お正月の由来と伝え方・ねらい
新年のスタートはお正月から。まずは保育者の方で由来や風習についてしっかりと理解してから、子どもたちに伝えていきましょう。また活動にあたっては、ねらいを持って計画を立てて進めましょう。お正月の由来
お正月の由来には諸説ありますが、元旦には年神様という神様が幸せをもたらすために、それぞれの家庭にやってくると言われています。年神は「としがみ」と読み、「歳神」と書くこともあります。また、地域により「歳徳神(としとくじん)」「恵方神」「お正月様」などさまざまな呼び名があります。お正月に神様を迎え入れて幸せをもたらしてもらうために、さまざまな行事や風習が生まれたそうです。代表的なお正月飾りの門松やしめ飾り(しめ縄)、鏡餅も、この年神様の風習と関係があります。
【主なお正月の風習】
- 門松(かどまつ):年神様が訪ねてくる際の目印。一年中青々としている松や、生命力の強い竹といった縁起物を組み合わせて飾ります。
- しめ飾り(しめ縄):もともと「しめ縄」には、神聖な場所であることを示す意味があり、そこにさまざまな縁起物を飾り付けたものが「しめ飾り」です。
- 鏡餅(かがみもち):訪れた年神様が宿る依り代(よりしろ)として、またお供え物として飾られます。昔から神聖な物とされてきた銅鏡に見立てて丸く作られます。
- 獅子舞(ししまい):獅子をかたどった頭に唐草模様の胴幕を被って舞い踊る獅子舞は、日本を含む東アジアや東南アジアで広く見られる伝統芸能。魔除けや厄払いのために行われます。「人の頭を噛むことで、その人についた邪気を食べる」とされているため、園行事で子どもたちが獅子舞に頭を噛んでもらう光景もよく見られます。
- おせち料理:「御節料理」と書き、もともとは節句など節目の日に食べられる料理を指していましたが、次第に正月料理のみに使われるようになりました。かまぼこや栗きんとん、伊達巻、黒豆、数の子、ごまめ(田作り)、野菜の煮物、酢の物を始め、主に日持ちのする料理で構成されています。
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子どもたちへの伝え方
お正月の由来や概要を理解できたら、子どもたちに分かりやすく伝えてみましょう。- お正月には、神様がみんなのお家にやってくる
- その神様は、みんなに幸せを分けてくれる
- 神様をお迎えするためにいろいな飾り付けをする
お正月の活動のねらい
お正月の遊びや新年お集まり会(新年会)は、子どもたちも楽しみにしている行事です。しかし、保育園や幼稚園、認定こども園の活動として取り入れるときはきちんと計画を立てて、ねらいを持って行わなければいけません。ねらいの例を挙げてみました。<ねらいの例>
- お正月の由来を知り、日本の伝統的な文化に触れて親しむ。
- 新年お集まり会でお正月ならではの伝承遊び楽しみ、お友だちや保育者との交流を深める。
- カルタや福笑いで遊ぶことを通して、言葉や文字、絵に興味関心を持つ。
お正月におすすめの伝承遊び4選
お正月と言えば、何といっても伝承遊びですよね。童謡「お正月」の歌詞で、「もういくつ寝ると お正月 お正月には凧揚げて こまを回して遊びましょう♪」とあるように、お正月の遊びには、凧揚げやコマ回しなど、昔から親しまれてきた伝統的なものがたくさんあります。その中から代表的なものをいくつかご紹介しましょう。①かるた(百人一首)
お友だちと競いながら絵札を取り合うのが楽しい遊び「かるた」。聞いた言葉に合わせて絵札を取るので、ひらがなや言葉の学びにも繋がる遊びですね。百人一首(ひゃくにんいっしゅ)をもとにした「百人一首かるた」や、「いぬもあるけば棒に当たる」などの、いろは歌で構成される「いろはかるた」など、さまざまな種類がありますよ。【対象年齢】
3歳児/4歳児/5歳児
【遊び方・ルール】
- 読み札を読む人をあらかじめ決めておきます。園では保育者が行うといいでしょう。
- 絵札を床の上にばらばらに並べます。必ず絵柄が表向きになるようにしましょう。読み札はシャッフルしておきます。
- 保育者が読み札を1枚1枚読みます。子どもたちは、読み札の頭の文字と同じ文字を探して、見つけたら素早くタッチします。タッチした人がその札を貰えます。
- 全ての絵札がなくなるまで繰り返し、最終的に絵札を一番多く持っていた人の勝ちです!
