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障がい児保育とは?働ける施設や仕事内容、大切にすべきことを解説

木のおもちゃで遊ぶ子どもと保育士
障がい児保育とは、障害のある子どもを保育することです。専門施設に限らず、一般の保育園やこども園でも障がい児保育を行う園も増えてきました。今回は、障がい児保育の概要や保育士が働ける施設、仕事内容や役割などをまとめています。「障がい児保育について詳しく知りたい」「障がい児保育に携わりたい」と思う保育士さんにもおすすめです。

障がい児保育とは?

障がい児保育とは障がいのある子どもを保育することで、その対象は知的障害や身体障害、発達障害などすべての障がいです。 

児童発達支援施設や障がい児の入所施設、障がい児を専門とした保育園だけでなく、一般の保育園や認定こども園などでも障がい児保育は行われています。 

保育所が受け入れている障がい児の数は年々増えており、2012年(平成24年)に約50,000人だったのが2021年(令和3年)には約86,000人に増加し、9年間で約1.7倍となりました。 

障がい児保育のニーズは年を追うごとに高まっているのが現状です。 

参考:厚生労働省の取組について・障害児保育の概要(14枚目)>>詳細はこちら 

障がい児保育を行う施設と支援内容 

障がい児保育を行う主な施設
障がい児保育を行う施設は大きく分けると4つあります。支援内容などそれぞれのポイントをまとめます。 

①通所型の障がい児施設 

障害のある児童が通所して保育や療育を受ける施設です。 
  • 児童発達支援事業所(未就学児の発達支援) 
  • 児童発達支援センター(地域の障がい児保育の中核) 
  • 放課後等デイサービス(放課後や学校の休日の発達支援) 

②入所型の障がい児施設 

障害のために自宅で生活するのが難しい児童が入所する施設です。 
  • 福祉型障害児入所施設(発達支援) 
  • 医療型障害児入所施設(発達支援と治療) 

③保育園・認定こども園 

一般の保育所などでも「障がい児枠」として受け入れています。 加配保育士をつけて、日々の生活や遊びを通して子どもの成長や発達を促します。 

④病院の保育ルーム 

入院中の障がい児を病棟保育士として保育することもあります。子どもの体調や状態に合わせて、生活や遊びの支援を行います。 

障がい児保育の対象となる障がいの種類 

障がい児保育で関わる障がいの種類はさまざまですが、具体例を挙げると以下の通りです。 

身体障害 

  • 視覚障害 
  • 聴覚障害 
  • 言語や咀嚼機能の障害 
  • 肢体不自由 
  • 身体の内部の障害 

知的障害

  • 主に知的な遅れを伴う障害 

精神障害(発達障害含む) 

  • 広汎性発達障害(自閉スペクトラム症(ASD)、アスペルガー症候群) 
  • 学習障害(LD) 
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD) 


統合保育やインクルーシブ保育とはどう違うのか? 

健常児と障がい児を同じ環境で保育することを統合保育といいます。同じ場所で生活することで、お互いに刺激をもらって成長し合うことが主なねらいです。担任や補助保育士に加え、加配保育士などが配置されることもあります。 

インクルーシブ保育とは障害の有無だけでなく、国籍や人種、宗教などあらゆる違いのある子どもを受け入れ、それぞれに必要な保育を行うことです。 

いずれも障がい児を保育するさまざまな環境をさします。

インクルーシブ保育について解説している動画はこちら【ほいくisオンライン研修】

障がい児保育を行う保育士の役割 

障がい児保育を行うために必要な資格や具体的な仕事内容についてご紹介します。 

必要な資格は保育士資格 

保育士資格が障がい児保育を行うことができます。障がい児保育は障害への正しい知識や確かな経験が求められるので、障害や障がい児保育、療育などについて積極的に学ぶことが大切です。また、働く施設によっては、幼稚園教諭、社会福祉士、児童発達支援管理責任者などの資格で携われるところもあります。 

障がい児保育の仕事内容 

障がい児保育の業務内容は通常の保育と基本的には変わりませんが、子どもの障害の種類や程度に応じて適切にサポートすることが大切です。 

視覚に障害があれば触覚や聴覚を使った遊びをしたり、聴覚過敏で騒がしい場所が苦手な子には静かになれる環境構成を整えることもします。 

障がい児保育では子どもの障がいや性格などの特性に応じて、生活や遊び、保育士や友だちとの関わりをサポートします。 

障がい児保育で大切にすべき3つのこと 

研修を受ける保育士

保育園などで障がい児保育を行うときに、心がけたい3つのこととはなんでしょうか。 

①障害について学ぶ 


担当児童の障害について十分な知識を身に付けることが重要です。先輩保育士に質問するだけでなく、本を読んだりキャリアアップ研修を受けるなどして、障害への理解を深めていきましょう。 

②子どもの姿をよく観察する 

子どもの姿から、 
  • 何を考えているのか? 
  • 何がしたいのか? 
  • 好きなことや楽しいことは何なのか? 
  • 何ができなくて困っているのか? 
などを感じ取っていくことが大切です。 

子どもの気持ちや考えに気づいたときには共感したり一緒に遊んだりします。要望や悩みを見つけた際は、気持ちに寄り添ったりより良い方法を子どもと共に試していきます。 

本や研修などで学んだ知識だけでなく、目の前の子どもの姿や思いから保育を組み立てる姿勢が何よりも重要です。 

多様な子どもたちの発達支援について解説している動画はこちら【ほいくisオンライン研修】

③保護者とのやりとりを密にする 

障がい児の特性に配慮した適切な保育を行うためには、家庭との連携が欠かせません。 
  • これまでの養育歴や環境は? 
  • 家庭で保護者と子どもがどうやりとりしているか? 
  • 発達支援センターや病院などの関係機関の所見は? 
上記のような具体的な内容を保護者からしっかりと聞き取り、日々の保育に活かしていきます。 

保護者の思いを聞いたり、保育園での子どもの姿や保育者の関わりを伝えることで信頼関係を構築し、保護者支援につなげることも大切です。 

保護者支援のポイントについて解説している動画はこちら【ほいくisオンライン研修】

障がい児保育についてさらに学んでみよう 

障がい児保育の概要や施設、仕事内容など基本的なことをまとめました。一言で「障害」と言っても種類は多く、子どもによっても特性が異なります。障がい児保育がしたいと思っている人は、まずはそれぞれの「障害」について本やセミナーなどで知識を広げていくことをおすすめします。 


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織部 悟

この記事を書いた人

織部 悟

保育士歴16年のライター。都内の公立保育園に15年勤務して主任を務め、0歳~5歳児のクラス担任からフリーまで、全てのポジションを経験。1男1女の父でもあり、保育・子ども・遊び・子育てなど、豊富な経験を元にした記事をお届けします。

執筆歴・経歴等はこちら
https://gonta-web.com/

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