言葉遊び(ことばあそび)とは
言葉を使って音の響きを楽しんだり、自分のイメージを表現することを楽しむことができる言葉遊び。子どもたちが遊びを通して新しい言葉を知ったり、思考力を身に着けたりするきっかけになるので、どの年齢のクラスでも日常的に保育に取り入れたいですよね。また、言葉遊びはルールがシンプルで、ほとんどは道具なしで遊ぶことができます。保育者のみなさんは、スキマ時間に取り入れられる遊びのレパートリーとして覚えておくと便利です。
今回は、そんな言葉遊びの導入に読みたい絵本と保育中に意識したい遊びのねらい、言葉遊びのアイデアをまとめました。遊びのアイデアには、それぞれおおよその対象年齢も記載していますので、ご自身のクラスで取り入れる際の参考なさってくださいね。
言葉遊びの導入にオススメの絵本
言葉や文字に興味を持つきっかけづくりには、こぐまちゃんシリーズの絵本「さよならさんかく」がオススメ。「さよならさんかく またきてしかく…」と懐かしいフレーズから始まり、「まるいは なあに」「きいろは なあに」と“色”や“形”がテーマの連想遊びに展開していく絵本です。かわいいイラストと楽しいリズムで自然と言葉を覚えることができますよ。繰り返し読むと、子どもたちも思わず一緒にセリフを口ずさんでしまいます。この作品を通して言葉の面白さを知ったら、実際に言葉遊びで遊んでいきましょう。
さよなら さんかく
[さよなら さんかく]- 作:もり ひさし/わだ よしおみ
- 絵:わかやま けん
- 出版社: こぐま社
言葉遊びのねらい
保育園や幼稚園、認定こども園での遊びの活動では、ただ単に保育のひきだしの一つとして遊びを行うだけでなく、「ねらい」を意識して取り入れるようにしましょう。そうすることで、月案や指導案の作成にも役立ちますし、子どもたちの成長を促すことにもなります。- 言葉のおもしろさを感じながら興味関心を持つ
- 言葉遊びを通して友だちや保育者とコミュニケーションをとる
- 言葉に親しみながら正しい発音を知る
年齢別のポイント
言葉遊びは発達段階によりポイントが異なってきます。一つひとつ見てみましょう。3歳児
言葉でコミュニケーションが取れるようになり、想像力も大きく発達しはじめるので、この年齢の頃には、言葉語彙の幅を広げてあげられるような言葉遊びをオススメします。4歳児
言葉で自分の気持ちや経験を伝えられるようになり、想像力も豊かになって想像でお話もつくれる作れるようになるので、この年齢の頃には、イメージする力を育てる言葉遊びをオススメします。5歳児
言語力・思考力・記憶力などがさらに発達し、お話の内容などしっかりと理解できるようになるので、この年齢の頃には、イメージする力にプラスして、言葉や文字を使って楽しむ少し難しい言葉遊びをオススメします。①言葉集めゲーム
対象年齢
3歳児/4歳児/5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①保育者が、「『か』がつく言葉ってなーんだ?」のようにお題の頭文字を決めます②子どもたちは「カエル」「カメラ」「カレーライス」のように、思いつくままに浮かんだ言葉を答えていきます
ポイント
お題のひらがなを1文字決めて、その文字から始まる言葉を考える遊びです。出てきた単語は保育者が書きとめておくようにすると、見返したときに「こんなに沢山集まったね!」と達成感を一緒に味わうことができますよ。子どもたちがめずらしい言葉を見つけられたら、「みつけられた!」という喜びをしっかりと受け止め、褒めるようにしましょう。また、さまざまな文字で繰り返し行うと、「この文字から始まる言葉は多いね(少ないね)」という気付きにも繋がりそうです。
②しりとり
対象年齢
3歳児/4歳児/5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①スタートの子が、「しりとり」もしくは好きな単語を言ってゲームを始めます②2番目以降の子は、前の子が言った単語の最後の文字(「しりとり」なら「り」)から始まる単語を言っていきます
③最後に「ん」のつく言葉を言ってしまった子の負けです
ポイント
言葉遊びの大定番「しりとり」。とっても単純な遊びですが、保育者やお友だちがさまざまな言葉を使うので、遊びを通して少しずつ語彙を増やしていくことができます。保育者は子どもたちが混乱しないように「『りんご』だから次は『ご』から始まる言葉だね」とフォローをしつつ、ゆっくりと考えられるように待ってあげると良いですよ。アレンジ例としては以下のようなものがあります。難易度を上げたいときに試してみてくださいね。
