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ブラジルで実践する“リモート保育”とは?【コロナ禍の海外での保育園事情】

リモート授業に取り組むカノア保育園の様子
ブラジル・カノア保育園の設立ストーリーと並行して、地元の文化や地元の生活をお伝えする続編です。ロックダウンが続くなか、リモート授業となってしまったカノア保育園。子どもたちの成長への影響が懸念されるなか、どのように状況が変わっていくのでしょうか?

カノア保育園を取り巻く、いまの保育事情は?

カノア保育園のあるセアラ州では2021年5月末より、教員に対するワクチン接種が開始されることになりました。もちろんワクチン接種の第1優先は、医療関係者。

しかし、学校が未だリモート授業であることから「子どもたちの学力の低下は否めない」との見識が出され、学校を再開するためには、教員に対するワクチン接種が必要不可欠であると話されるようになりました。

そしてようやく、教員に対するワクチン接種が開始されることとなったのです。教員の中でも、幼児教育、基礎教育(小中学校)の教員を優先されることになっています。

そんな現地の保育事情はというと、通常の保育園運営が難しい状態です。カノア保育園では保育士の皆さんとともにリモート授業に取り組んでいます

保育園のリモート授業は「家庭用の月案」と「コミュニケーションアプリ」

「保育園のリモート授業」というと、皆さんはどのようなものを想像しますか?

多くの場合はZoom等を使用した、オンライン授業を想像されるかもしれません。

カノア保育園のあるアラカチ市では、2020年3月から7月まですべての学校が休校となり、8月からリモート授業が開始されました。

オンライン授業というのは、双方向での直接的なやり取りが可能な状態を示します。リモート授業の場合、教員による動画と課題(プリント)の配信がされ、それに対して児童・生徒が課題を実施して提出します。

2021年も引き続きリモート授業となったため、アラカチ市では独自のアプリを開発し、全ての学校に情報処理担当の教員を配置。各学年の教員が準備した課題を、そのアプリを通じて実施するという方法に変わりました。

アプリには1週間ごとに新しい課題が追加され、出欠や課題の提出をそのアプリを通じて行うことになります。

4歳以上の幼児クラスでも同様の方法がとられています。1週間に1回動画が配信され、そこでの課題を自宅で実施してアプリを通じて提出しています。

でも、カノア保育園ではアラカチ市独自のアプリを活用することはしていません。

1つにはアプリを導入できない家族がいるということ、もう一つには、相互のやり取りが希薄になってしまうというデメリットがあると考えたからです。

そこで私たちは、
  • 3ヶ月ごとの保護者に対する研修
  • 毎月1度の教材キットの配布
  • 動画やメッセージによる、既存のコミュニケーションアプリ「WhatsApp(ワッツアップ・メッセンジャー)」を使用したやり取り
この3つを中心として、リモート授業を継続しているのです。
 
保護者に配布する教材キット
写真は、ある月に保護者に配布した「教材キット」です。

基本的な連絡はコミュニケーションアプリ内にあるクラスグループを使用しますが、必要な場合には個別対応をしていきます。

集団生活の中で学ぶことのできる、社会性等を身につけることは、今の状況では困難であると言えます。

リモート授業の中で、どのようにすれば他者との関わりを実現できるか?

それを今、私たちは必死に考えています。
 
「カノア保育園」があるセアラ州アラカチ市の状況は?
カノア保育園のあるセアラ州では、今年7月には、18~59歳までの人達を対象とした新型コロナウイルスに対するワクチン接種を始めると伝えました。

それと同時に明らかにされたのは、5月29日より、教員に対するワクチン接種が開始されるということでした。医療関係者は第1優先としてワクチン接種を行い、既に76%以上が2回目の接種を終了しています。

また、92%の60歳以上の人達は、1回目の接種を終えていて、私の義父母は既に2回目の接種を受けることができました。

そんな中、学校が未だリモート授業であり、子どもたちの学力の低下は否めないとの見識が出され、学校を再開するためには、教員に対するワクチン接種が必要不可欠であると話されるようになりました。

そしてようやく、教員に対するワクチン接種が開始されることとなったのです。教員の中でも、幼児教育、基礎教育(小中学校)の教員を優先とし、その後、高校、大学の教員への接種となります。カノア保育園のあるアラカチ市でも登録サイトが提示され、ワクチン接種に向けて動き出したところです。

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鈴木真由美(すずき まゆみ)

この記事を書いた人

鈴木真由美(すずき まゆみ)

保育士。ブラジル・カノア保育園 園長。2000年にブラジル北東部にある漁村カノアに渡り保育園の運営を始める。2006年にカノアでの支援を目的にした「光の子どもたちの会」を設立(2015年にNPO法人となる)。現地の地域力向上を目指して活動中。2児の母。
<光の子どもたちの会HP>
http://criancasdeluz.org/quem_somos_nos/quem_somos_jp.html

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