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経済活動が再開する一方で、再開されないもの【カノア保育園の生活】

手形アートをやっている子ども
園の設立ストーリーと並行して地元の文化や生活を紹介していますが、引き続き予断を許さないのが、新型コロナとの向き合い方。カノア保育園のある地域でも経済活動の再開が始まりましたが、取り巻く環境はどう変化したのでしょうか。
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保育園のある地域で経済活動の再開が決定

カノア保育園のあるセアラ州アラカチ市では、9月7日の独立記念日を前に、経済活動の再開が決定されました。3月から続いていたロックダウン。少しずつ再開し始めていた、生活に必要な施設。それでも観光地であるカノア・ケブラーダでは、レストラン、ホテルなどの自粛が続いており、住民の多くは失業してしまいました。

そして、9月4日。連休が始まるその日に、車が続々と観光地にやってきました。再開されたとはいえ、短時間営業となっており、観光街にあるお店は、午前8時から午後8時までの営業とされました。また、屋根のない軽食を食べるお店は午前7時から午後10時まで。観光客に人気の海の家は、午前9時から夕方4時までと、一番短い営業時間となっています。公共の場での飲酒は禁止されているため、海岸や広場だけでなく、よく街中で見かける、ご近所同士で道端にイスを並べた井戸端会議も見かけなくなりました。

ブラジルでは、コーヒーブレイクや、こうした道端での井戸端会議が毎日の日課という人も多く、私自身も、ブラジルにいるときは夕方になると必ず義母か友人の家に行き、一緒にコーヒーを飲みながらその日の出来事を話していました。こうしたコミュニケーションをとることができないというのは、ブラジル人にとってとても寂しく、厳しい状況なのではないかと思います。




多くの人が訪れた観光地カノア・ケブラーダ

観光地カノア・ケブラーダには、9月4~8日までの間に、多くの人が訪れたそうです。いつもなら車の通らない村の裏通りにも、迷子になったような車が何十台も通り、驚いたという話を聞きました。そして買い物にスーパーに行こうと思うと、お店の中は歩けないほどの人で溢れ、道にも人が溢れかえっています。あたかも年末年始か、カーニバルの時期かのような混雑ぶり。地元住民は怖くて家から一歩も出られない状態が続いたそうです。以前は外国からの観光客が多く訪れていたカノア・ケブラーダ。しかし今は、海外からの観光客はやってきません。それでも、ブラジル国内からは、今までの自粛からの解放ということで、多くの人たちが国内を移動していました。
 
手形アートをやっている子どもの手

再開されない学校

経済活動は再開する一方で、再開されないものがあります。それは、学校です。

今年度については、保育園から大学まで、セアラ州の学校はオンラインのみということが決定されました。ブラジルという国では、州によって対応が異なるため、州都ブラジリアでは学校再開が決まりました。しかし、再開されても安心して子どもを通わすことができないと、子どもを自宅待機させている保護者も多くいます。特に保育園などの幼児教育施設では、退園者も続出しており、多くの施設が存続すら危ぶまれている状態です。

そして私たちは、引き続き慣れないオンライン授業を実施しています。なかなか満足のいくものができず、しばらくは試行錯誤が続いていくと思います。

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鈴木真由美(著)
発刊:2020年8月20日
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