話し言葉でしりとりをしてみる
例:「これなあに?」→「にんじんだよ」→「よるごはんにたべよう!」部屋の中にあるものに限定する
例:「つくえ」→「えんぴつ」→「つみき」「動物」「食べ物」などテーマを決める
例:「オムライス」→「すいか」→「からあげ」3文字の言葉に限定する
例:「きつね」→「ねずみ」→「みるく」③連想ゲーム
対象年齢
4歳児/5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①「『白いもの』って何があるかな?」と保育者がお題を決めます②子どもたちは、「アイスクリーム」「雲」「ごはん」など自由に思いついたものを答えます
③みんなで協力していくつ思いつくことができるか挑戦してもいいですし、グループ分けをしてどちらのグループがより多く答えられるか競ってもOK!
ポイント
1つのお題から、さまざまなものを連想する遊びです。発想力を特に育むことができます。子どもがお題に合わない言葉を言ったときには、その間違いを責めないようにしましょう。「りんごって白だったっけ?」など、軽く声かけをして気付かせるのみに留め、答えを決めつけて子どもたちの自由な発想を否定しないように配慮することが大切です。また、普段から「バナナは黄色だね」「りんごは丸い形をしているね」とイメージを結び付けられるような声かけをしておくと、子どもたちもスムーズに答えられそうですね。
④私は誰でしょうゲーム
対象年齢
4歳児/5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①保育者がまずお題を頭の中で1つ決めます②保育者が、「私は、○○。」という文章になるようにして、お題のものの特徴をヒントとして1つずつ言っていきます
<例:お題が「れいぞうこ」のとき>
- 「私は、四角くて大きいです」
- 「私は、中がとっても寒いです」
- 「私は、野菜やお肉を冷やすために使います」
ポイント
お題を出す人が「私は、○○です。」とお題のものになりきってヒントを出していき、解答者はヒントを元に答えを導き出すゲームです。いくつかのヒントを組み合わせて1つのものをイメージする想像力が必要な遊びなので、ものの名前を覚えてイメージがしっかりと一致してくる、4~5歳頃から取り入れるのがおすすめです。始めは簡単なお題から出題し、だんだんと難易度を上げていくようにするとより楽しめますよ。
「答えが分かっても答え合わせまでは言わないようにしようね」とルールを決めて、子どもたち1人ひとりがいくつ答えが分かるかを楽しむのも良いですし、チーム分けをして、どちらのチームが多く正解できるかを競ってもいいですね。
⑤逆さ言葉遊び/回文遊び
対象年齢
5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①「りんご」→「ごんり」、「すべりだい」→「いだりべす」のように、身の回りのものを逆さまに言ってみて、その発音を楽しみます。正しく言えたら成功です②慣れてきたら「トマト」「しんぶんし」「やおや」など、逆さまに読んでも同じ発音になる言葉(回文)を探してみましょう
ポイント
単純に、言葉を逆さまから言ってみる遊び方の場合は、おおよそ3歳頃から楽しむ事ができます。言われた言葉を覚えることで記憶力を、反対から読んだらどんな音になるか考えて話すことで集中力を育むことができます。回文を探す遊び方はおおよそ5歳頃から楽しめますが、始めから子どもたちが見つけるのは難易度が少し高いので、まずは保育者が例を出して、「上から呼んでも下から読んでも同じ音になる不思議さを楽しむ」ことに重点を置いて遊ぶようにするといいですよ。
⑥アナグラム(文字の並べ替え)遊び
対象年齢
5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①保育者が、お題の単語を1つ出します②子どもたちは、そのお題の単語のひらがなを並び変えて、別の単語を作ります
例:「けいと」→「とけい」
ポイント
お題を出すときにはひらがなカードを使ったり、黒板、ホワイトボードを使ってお題の文字を見せるようにすると分かりやすいですよ。「にわ」→「わに」、「りく」→「くり」、「くに」→「にく」のように、始めは2~3文字の簡単な言葉をお題にするのがおすすめです。文字を入れ替えると全く別の単語になる面白さを、子どもたちと一緒に楽しみましょう。
アレンジ例
