プロが教える体操指導のポイント
保育園や幼稚園、認定こども園では、運動会や生活発表会で、先生がダンスや体操の振付を覚えて子どもたちに教えたり、実際に振付を考えたりしなければいけないことがありますよね。しかし、- 「振付を覚えるのに時間がかかる…」
- 「子どもたちにどう教えたら分かりやすいのだろう…」
- 「そもそもダンスが苦手…」
ほいくisメンバーと園会員向けに配信をしている『ほいくisオンライン研修』では、『子どもと楽しく体操指導!』をテーマに選びました。講師は、NHK Eテレの人気番組「おかあさんといっしょ」で歴代最長の14年間にわたり“体操のお兄さん”を務め、「よしお兄さん」の愛称で長年愛され続ける小林よしひささん。
体操指導のプロとしての的確なポイント解説と、多くの子どもたちと触れ合ってきた小林さんならではアドバイスが必見です。
※『ほいくisオンライン研修』は、保育に役立つさまざまな情報を配信する保育者向け動画プラットフォームです。動画は、ほいくisメンバーまたは園会員の登録(無料)をするだけでいつでも視聴できます。 ぜひこの機会にメンバー・園会員登録をして、園内研修や勉強会、個人の学びなど、さまざまな取り組みにご利用ください。 >>ほいくisオンライン研修はこちら |
「なりきる」ことで自信を持って!
Webセミナーの公開に合わせて、セミナー収録後にインタビューをさせていただきました。今回のテーマである体操指導に関して、保育者さんが持っている課題について質問してみました。保育士さんは体操やダンスをする場面が多いのですが、苦手な方が覚えたり、指導したりする時のコツはありますか?
振付を覚えていない状態で子どもたちの前に行くと心配な気持ちになってしまうと思うので、まずは、先生自身がしっかり覚えることが大事です。とは言え、なかなか覚えられなかったり、動きが難しかったりする部分もあると思います。そんなときは、動きを間引いてしまうのがコツですね。例えば、今回Webセミナーで実演した『あそべ!アドベンチャー』の場合は、サビは振付通りに覚えるけれど、AメロやBメロは上半身の動きをなしにして足元のステップだけにする、同じ動きを繰り返す、といったアレンジが可能です。自分が安心して、自信を持って教えられるところまで簡単にしてしまっても良いと思います。
「苦手ではないけれど、人前で踊るのは恥ずかしい…」という方もいます。殻を破るコツはありますか?
実は私も、人前に出て何かをするのは苦手だったんです。でも、この業界に入ったときに、「自分の中で、人前に立ったときのキャラクター設定をするといい」と教えてもらったことがあります。例えば、子どもたちの前で体操指導をするときは、自分自身が「体操のお兄さん・お姉さんを演じる」という感覚を持つと、別人になれるかもしれません。全員に必ず当てはまるかはわかりませんが、私はこの方法で克服しました!
普段から子どもたちと遊ぶ中でも、たくさんの「なりきる」場面がある保育士さん。体操のときにも、まずは何かになりきって自信を持ってやってみましょう! 自分自身もワクワクした気持ちで楽しめそうですね。
振付は「走る」だけでもOK
運動会や生活発表会では、ダンスの振付をすることもあります。初心者が振付をするコツはありますか?
まずは曲選びからですね。サビの部分が印象的な曲を選ぶこと、そしてどれだけ長くても3分までの曲にすることがポイントです。また、今回のWebセミナーの中では、子どもたちに教えるときのポイントとして「分割する」というお話をしていますが、振付を考えるときも同じように、まずは曲を分割してみることです。
どうしても、「子どもたちに分かりやすい振付を」と考えてしまいがちですが、まずは一旦そのことは置いておいて大丈夫。自分の思い描くままに作ってみてください。
例えば、サビに印象が強い動きを入れて、AメロやBメロは簡単にしてみるのもおすすめです。そこから、「ここはステップだけ」「ここは準備体操っぽい動き」などと考えていくと、意外と簡単に構成ができあがりますよ。
今はいろいろなダンス動画や振付動画もあるので、それを見ながら使いやすいものをチョイスして組み合わせていくだけでも問題ないと思います。
0~5歳の各年齢に合わせたおすすめの動きはありますか?
