始まりは理事長先生の「おもしろそう!」から
千葉県船橋市にある「習志野台幼稚園」。敷地内には保育園もあり、元気な子どもたちの声が響く、活気あふれる園です。レッジョの導入のきっかけは何だったのでしょうか? 学園の理事長でもあり、教育活動家でもあるいぬかい良成さんに、お話しを伺いました。「2011年に、渋谷にあるワタリウム美術館の展示で初めてレッジョに出会いました。直感的に、面白そう! と思ったのが始めたきっかけです。そこから本を読んだり探求を始めて、3年前に本格的に幼稚園でレッジョをスタートさせました。探求していくうちに考えや思想、哲学的なことなどいろいろな要素があり、さらに興味が深まりました」(いぬかい良成 理事長) 幼稚園や保育園で取り入れられる幼児教育の体系はなにかと考えたときに出会ったのが、「レッジョ・エミリア・アプローチ」。幼稚園の先生たちにレッジョの話を初めてしたときには、「全員から大反対を受けました(笑)」とのこと。新しい考え方を伝えるときって、どうしても不安になったり慎重になりますよね。
本格導入から3年目になり、徐々にレッジョの楽しさや魅力が先生たちにも浸透してきたようです。今ではみんなで試行錯誤しながら活動を進めているとのこと。
テーマは子どもたちの興味から
園では、専任のCPC(Children's Playtime Creator)と呼ばれるアートの先生が子どもたちの活動をサポートしています。本国イタリアのレッジョエミリア市では、”アトリエリスタ”と呼んでいます。取材にお邪魔した日、教室に入るとすでに子どもたちは活動に夢中! どんな活動を行っているのか、密着させてもらいました!
今日のテーマは?
「テーマは幼稚園の先生たちに、子どもたちが今興味があることや好きなことなど、探求できるテーマを考えてもらっています。」(日下奈保 CPC)
どんな雨ができるかな?
様子を見ていると、面白い姿を発見! ひとりの男の子が、大きな紙に絵具を使って雨を描いています。最初は筆をふるふると振って、床に敷かれた紙に絵具を垂らしていました。次は立てられた段ボールに貼られた紙に、筆をグッと押し付け絵具が流れる様子を見ていました。他の子どもたちの中には、チョンっと筆をつけるだけで雨を表現している子、スーッと流れるように描いている子などさまざまで、個性が光っていました。これぞ、子どもたちが自分の考えを表現できるレッジョのアート活動の醍醐味ですね。
子どもと向き合い、興味を育てる
レッジョの活動を支えるCPCの先生に、お話しを聞かせてもらいました。子どもたちに「問いかける」
活動を行う中で、つい大人が口を挟んでしまうことは誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。しかし、園の活動の中で見られたのは、CPCの先生が「これはどんな雨なの?」と問いかける姿。子どもの想いを、子ども自身の言葉として表現してもらうための働きかけが印象的でした。当たり前のようですが、とても大切なことですね。
自己肯定感を育んでほしい
「私も子どもたちの自己肯定感を育てることを、一番大切にしています。自己承認ができれば、他者も承認できる。他者と話し合いをして問題解決していこうという力を育んでほしいです。」(日下奈保 CPC)
園全体で共通の想いを持っているからこそ、子どもたちにとって意味のある活動になっていくのですね。
大人も子どもも同じ場で育つ
子どもたちから何かを「学びたい」という想いがあることは、子どもに寄り添った保育や共育を行うポイントになるのかもしれませんね。同じ場所で育ち合う先生と子どもたちの姿がとても生き生きと感じられる幼稚園でした。
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