意味のある言葉から、別の意味のある言葉に変えるのは、お題を出す保育者にとっても少し大変です。そこで、この遊びから派生して、文字の並び替えクイズにしてしまうといいですよ。以下のように遊びます。①保育者はお題の単語を決め、ひらがなの語順をばらばらにして出題します
②子どもたちは、そのひらがなを並べ替えて、元のお題が何かを当てます
例:「か」「さ」「な」→「さかな」
③答えが分からないときには「海にいる生き物だよ」などとヒントを伝えましょう
⑦言葉作りゲーム
対象年齢
5歳児用意する物・道具
- ひらがなカード(あいうえおカード)
遊び方・ルール
①ひらがなカードを、その場にバラバラに置きます②スタート!の合図で、さまざまな単語を見つけて、ひらがなカードを並べます。このとき、同じ文字は1度しか使えません
③時間内に、限られた文字でいくつの単語を見つけられるか挑戦してみましょう
ポイント
この遊びは、ひらがなが読めるようになる、おおよそ4~5歳ごろから楽しむことができます。ポイントは、遊ぶ度に違う言葉を見つけることができるということ。繰り返し行って、新しい発見ができると面白いですね。またお友だちと一緒に行うことで、1人では思いつかない言葉を見つけられることもありそうです。答えに詰まってしまったら保育者も一緒になって取り組んで、ヒントを出してみてもいいでしょう。ひらがなカードが複数ある園では、数人ずつのグループに分かれて、いくつの言葉を見つけられるか競ってみても楽しいですよ。
⑧同じ音の言葉を探すゲーム(同音異義語ゲーム)
対象年齢
4歳児/5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①保育者は始めに、「『雨(あめ)』と『飴(あめ)』は、同じ発音だけど違う意味の日本語だね」と、子どもたちに同音異義語の概念を伝えます②子どもたちと一緒に、「他にはどんな言葉があるかな?」と同じ音だけど違う意味を持つ言葉を探します
ポイント
同音異義語の意味を伝えるには、実物やイラストを見せながら説明するのがおすすめです。子どもたちだけで見つけるのは難しいので、「この言葉の音の高さを変えてみたらどうかな?」とヒントを出してあげると良いですよ。同音異義語の他の例は、以下のようなものがあります。- 「雲(くも)」と「蜘蛛(くも)」
- 「恋(こい)」と「鯉(こい)」
- 「橋(はし)」と「箸(はし)」
- 「虹(にじ)」と「2時(にじ)」
⑨いろはにこんぺいとう(マジカルバナナ)
対象年齢
5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①円になって、順番を決めます②始めの子から、「いろはにこんぺいとう~こんぺいとうはあまい」といってスタートします
※子どもたちの好きな言葉から始めても良いです
③2番目以降の子は、「あまいはドーナツ」「ドーナツはまるい」「まるいはりんご」「りんごはあかい」といったように、前の子が言った言葉から連想される他の言葉を答えて続けていきます
④リズムに乗れなかったり、前の子が言った言葉から連想できないものを答えた子が負けです
ポイント
しりとり遊びをアレンジしたもので、元となっているのは「いろはにこんぺいとう」というわらべ歌です。前の単語から連想して、別のものを思い浮かべて繋げていきます。始めにいろはにこんぺいとうの歌を子どもたちと一緒に歌って、次々に言葉を連想していく遊びだということを理解してから始めましょう。「マジカルバナナ」と言って、「バナナといったら黄色」のように「○○といったら○○」というフレーズのパターンで答えていく遊び方もあります。リズムに乗って素早く答えるのは難しいので、子どもたちと遊ぶときにはリズムは関係なくしてもOKです。「りんごってどんなものだっけ?丸いかな?赤いかな?」と、1つの物から子どもたちの目線で色んな答えが出てくるのを楽しみましょう。
いろはにこんぺいとうの歌詞は以下です。
いろはに金平糖
金平糖は甘い
甘いはお砂糖
お砂糖は白い
白いはうさぎ
うさぎは跳ねる
跳ねるはカエル
カエルは青い
青いはおばけ
おばけは消える
消えるは電気
電気は光る
光はおやじのハゲ頭
⑩答えを合わせようゲーム
対象年齢
4歳児/5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①保育者は、答えが一つに限定されないお題を出します例:「夏に食べる食べ物といえば、なーんだ?」
②子どもたちは「せーの」の合図で一斉にお題に合うものを答えます
例:「すいか」「かき氷」「そうめん」
③みんなの答えが、1つに合ったら成功です!