0~5歳の子どもたちは運動能力の差が大きく、同じ年齢でも差が見られますよね。なので、あまり年齢にこだわらなくても良いと思います。おすすめの動きを挙げるとすれば、「走る」ことですね。よく親子指導に行かせていただくのですが、始まる前の子どもたちの様子をチラッと隙間から覗くと、大抵の子どもたちは走って遊んでいます(笑)。走るのが好きな子も多いので、異年齢でも合わせやすい動きとしておすすめです。また、テンションが上がりやすい動きとしては、「ジャンプ」も2歳以上の子どもたちには取り入れやすいと思います。
まずはシンプルな動きから取り入れて、体操やダンスを楽しむことを忘れずに取り組んでみるのが大切ですね。「振付は難易度が高い!」と感じている保育士さんも、よしお兄さん直伝のコツを試してみてください。
遊びの楽しさを感じてほしい
集団で一緒に活動するとき、どうしても他のことに気が向いてしまったり、集中できなかったりする子もいると思います。そんなときはどうしますか?
その子がどうしてそのような行動を取っているのかによって違うと思いますが、教育番組の収録でも同じようなことはありました。もし、「踊ることに興味がない」「集中が切れた」「動きが好きではない」ということであれば、別のところで関わる機会を作るのが良いと思います。例えば、音楽の再生ボタンを押す係とか。そういうところから少しずつ参加できるようにしてみるのも一つの方法ですね。今回の実演曲でもある「あそべ!アドベンチャー」の振付に込めた想いを教えてください。
体操のお兄さんの経験を通して一番感じた想いが、「体操やスポーツなどさまざまなものがあるけれど、その根本には遊びがある」「遊びは子どもたちにとって最大の冒険であり、楽しみである」ということです。この想いを歌詞と動きに落とし込めたら良いな、と作り始めました。この曲を通して、遊びの楽しさ、身体を動かす楽しさ、ワクワクする冒険心をいつまでも持っていて欲しいという気持ちを込めています。共作のたにぞう先生とは、どのように進めていったのでしょうか?
たにぞうさんから、「ヒーローソングが良いのではないか」とご提案いただき、バチっとはまりましたね。たにぞうさんのお家に行って、どんなものが良いか1日アイデアを出し合い、作り上げていきました。子どもとの関わりについて、思わず「なるほど」と声が出てしまうような考えをお聞きすることができました。「遊びの楽しさを忘れずに」という想いがこめられた「あそべ!アドベンチャー」。キャッチ―で分かりやすい振付や、印象に残るメロディーが魅力の楽曲ですので、園の活動にも取り入れてみてくださいね。
保育者に役立つ内容が盛りだくさん!
最後に、「子どもたちと触れ合って得られるエネルギーやアイデアは本当に素晴らしい」と笑顔で語ってくれた小林さん。長年、たくさんの子どもたちと触れ合ってきたからこその視点から、いろいろと気付きの多いお話を聞くことができました。よしお兄さんによるWebセミナーは、『ほいくisオンライン研修』でしか聴講できない特別な講座。この機会にぜひメンバー・園会員登録をして、皆さんの学びの機会として役立ててくださいね。
小林よしひさ(こばやしよしひさ)
1981年、埼玉県生まれ。日本体育大学卒業。
2005年~2019年NHK・Eテレ「おかあさんといっしょ」第11代目体操のお兄さんを歴代最長14年間務める。卒業後も得意な料理や運動能力を活かし、イベント、バラエティ番組に出演。2021年には、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ~岡山編~』に初出演。YouTubeキッズチャンネル「よしお兄さんとあそぼう!」でも人気を集める。現在は、NHK Eテレで毎週月曜日~水曜日に放送の 「オハ!よ~いどん」体操のお兄さんとしてレギュラー出演。
初のソロアルバム『よし!いっくぞー!!あそべ!アドベンチャー』発売中。
https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICG-8456/