに親しむためのクイズ形式の問題や数字をつなぐ点つなぎ、丸・三角・四角などの形を見つける課題をやっていました。後半からは、実際にアルファベットや数字を書く練習と、それらを使った単語を書くことにも取り組んでいました。
 
プレスクールに飾ってある製作
それ以外に創作活動の時間もありますが、こちらは先生からお題が与えられ、全員が同じものを作っていました。壁面への掲示もされており、日本の幼稚園や保育園に近いイメージです。また、体育の時間と森に行く時間が毎週1回ずつ。そして、プレスクールクラスも雨、雪に関わらず毎日1回は外遊びの時間があり、校庭で思い思いの遊びをする時間もしっかり確保されていました。1日の活動時間は食事も含めて4時間あり、大半の子どもがその後、クラスに併設されている学童で過ごします。

日本の仕組みとの違い

スウェーデンのプレスクールの園庭
残念ながら長女のプレスクールクラスでは個人の活動が多く、グループで同じテーマ、あるいはプロジェクトに取り組む活動をする時間はありませんでした。その点では幼稚園など日本の幼児教育施設で自然発生的に起こるプロジェクト活動は、科目を特定しない横断的な学びの宝庫。6歳児の協同する力を発揮するには素晴らしい活動だと思います。
世界的に幼保小の接続の難しさが問われている中、今回はスウェーデンでの取り組みを紹介しました。次回は再びプレスクールに焦点を当てていきます。


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よしざわ たかこ

この記事を書いた人

よしざわ たかこ

スウェーデンの保育士。東京でOL(10年)→出産→退職→幼児教育を学ぶために再度大学生→2016年に家族でスウェーデン移住→スウェーデン語をゼロから学び、2019年5月からプレスクールに勤務中! 移住後は、スウェーデンの幼児教育事情をブログにて配信中。

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<ニュースレター スウェーデン保育通信>
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