レッジョの保育に魅せられて

レッジョ・エミリア・アプローチ導入にはどのような想いがあったのかを、園長の根津美英子先生に伺いました。
「2013年に幼保連携型認定こども園へと移行した際、それまで幼稚園で行っていたアート活動を本格的にしようと、アトリエを作りました」
という根津園長。その動機について、
「アートは子どもの思いを表すもの。色づかいひとつでも、一人ひとりの個性が出るのがいいですよね。」と語ってくれました。
その個性を大切にしたいという想いもあり、そのタイミングでレッジョ・エミリア・アプローチを基にした保育をスタート。
自由な発想をそのまま表現できるアート活動は、子どもたちの育ちの中で大切な役割を担っているのですね。

自分の思うままにアート!
園の玄関をくぐって最初に目に入ったのは、不思議な色彩を放つ絵でした。なんとこの絵に使われている絵具、子どもたちが自分で作ったんだとか。実際どのようなアート活動をしているのか、その内容を聞いてみました。
自分だけの絵具で描く

園では、花、食品用の着色料、チョーク、土などを使って「自分だけの絵具」を作っています。色の中にもさまざまな種類があることを学ぶことができ、なんとも楽しい活動ですよね。
なにを使うと、どんな色になるのか。子どもたちなりに考えて色を作ったり、できた色を色見本で比べてみたり。その行動ひとつひとつにも、子どもの主体性が表れています。

あれもこれも、アート作品!
アート作品は、絵を描くことだけではありません。木の実や落ち葉、木の枝、布、マカロニ…身の回りにあるもの全てが、子どもたちの作品に。「子どもたちの感覚は、大人より敏感です。においや光、感触、音など五感で感じることを大切にしています。」
「また、風の音、木々のざわめき、小鳥のさえずりなど自然の音に耳を傾けることも大切にしています。」

保育者として大切にしたいこと
子どもの個性を大切にする、レッジョ・エミリア・アプローチを取り入れた保育。保育者として、どのように関わっていくことが大切なのでしょうか。環境を用意する
「環境をどのように作るかは重要です。子どもたちの“やりたい!”気持ちが引き出され、じっくりモノと対話したり、一人ひとりの興味を持ったことが探求していけるよう、そのための手助けを行っていきたいと考えています。」
制服がないのも、一人ひとりの個性を大切にという意味があり、好きな服を着て個性を表現してほしいという意図があるとのこと。

大変なことかもしれませんが、子どもたちの思いを尊重し、一人ひとりの違いを受け止めることが保育者には求められることでしょう。そのためにも、子どもたちの興味や関心をしっかり向き合ってキャッチしていきたいですね。
保育への「想い」を共有する

「園内研修や外部の研修はもちろん、ミーティングの内容は必ず全員で共有するようにしています。」
全員が同じ方向に向かっていくことは、いい環境を作り上げるためのポイント。そのためにも、話し合った内容は全員がしっかり把握するよう徹底しているとのこと。
「入職する前には、うちの保育に共感してもらえるかどうか見てもらうようにしています。細かいルールもあるので、最初に全部お話しします」
就職時、「思っていたのと違う!」なんていうギャップが発生することも少なくないですよね。そんなことを防ぐためにも、方針や保育内容は事前に説明して理解してもらうそう。
五感を使って育つ

そして自分の興味を行動にすること、その環境を保育者が作ること、子どもの興味を引き出すことが、レッジョ・エミリア・アプローチを実践する中で大切なこと。のびのび育つ六浦こども園の子どもたちには、たくさんの思いが込められているのですね。
【関連記事】