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園外活動のヒヤリ・ハット事例を解説|注意点と対策

手を上げて横断歩道を渡る園児たち
保育園では、散歩に出たり、近隣の公園へ遊びに行ったりする機会がありますよね。園外での活動を楽しく学びのある時間にするためには、安全面の配慮が欠かせません。今回は、園外活動におけるヒヤリ・ハットとその対策をご紹介します。

園外活動とは

広々とした公園の芝生に立っている子ども
園外活動は、保育園の敷地外で行う保育のことです。「園外保育」と呼ぶ場合もあります。

園外活動には次のようなものがあります。
  • 散歩
  • 遠足
  • 地域施設の訪問
これらの活動を通じて、子どもたちの体験の幅を広げることができます。地域での活動を通じて社会性が育まれたり、たくさん歩くことで体力の向上に繋がったりすることが期待できます。

園外における活動では、安全面に十分配慮することが必要です。予測できる危機に対する対策を考えた上で、園外へ出かけましょう。

移動時のヒヤリ・ハットと注意点

歩いて移動している最中は、一歩間違えれば大きな事故に繋がってしまいます。あらゆる危険を想定しながら安全に留意したいですね。

まずは公園などに行く道中のヒヤリ・ハットを見てみましょう。

車や自転車

  • 車や自転車との衝突
  • 子どもの飛び出し
道路では、常に周囲の状況を確認しながら歩くことが大切です。車や自転車が近付いてきた時には、早めに道路の端へ寄り、通り過ぎるのを待ちましょう。

子どもたちが止まることで、運転者も安心して横を通ることができます。車が通る時には、自分の身を守るためにも、道を譲る姿勢を伝えていきたいですね。

中には、歩道がしっかりと整備されていないところもあるため、一番安全な道を保育士が事前にチェックしておくことも必要。お散歩マップは一度作ったらOKではなく、定期的に見直して「今、一番安全な道」を把握しておきましょう。

横断歩道

横断歩道
  • 点滅中に横断する
  • 後ろの子どもたちが間に合わなかった
横断歩道では「走れば大丈夫!」という考えは捨てましょう。子どもの靴が途中で脱げたり、転んだりすることがあるかもしれません。

列が長く、後ろの子どもたちが横断歩道を渡りきれない時もあります。その場合は「渡る時には4列になる」「2回に分けて渡る」など、状況に合わせた対応を行いましょう。

列から外れる

  • 手を離して走り出す
  • 列をはみ出して歩く
園外には子どもの興味を引くものがたくさんあります。触ろうとして立ち止まったり、列を離れて走り出そうとする子がいたりすることも考えられます。保育士の配置を工夫することで、不測の事態にもすぐ対応できるようにしておきましょう。

側溝や段差

道端の側溝
  • 側溝に落ちる
  • 段差で転ぶ
道路の状況がいつも同じであるとは限りません。列の先頭を歩く保育士や、子どもが安全に歩ける状態か確認しながら進むようにしましょう。危険を見付けた時は、子どもに気を付けるよう伝えたり、保育士同士で声を掛け合ったりすることも大切です。
 
POINT

「ヒヤリ・ハット」とは、危険な状況に直面し「ヒヤリ」としたことや「ハッ」とした体験のこと。事故には至らないまでも、一歩間違えば大きなケガなどにつながった事例を指します。ハインリッヒの法則(労働災害の調査から導き出された発生比率の法則)によると、1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故があり、300件のヒヤリ・ハット事例があると言われています。

公園・広場のヒヤリ・ハットと注意点

地域の公園など、さまざまな人が出入りする場所では、予想外の危険が潜んでいる可能性もあります。遊ぶ前にしっかりと安全性をチェックしておきたいですね。

ここからは、公園や広場で遊ぶ際に気を付けておきたいポイントを紹介します。

遊具

  • 滑り台からの転落
  • 漕いでいるブランコとの衝突
遊具におけるヒヤリ・ハットは、よく挙げられる事例です。子どもたちがケガをすること無く楽しく過ごすためにも、遊ぶ前に約束の確認をすると良いでしょう。

また、注意が必要な遊具の近くには、保育士を配置するなどの工夫が必要です。

落下物

ガラスの破片
  • ガラスを触って手を切る
  • ライターやたばこの吸い殻を拾う
公園は園庭と違って、常に子どもたちに合わせた管理がされている訳ではありません。ゴミや危険物が落ちていることもあります。