ポイント
お題に対して、みんなの答えを相談なしで合わせるゲームです。お友だちの答えを予想して答える想像力を育むことのできる遊びで、特に卒園前など、子どもたちの仲をより深めていきたいときに行うのがおすすめです。始めは選択肢の少ないお題を出したり、選択肢が多くてもだんだんと1つに絞れるようなヒントを出したりとみんなの答えが合うように誘導して、答えが一致したときの楽しさや一体感を感じられるようにすると良いですよ。
ヒントの例:「赤い果物といえば?」→「ショートケーキの上に乗っていることが多いよ」
⑪ぱぴぷぺぽ星人
対象年齢
5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①始めに「これからみんなは『ぱぴぷぺぽ星人』になります! ぱぴぷぺぽしか話すことが出来ません。」と説明します②保育者は、子どもたちに「好きな食べ物は?」と質問をします
③子どもたちは、言葉を「ぱぴぷぺぽ」に言い換えて、順番に答えます
例:「ぱぺーぱぴぷ(カレーライス」「ぽぷぱぴぷ(オムライス)」「ぱっぽぷ(納豆)」
④みんなの答えを聞いて、どんな言葉を言いたかったのか当てるクイズにしても面白いです
ポイント
「ぱぴぷぺぽ」だけを使って、会話をするゲームです。頭の中で普通の言葉の母音だけ残して「ぱぴぷぺぽ」に変換するのは少し難しいので、ゲームを始める前に「『トマト』は『ぽぱぽ』、『テレビ』は『ペペぴ』だね」と、ぱぴぷぺぽ星人になる練習をしておきましょう。質問することは「昨日の夜ご飯は?」「好きな色は?」などなんでもOKですが、ぱぴぷぺぽの会話を楽しめるように、なるべく子どもたちにとって身近で、1つの単語で答えられるような質問を選べるといいですよ。
⑫早口言葉
対象年齢
5歳児用意する物・道具
- なし
遊び方・ルール
①保育者は、早口言葉のお手本を見せます例:
- 隣の客はよく柿食う客だ(となりのきゃくはよくかきくうきゃくだ)
- 生麦生米生卵(なまむぎなまごめなまたまご)
- 赤パジャマ青パジャマ黄パジャマ(あかぱじゃまあおぱじゃまきぱじゃま)
②子どもたちは、先生の早口言葉を覚えて真似します。つっかえたり、間違えずに素早く言えたら成功です!
ポイント
定番の言葉遊び「早口言葉」は、言い辛い言葉を繰り返し言うことで、自然と言葉をはっきり発音をする練習になりますよ。「スムーズに1フレーズを言えたら成功」というルールや、「3回連続で言えたら成功」というルールもあります。年齢によって変えてみてくださいね。
言葉遊びを保育に取り入れて楽しもう
保育園・幼稚園で取り入れたい言葉遊びはありましたか? ご自身のクラスの子どもたちの発達段階に合わせて、楽しく学べる言葉遊びを選んでみてくださいね。※掲載イラストや記事内容の 無断転載・二次利用、配布・加工は禁止とさせていただきます。
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