「あれ?私の保育って違うかも?!」
こんな風に思った出来事があったのは、保育士になって5年目のことです。
その当時5歳児の担任だった私は、子どもたちをどうにかコントロールしようとしていました。園庭での遊び時間も、私が何をするかを考えたり調べたりして計画を立てていました。
しかし、こちらは楽しいだろうと思っていても、子どもたちは「いつになったらあそべるの?」と無邪気に聞いてくる始末。
“遊ばせてあげている”私も、“遊びをさせられている”子どもたちも、全然楽しくないのです。私は、どうしたらうまく子どもたちを遊ばせられるか?ばかりを考えていました。
そんな時・・「年長さんの遊び方が危ない」と、乳児クラスの先生から注意を受けました。
そこで私は、「園庭がダメなら、園外へ行きます!」と、近所のグラウンドに初めて子どもたちを連れて行きました。
「ここで遊ぼう!自由に遊んでいいよ〜」
そう言うと、子どもたちは、「え〜!なんにもないじゃ〜ん!」と一斉にブーイング。
そこは樹木に囲まれた荒れたグラウンドで、固定遊具は一つもありませんでした。
「とにかく遊んでみようよ」と子どもたちに任せて様子を見ていると‥
5分もしないうちに思い思いに遊び始めました。
大きな折れた木の枝を見つけて引きずって来る数人の男の子たち。
お花を摘んで歩く女の子たち。
グラウンドの砂を集めて大きな山を作り始める子どもたち。
グラウンドの端から端を使って棒で大きくお絵かきをする子や、ただ走り回る子。
様々な遊びが始まり、それが集めて来た大きな枝や廃材を使ったお家ごっこに発展していきました。
最終的には、それぞれが好きなことをしながらもお家ごっこを共有している集団遊びになりました。
それまで私は、遊ぶ時間を“自由遊び”にしても子どもはあまり遊び込めないのではないかと思っていました。
また、自由にすると“無法地帯になってしまうかもしれない” “収拾がつかなくなるかもしれない”とも考えていました。
でも実際は、子どもたちは自由な発想を持っていて、大人が考えるよりもずっと面白い遊びを創り出す力があったのです。
この時の子どもたちの姿から、“大人が与える保育”ではなく、“子どもの力を引き出す保育”をすることが、子どもたちにとっても、保育者にとっても心地良いのではないか、そしてそのような保育は自然環境の中でこそ効果的なのではないか・・そう考えるようになりました。
これが今の私の原点となっています。
自然の中にはたくさんの素材があり、季節や場所によって変化する環境もあります。それは大人が用意するよりもずっと豊かな教材です。
『自然の中で子どもたちが自由であった時、どんな発想が出てくるのか、それをワクワクしながら肯定的に見守る保育。』
私は今、この保育を研修や講演などを通して伝えています。
“地球の未来を創る人材”としての子どもたち。
そして、その人材の育ちに関わる保育者も“地球の未来を創る人材”
そう捉えて、このコラムを通してみなさんと一緒に歩んで行きたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします!
【ほか自然体験に関するおすすめ記事はこちら】