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②福笑い
目隠しをして、顔の輪郭の描かれた紙の上に「目」「口」「鼻」などの顔のパーツを置いていく伝承遊びです。目隠しのおかげで、はちゃめちゃな場所に顔のパーツを置いていくので、周りで完成を見るだけでも楽しいですよね。低年齢児のクラスからでも楽しめるので、おすすめです。【対象年齢】
1歳/2歳/3歳/4歳/5歳
【遊び方・ルール】
- 顔の輪郭が描かれた紙を目の前に用意します。
- 代表のひとりが目隠しをします。
- 目隠しをした子が、最初に置いた輪郭の紙の上に切り抜かれた顔のパーツを順番に並べていきます。紙を触ったり、輪郭の大きさを想像しながら、正しいと思う位置に置いていきます。※難しい場合は、周りで応援している子や保育者が「目のパーツだよ!」などと伝えながらパーツを渡してあげましょう。
- 全て並べ終わったら、目隠しを外して結果を確認します。
③お手玉
小豆や大豆を入れた小さな布を投げて遊ぶ「お手玉」。奈良時代に聖徳太子が水晶を使って遊んでいたことから、現在のお手玉遊びに繋がっているようです。ルールは特にないので、投げて手の甲に乗せる、2個同時に投げてキャッチする、など遊び方は無限大。低年齢児から遊べるのもおすすめポイントです。子どもたちの想像力を働かせやすい遊びでもありますね。
【対象年齢】
0歳/1歳/2歳/3歳/4歳/5歳
【遊び方・ルール】
- お手玉を2個手に持ちます。
- 右手(利き手)のお手玉を空中に投げます。
- 投げたお手玉が空中にある間に、急いで左手(利き手じゃない方の手)のお手玉を右手に持ち替え、落ちてきたお手玉を左手でキャッチします。
- それを繰り返し、だんだんとスピードを速くして楽しみます。
- 素早くつづけてできるようになったら、持つお手玉の個数を増やして挑戦してみましょう!
④けん玉
サイズが違う3つのお皿に、垂れ下がった球を乗せたり、けん先(棒部分)にさしたりする遊びです。少し難易度が高くコツを掴むまでは苦戦しますが、紙コップなどを使った手作りの製作もできますので、いろいろ工夫してみてくださいね。【対象年齢】
3歳/4歳/5歳
【遊び方・ルール】
- けん玉の軸を持ち、お皿部分を上にして糸に下がった球を安定させます。
- けん玉を上に軽く振って、垂れ下がった球をお皿に乗せて遊びます。
- お皿に乗ったら、けん玉をひっくり返して反対側のお皿に球を乗せます。
- けん先にさす場合も、同じように遊びます。
お正月の手作りゲーム・製作アイデア
ここからは、園でできるお正月ならではの手作りゲームと製作アイデアをご紹介します。①ダルマのぶんぶんゴマ
糸を引っ張ると勢いよく回転するぶんぶんごま(びゅんびゅんごま)を、お正月らしくダルマの形にアレンジした製作アイデアです。牛乳パックや厚紙、段ボールといった厚手の素材を使って簡単に作れます。②パクパク獅子舞
パクパクと口を動かして遊べる、獅子舞(ししまい)の手作りおもちゃです。紙コップを使って、口をパクパクと動かして遊べます。一年を健康に過ごせるように、願いを込めながら作ってみてください。③鏡餅の輪投げゲーム
定番の輪投げゲームをお正月バージョンで楽しみましょう。段ボールや新聞紙など、材料は身近な廃材が中心。子どもたちと一緒に作って、遊んで新年をお祝いしてくださいね。④段ボールで作るキラキラこま
段ボールの本体と綿棒の芯で簡単に作れる、お正月の製作にぴったりのコマ。キラキラのこまは子どもたちにも大人気間違いなしです。 その他、さまざまなテーマでお正月や新年に取り組める製作アイデアをご紹介しています。お正月に楽しめる手遊び歌
せっかくなので、手遊び歌で子どもたちと新年のお祝いをしましょう。歌詞のアレンジもできるので、子どもたちに、どんなお正月を過ごしたかを聞きながら歌っても良いですね。めでたいなったらお正月
お正月のおめでたい食べ物が盛りだくさんの手遊び歌です。新年にぴったりですね。くろまめ、栗きんとんなど、おめでたい食べ物を手遊びで表現してみてください。
ことしもどうぞよろしくね
「保育シンガーソングライター」として知られる荒巻シャケさんが作った、新年のごあいさつにぴったりの手遊び歌です。その他おすすめの手遊び歌
- あけましておめでとう
- ゆきのこぼうず
- おもちをやいたとさ
お正月におすすめの絵本
新年会(新年のお集まり会)やお正月祝いの導入に、絵本の読み聞かせをするのもいいですよね。あけましておめでとう
[あけましておめでとう (ピーマン村の絵本たち) (日本語) 単行本]作:中川ひろたか
絵:村上康成
出版社:童心社
対象年齢:3歳~
お正月にはどんなことをするの? どんなものがあるの? 子どもたちにも分かりやすく伝えてくれます。
行事絵本と言えばやっぱり中川ひろたかさんですね。お正月に関連するものがたくさん登場します。文字数も少なくシンプルな絵本なので、低年齢児クラスから楽しめますよ。
おせちのおしょうがつ
[おせちのおしょうがつ (ワンダーおはなし絵本) (日本語) 大型本]作:ねぎしれいこ
絵:吉田朋子
出版社:世界文化社
対象年齢:3歳~
おせち料理たちが、くるまに乗ってかがみもちの家に向かいます。道の途中で昆布まきに会い、海老に会い…おせちたちの大冒険⁉
なんとこの絵本、絵がすべて手芸で作られています。温かみがあり、とてもかわいいですね。お話の中には、それぞれのおせち料理に込められた意味が書いてあるのでちょっとした勉強にもなります。ストーリーもおもしろく、大人でも楽しめる一冊です。
お正月を楽しもう
お正月、新しい1年の始まりにはなんだかわくわくしますよね。その気持ちをさらに盛り上げるために、ゲームや絵本を取り入れてみてはいかがでしょうか。子どもたちと楽しめる活動をぜひ探してみてくださいね。【関連記事】