ガラスやたばこ、ライターなど、大人であったら触らないものでも、子どもは興味を持って手に取る可能性があります。遊び始める前には必ず保育士が見回りをして、危険なものは回収しておきましょう。

迷子

  • 公園の外に出ていく
  • 物影に隠れる
遊んでいる最中に「子どもが一人いない!」という事態に陥らないよう、保育士は常に子ども全体を見渡せる位置に立つことが重要です。こまめに人数確認をし、子ども一人ひとりの所在を明らかにしておきましょう。

植木や大型遊具など、死角になりやすい場所はしっかり把握しておきたいですね。見えにくい場所には、保育士を配置することも欠かせません。

不審者や無断撮影

  • 子どもに近寄ってくる人がいる
  • 無断で子どもの写真を撮る人がいる
地域の人との交流も大切な機会ですが、不審な動きがある時は子どもの安全やプライバシーを守らなくてはなりません。子どもが園外の人と接近している時は、保育士も側で様子を見守り、必要に応じて声がけを行いましょう。

夏の外遊びのチェックポイント【季節別】

夏の戸外活動で遊ぶ子どもたち
園外活動を行う際には、天候や気温を考慮に入れた上で計画を立てましょう。

ここからは、季節別にチェックポイントを見ていきます。まずは夏の暑い時期からご紹介します。

やけど

  • 遊具の金属部分でやけどした
  • アスファルトに手をついてやけどした
夏は気温が高くなり、さまざまな部分が熱くなります。遊具や地面、マンホールなど、鉄製や金属製の部分には特に注意が必要です。事前に保育士が確認し、状況に合わせて遊ぶ場所を制限するなどの対応をしましょう。

熱中症・脱水症状

  • 休憩せずに遊び続け、脱水症状になった
  • 直射日光を浴び続け、嘔吐した
熱中症や脱水症状は、時には命に関わることもあります。夏の園外活動は、木陰を選んだり、時間を短くしたりするなど、季節にあった対応が必要です。また、十分な飲料水を用意しておくことも必要でしょう。

環境省が熱中症の予防を目的に発表している「暑さ指数(WBGT)」では、25以上28未満を「警戒」としています。この値は気温で見ると、およそ28℃以上31℃未満となっています。園外活動を実施する際の目安にしてみてはいかがでしょうか。

参考:暑さ指数(WBGT)とは?/環境省熱中症予防情報サイト >>詳細はこちら

冬の外遊びのチェックポイント【季節別】

手袋をはめた子どもの手と氷
続いては、冬の時期のチェックポイントについてご紹介します。冬には、夏とは異なる注意点があります。寒い時期ならではのポイントを確認していきましょう。

凍結による転倒・転落

  • 凍っている場所で滑って転ぶ
  • 霜のついた鉄棒から手が滑る
冬は気温が下がることにより、地面が凍ったり、遊具に霜が付いたりします。夏と同様に遊ぼうとしたら、滑ってケガをする可能性も。保育士が事前に歩いたり、触れたりして、危険が無いか確認することが大切です。

冷えによる体調の悪化

冬の戸外でブランコ遊びをする女の子
  • 衣類が濡れて身体が冷える
  • 寒くて風邪が悪化する
活発に動き回る子どもは、寒い時期でも着込み過ぎると汗をかきます。座り込んだり、転んだりすれば、雪や霜などで服が濡れることも。

湿った衣服を着たまま外で遊び続けると、身体が冷えてしまいます。体調を崩さないよう、衣服の調整や着替えなどを適宜行っていきたいですね。

園外での危険を予測しよう

園外での活動は、目新しいものがたくさんあり、子どもの好奇心や探索意欲を引き出します。その分、動きが大きくなったり、注意力が散漫になったりすることもあるので、保育士は危険を予測した上で、子どもの安全を守っていきたいですね。

園外活動を考えている方は、参考にしてみてください。

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ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

ほいくis(ほいくいず)編集部

保育・幼児教育のプロフェッショナルで構成された編集部のライティングチームが、質の高い保育を日々提供していくために必要な知識・ノウハウを発信。専門知識から保育ネタ、保育士試験関連情報、保育学生さん向けの情報まで、あらゆる分野を網羅していきます。

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