「具体的行動」と「解釈」の違いのおさらい
前回は「登園時いつも機嫌が悪い」というお悩みを元に、子どもの行動の「解釈」を問題とするのではなく、「具体的行動」に読み替えて対応しよう、というお話をしました。そして最後に、6つの行動について「解釈」に当てはまる行動を選ぶという「宿題」をお出ししました。 難しかったでしょうか? ①~⑥のうち、「解釈」はどれでしょう。それは例えばどんな具体的行動として読み替えられるでしょうか?
①翔君は、だらしない→解釈
例:シャツのボタンが掛け違っている
② 玄太君は、集中力がない→解釈
例:紙芝居の途中で出ていく、絵を最後まで書かない、給食の途中で遊ぶ
③ 剛君は、友だちが持っているおもちゃを横取りする→具体的行動
④ みゆきさんは、よく物をなくす→解釈
例:授業終了時に、授業で使った筆記用具を床に落としたままの状態で離席する。
⑤ さとこさんは、先生の話を聞かない→解釈
例:話している途中で先生の顔から視線を外す、話している途中で席を立つ
⑥ 良平君は、自信がない→解釈
例:初めてのことをやらない、発表を拒否する
どうだったでしょうか?
「解釈」をターゲットとすることの問題点
具体的行動ではない「解釈」には、先ほどの例以外にも「乱暴」「怒りっぽい」「素直でない」「協調性がない」「やる気がない」「意地っ張り」などいろいろあります。このような「解釈」を問題だとして対処しようとしても、働きかけが適切だったか的外れだったかが判断できず、適切な対処をみつけられないことは前回お話したとおりです。そして「解釈」を問題として何とかしようすることには、それ以外にも望ましくない点があります。
ひとつは、人によって「具体的行動」が異なり、したがって、行動の理由と考えることも対処も異なり、結果、叱ってみたり優しくしてみたり放置してみたりかまったりと、保育士ごとに対応が異なってしまうことです。それだと子どもは混乱するだけで、状況はよくなりません。
また、「解釈」に基づいて対処をしようとすることで、子どものネガティブな評価が固定化してしまう恐れもあります。
例えば「友だちを叩く」という「具体的行動」は「単純な事実」であり、それ事態にはいいも悪いもありませんが、「乱暴」という「解釈」の中には「悪いこと」というネガティブな価値判断が含まれています。
そして「〇〇くんは乱暴」だから対処しましょう、という問題設定をして話し合いをすると、〇〇君は「乱暴」というネガティブな「解釈」が前提になる。その結果、先生方の間で○○君に「乱暴」というネガティブな「評価」が共有され、彼に「乱暴」というレッテルが貼られてしまうことになりかねません。
その意味でも、先ほどあげた、「機嫌が悪い」「怒りっぽい」「素直でない」「協調性がない」「やる気がない」「意地っ張り」などのような子どもの行動を「解釈」するワードで問題設定をするようなことがあれば、「待てよ」と立ち止まり、それを「具体的行動」に読み替えて考える、それを基本的な取り組みの姿勢としてほしいのです。
前置きが長くなりました。
「活動に誘うと大きな声で『いやだ』と叫ぶ」子の対処法は?
続きは、ほいくisメンバー/園会員限定です。
無料メンバー登録でご覧いただけます。