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どうする?「落ち着かない子」への対応~療育施設で聞いた関わり方とは

児童発達支援施設
椅子に座っているのが苦手な子、お部屋を走り回ることが多い子など、保育園や幼稚園では、さまざまな子どもがいます。少し落ち着いているのが苦手な子どもへの対応に悩むこともあるかもしれません。

そこで今回、「認定NPO法人発達わんぱく会」が運営している児童発達支援施設「こころとことばの教室 こっこ東野校」で、どのように対応をしているのかお聞きしました。

「こころとことばの教室こっこ」とは

認定NPO法人発達わんぱく会では、発達障害、またはその疑いのある幼児向けの療育施設(児童発達支援)の運営や、保育園・幼稚園への巡回支援などを行っています。

療育施設として千葉県浦安市に2校、東京都江戸川区に2校を運営しているのが、「こころとことばの教室こっこ」。ここでは、1対1で行う“個別療育”や4~6人の小集団で行う“グループ療育”、音楽療法のトレーニングを受けたスタッフにより行われる“音と色の療育”が実施されています。
(写真:「音と色の療育」で使用する楽器)

臨床発達心理士や音楽療法士、言語聴覚士、保育士など、さまざまな資格を持ったプロが子どもたち一人ひとりに合わせた支援を行っています。

今回お話しを伺ったのは、千葉県浦安市にある「こっこ東野校」の教室長・田中寿子さんと、こちらで勤務するチーフセラピストのスタッフさん。お二人とも保育士資格を保有し、保育現場、そして療育施設での子どもたちの様子を知り尽くしたプロです。

 

「なぜ動いてしまうのか」を探す

子どもには一人ひとり性格や個性がありますが、その中で「落ち着きがない」と言われるような子どもたちへの対応は、難しいですよね。保育士さんもどのようにするのがその子にとって一番いいのか悩むことも多いかと思います。

「落ち着いていられないお子さまには、さまざまな理由があると思います。例えばADHD(注意欠如・多動症)と言われるお子さまがいますが、自分の意思とは関係なく体が動いてしまう子もいます。そのような子に、無理に長時間座っていることを求めることは合わないと考えています。

私たちは、『この場面は座っていてほしい』というポイントを絞り、それ以外の時間は自分の好きなように動いていいという保証をしています」
「それ以外にも、椅子自体が座りづらいというケースもありますよ。そのような場合は、椅子を変えたりクッションを付けたり、前に机を置いたりと、お子さまに対してだけでなく、環境にも働きかけるようにしています」

まずはなぜ落ち着けないのか、という理由を探して対応していくことが大切なのですね。また、子どもだけでなくその周りにある環境にも働きかけるというのも、重要なポイントになりますね。

事例:部屋を走っている5歳の男の子

「以前5歳のお子さまが、教室に入ってからずっと走っていました。元々体が動きやすいお子さまでもあったので、最初は見守っていましたが、いつもよりも動きが激しいなと思い、『どうしたの?』と聞いてみました。

でも、『どうしたの?』という抽象的な声かけだとなかなか返事が出てきませんでした。そこで、『ここに来るときに何か嫌なことがあったの?』と具体的に聞いてみたところ、徐々に自分の気持ちを話してくれました。

その子の場合は、教室に来る前にゲームをしていたけれど、教室に行く時間になったのでお兄ちゃんに譲ってきたそうです。『もっとゲームがしたい』という思いから、お部屋を走るという行動が出ていたのです。
そのときは集団療育の日だったので、そこにいる他の子に向けて大人が『〇〇くんは、もっとゲームがしたかったんだって。でも、今日来てくれたよ』と代弁しました。

そして、本人にも「ゲームがやりたかったんだね。〇時になったら終わりだから、それまで頑張ろう」と見通しが持てる声かけをしました。そうすることで、お子さまも落ち着いてその後の活動に参加することができました。

どうしても集団で生活をしていると、『走っている』という行動に目がいって否定をされがちですよね。しかし、その裏にある気持ちを汲み取っていくことが大切だと考えています」

部屋の中を走っている子どもを見て、つい「走っちゃダメ」と声をかけた経験がある方も多いのではないでしょうか。その行為そのものを制止したくなってしまいますが、まずはその行動の意味を考えるところから支援は始まっていますね。

安心できる関係づくりを

支援をしていくうえで、子どもとの関係性はとても大切ですよね。こっこ東野校では、どのように信頼関係を作っているのでしょうか。
「どんなに小さな子どもでも、自分なりの気持ちがあります。保育士さんたちがその子に寄り添ってよく理解しようとすることで、お子さまも『この先生は自分のことをわかってくれる』と感じてくれます」

「例えば急に離席したお子さまがいたとき、その先を辿ると救急車が。お子さまは救急車の音が聞こえたから離席したんです。そのときには、『救急車を見に行ったんだね』と一言気持ちを言葉にしてあげます。そのような積み重ねで、信頼関係は出来ていくと思っています」

時間がかかることかもしれませんが、ゆっくりと少しずつ子どもの気持ちを知っていけるといいですよね。

一人ひとり持っている「理由」を探して

子どもたちの言動を見ているとマイナスな部分に目が行ってしまいがちですが、ひとつ見方を変えるだけで新しいものが見えてくるかもしれません。一人ひとり違いがある中で、その子なりの言動の理由を探していくことが関わりの第一歩なのですね。


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ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

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