ノンコンタクトタイムとは

ノンコンタクトタイムで行う業務は園によって異なりますが、例として次のようなものがあります。
- 書類作成(連絡帳・日誌・指導案など)
- 環境整備(片付け・掃除・環境構成など)
- 教材作成(製作準備・玩具作りなど)
- 情報共有(会議・打ち合わせなど)
厚生労働省が令和2年(2020年)に公表した「保育の現場・職業の魅力向上に関する報告書」では、魅力ある職場作りの一つとして、「ノンコンタクトタイムの確保」を挙げています。保育士の働き方改善や保育の質向上のためにも、園として取り組む課題になっていきそうですね。
出典:保育の現場・職業の魅力向上に関する報告書/2020(令和2)年9月30日 保育の現場・職業の魅力向上検討会 >>詳細はこちら
ノンコンタクトタイムのメリット
ここからは、ノンコンタクトタイムを導入するメリットをご紹介します。残業や持ち帰り仕事の削減

気持ちのリフレッシュ

疲れていたり、ストレスが溜まっていたりすると、保育にも影響しますよね。ノンコンタクトタイムを設けることで、保育の質の向上にも繋げていくことができそうです。
職員間の連携強化
例えば、ノンコンタクトタイムに会議を行うことで、集中して話し合う場を持つことができます。普段なかなか同僚と保育や子どもについて話す機会が持てない園では、他クラスの状況が見えづらく、連携がうまく取れないこともあります。ノンコンタクトタイムを活用して、コミュニケーションの充実を図りたいですね。離職率の低減

導入の課題
ノンコンタクトタイムにはメリットがあると分かっていても、実際に導入している園はまだ多くありません。実施に至らない理由を見てみましょう。>>ノンコンタクトタイムの導入状況について
保育士が足りない

ノンコンタクトタイムの導入にあたって一番大きな壁は、ゆとりのない保育士配置と言えそうです。
子どもの様子が分からない

日誌や連絡帳の記入、送迎時の伝達などを考えると抜けづらいのかもしれませんが、保育者同士で子どもの様子を伝え合うことで、問題は解消することができます。
導入のための工夫
保育士不足が深刻化する中でノンコンタクトタイムを作るためには、働き方を改善する必要があります。保育環境を見直し、時間を生み出す工夫を考えてみましょう。ここからは、ノンコンタクトタイムを導入するための改善策を紹介します。
業務内容の見直し

書類は、省略可能なものや簡略化できるもの、他の書類と統合できるものがないか、見直してみましょう。書類の量が減れば、作成時間を削減できます。
壁面装飾は、保育士が作るのではなく、子どもたちの作品を飾った方が保護者も喜びますね。保育士が準備する季節の飾りなどは、ラミネート加工すれば次年度以降も繰り返し使用することができます。
さらに、掃除のタイミングや担当者も見直してみましょう。クラスごとではなく、園全体で捉えると、工夫の余地が生まれてきます。
人員配置の工夫
保育士の配置を工夫することで、ノンコンタクトタイムを作ることが可能になります。出勤している保育士全員が保育に入る必要があるか、見直してみましょう。早朝や夕方など園児が少ない時間帯や子どもの欠席が多い日などは、子どもの人数に合わせて保育士の人数も調整します。日によって状況は異なるので、柔軟に対応することが必要です。
子どもの人数に対して保育士の人数が多すぎる場合、必要以上に手助けをしてしまうことで、子どもの主体性を奪ってしまうことも。配置基準を目安にしつつ、保育室の状況に合わせた保育士配置を行えば、ノンコンタクトタイムの時間を生み出すことができます。
保育ICTの導入

ICTシステム内では多くのデータが連動しており、一度入力すれば、何度も同じ内容を入力する必要がありません。個人ごとに情報が管理されているので過去の情報も取り出しやすく、書類作成の時間短縮が期待できます。
システム内のデータを確認すれば、保育士同士の情報共有もスムーズになります。ノンコンタクトタイム中に、保育記録や保育計画の作成を行うこともできます。
保育業界はICTの導入が遅れていると言われていますが、活用して業務を効率化している園もあります。機械に任せられる業務を手放していくことで、ノンコンタクトタイムを作り出すことが可能となるでしょう。
ノンコンタクトタイムで保育の質向上へ
ノンコンタクトタイムを導入することで、保育士の働き方が改善され、保育の質も向上していくことが期待できます。業務の在り方を見直し、少しでもその時間が取れるよう、工夫していきたいですね。ノンコンタクトタイムの実施を検討している方は、参考にしてみてくださいね。
【関連記事】
