「登園時にいつも機嫌が悪い」を、どう考える?
「登園時いつも機嫌が悪い」というお悩みは、実はこれまでの事例と違っています。今までの事例を並べてみます。- 紙芝居のとき隣の子を叩いて泣かせる
- 給食のときに食べ物を机から払い落とす
- 自由遊びの時間になるとお部屋から出ていってしまう
- 蛇口を見るとどんなときでも手を洗おうとする
- トイレに行くのに廊下に並んだときに友だちを押す
そうなのです。これらは全部、対処すべき「行動」が、誰から見ても「この行動」と特定できるものです。けれど「登園時いつも機嫌が悪い」は、そうではない。
同じ状況に遭遇したとき、A先生は「ぐずってだっこをせがむ」、B先生は「友だちを叩く」、C先生は「活動に誘っても興味を示さない」、D先生は「部屋の隅で寝転がっている」、という行動を「機嫌が悪い」と言う。
保育士によって「機嫌が悪い」の中身が違うのです。
このように人によって中身が異なり、「この行動」と特定できない「登園時いつも機嫌が悪い」というものは何か? というと、これは子どもの「行動」に対する先生の「解釈」や「評価」なのです。
ここで大切なこととしてわかっていただきたいのは、周囲の大人がアプローチし、対処し、変えていけるのは子どもの「具体的行動」だけだということです。
ここでいう「具体的行動」は、
- 数えられる(減った・増えた・変わらないがわかる)
- 誰が見ても「この行動」と特定できる
- 外から見て「その行動をしている」ことが直接観察できる
「困っている」状態を「困っていない」状態に変えていくには、対処してみてその対処が適切だったのか的外れだったかを見極め、的外れなら別の対処を探る必要があるわけですが、その「見極め」は「困った行動」が減ったかどうか?もしくは許容できる他の行動に置き換わったか?で行います。
ですから適切な対処を探すには、アプローチの対象は、①増減が数えられるものである必要があり、数えられるということは②人によって何を数えるかが違わないように、「この行動」と特定できなければならないし、また、③外から見て観察できることものでなくてはなりません。
だから私たちがアプローチし、対処して変えていけるのは、子どもの「具体的行動」だけ、ということなのです。
「機嫌が悪い」は「具体的行動」の要素を充たさないので、アプローチできません。ですから「機嫌が悪い」という困った状態に対処して良い方向にもっていくには、まず「機嫌が悪い」という先生の「解釈」をアプローチ可能な「具体的行動」としてとらえなおす=「具体的行動に読み替える」ことをします。
「具体的行動に読み替える」対処方法とは?
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