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子どもたちの五感を育てる!昭島ナオミ保育園の木育活動【園レポート】

木製の遊具で遊ぶ子どもたち
近年、保育や子育ての場で注目を集める「木育」。一言で木育と言っても、ただ木に触れることだけではなく、その活動に込められた意味は広く深いものがあります。実際に園で取り入れるには、どのような方法があるのでしょうか? 今回は、木育を実践している「昭島ナオミ保育園」を取材させていただきました。

五感を育む木育活動

今回取材に伺ったのは、東京都昭島市にある『昭島ナオミ保育園』。駅から徒歩2分ほどの場所にある園の扉をくぐると、元気な子どもたちと先生の明るい声が響いていました。

園内は壁や床など、全体が木で出来ており、どこか安心感と温かみのある雰囲気に思わず私も落ち着いてしまいました(笑)。そんな昭島ナオミ保育園では、木育活動に子どもたちの発達を結びつけた保育を行っています。園で大切にしていることについて、園長の伊能恵子先生に伺いました。

「子どもたちの脳や運動能力のほとんどは、0、1歳での教育が大切だと言われています。その時期に、五感に刺激を与えることはとても重要です。”木育”は五感、特に触覚や嗅覚を刺激するのにとてもいいと考えています。私たち保育者は、子どもたちの五感を刺激するような環境や遊びを提供していく必要があります」(伊能園長)

0歳からの木育がとても有効だと話す伊能園長。では、実際にどのような活動を行っているのでしょうか。その様子を見せていただきました。




遊びを通して木を知る

この日、1歳児クラスで行われていたのは、プールに積み木を浮かべる活動、「水の積み木」。「おふねにのって」という絵本を導入で読んだら、いざ外のプールへ。

「木は水に濡らすことで、より香りを強く感じることができます。今回使用しているのは”ヒノキ”。『水の積み木』はヒノキの香りを楽しみながら、水に浮く木の性質を知り、さらに盛夏における涼を手にすることができる夏ならではの活動のひとつです」(伊能園長)

プールに積み木を浮かべ、その上にさらに積み木を積む先生。見よう見まねで積み木を重ねる子どもたちからは、「見て見て~!」と楽し気な声が聞こえてきました。

浮かぶ積み木を不思議そうに見つめる子、先生と一緒に木のにおいを嗅いでいる子、器用に積み木を積む子、木同士をぶつけてカチカチと鳴らす子…。その様子はさまざまでした。
普段はなかなか学ぶことのない木の性質や香りを遊びの中で楽しめるのが、園の木育活動の魅力。何気ない活動の中にも、木を感じ、木を知るという深い意味が詰まっているように感じました。

「木育」を通して、共に育つ環境を

昭島ナオミ保育園では、普段の保育以外でもさまざまな木育活動を行っています。

親、子、保育園で育つ

昭島ナオミ保育園では、親・子・保育園の三者が共に育っていくことを大切にしているそう。そのため、木育活動の中には保護者参加型のものもあると言います。

「子どもたちは、刺激を与えられることで五感が育ち、成長していきます。しかし最近では、親がスマホに夢中になるあまり子どもとの関わりがなくなり、無刺激の中で育ってしまう子も少なくありません」(伊能園長)

そう話す伊能園長。では、どのように保護者を巻き込んでいるのでしょうか?

「園でまず最初に行うのは、入園してすぐの”お誕生日プレート作り”です。入ってすぐにのこぎりを使って子どもたちの誕生日プレートを作ってもらうんです(笑)」(伊能園長)

なかなかハードルの高い課題…さぞ難しいのでは…? と実際のプレートを見せていただくと、驚くほどキレイなお誕生日プレートが! 
どれもお母さん、お父さんの愛情がこもったプレート。一生の宝物になりそうですね。

また、卒園制作では「お箸」を作るとのこと。保護者は子どもたちの手のサイズに合わせて木を切り、形を整えます。もちろん子どもたちも参加。木をヤスリで削ってキレイにすれば、世界に一つのお箸が完成です!

園の木育活動に参加することに、「共に保育をしていく」という大切な意味が込められていますね。親、子、保育園の三者が共に育っていく姿が目に見える活動は、昭島ナオミ保育園の大きな魅力だと感じました。

地域も巻き込み、木育を

昭島ナオミ保育園木育活動は、園内にとどまりません。園のすぐそばにある「地域ふれあい館」では、地域の親子も一緒に活動を楽しめる場が用意されています。
その中にあるのが、大きな木のアスレチック。
「地域活動で使っていないときには、園の子どもたちも遊んでいます。この木のボールは、子どもたちがヤスリをかけて作ったんですよ!」(伊能園長)
子どもたちのお手製ボールで溢れるプール。「キレイ…!」と心の声が漏れるほど、手作りとは思えない美しさです。

また、毎週金曜日には地域ふれあい館で、子どもたちのファーストスプーンやお箸などを作る木育プログラムを開催。園だけではなく、地域も巻き込んでの木育活動の先頭に立っています。 

職員全員が「木育インストラクター」

昭島ナオミ保育園では、先生たちがみんな「木育インストラクター」の資格を取得しています。岐阜県立森林文化アカデミーの教授による木育研修を受けていて、全員が専門知識やスキルを持っています。

お着替えなどを入れる木のカゴは、なんと先生お手製のものだとのこと。てっきり既製品だとばかり思っていた私は、思わず鳥肌がたってしまいました(笑)。

木育についての知識がつくだけでなく、意識もひとつになり活動を行うことができます。共通意識を持って取り組んでいるからこそ、心からの感動が溢れる木育活動が展開されているのですね。

木育の中にある子どもたちの未来

「園では、木育を通して木に触れ、命を知り、命へ感謝することや自然への畏敬の念を育むことを目的にしています。そのため、子どもたちが木に命を感じ、自然に感謝するといったプログラムを全クラスにおいて展開しています」(伊能園長)

保育現場での「木育」として真っ先に思い浮かぶのは、木のおもちゃを取り入れることや木で何かを作ることではないでしょうか。しかし、重要なのはその活動にどんな想いを持って取り組むのか、ということなのではないか? 昭島ナオミ保育園の木育を見てそう感じました。

においや触り心地、木の重なり合う音など、さまざまな面から五感を刺激する木。そんな木と共に生活をする子どもたちの、のびのびとしたたくましい姿を見ることができて、私もたくさん刺激を受けました。

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ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

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