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モンテッソーリ教育の“教具”はどう使う?園でおすすめの9選と活動ポイント

モンテッソーリ教具
近年取り上げられることが増えた教育法「モンテッソーリ教育」。将棋の藤井聡太さんやGoogleやAmazon、Microsoft創業者など、著名人でこの教育法を受けた人がいることで注目を集めています。モンテッソーリ教育にはさまざまな要素がありますが、特徴的な教具もその一つ。今回は、基本的な教具の知識と、代表的なものをご紹介します。

モンテッソーリ教育の5分野

まず最初に、教具を選ぶうえで必要な知識として、モンテッソーリ教育の5分野をご説明します。子どもたちは敏感期に合った環境に自ら関わることで、自己教育力を発揮し成長していきます。そのためモンテッソーリ教育では、発達段階や興味関心に応じて0~3歳と3~6歳に分け、敏感期に合った環境を用意します。

0~3歳まで

モンテッソーリ教具で遊ぶ子ども
  1. 粗大運動の活動
  2. 微細運動の活動
  3. 日常生活の練習
  4. 言語教育
  5. 感覚教育
  6. 音楽
  7. 美術
この時期は、モンテッソーリ教育では「吸収する精神」の時期と言います。身の回りにあるあらゆるものに自分から関わって、いとも簡単にできるようになっていきます。時にはその吸収力から、後々ではなかなか習得できないようなこともやってのけてしまうことも。子どもたちにとっては、自分が生きる社会に適応するために重要な時期となります。

「粗大運動(そだいうんどう)」とは、全身を使った動きのこと、また「微細運動(びさいうんどう)」とは、手や指を使った動きのことを言います。活動を通して、これらの動きの獲得を目指します。

3~6歳まで

モンテッソーリ教具で遊ぶ幼児
  1. 日常生活の練習
  2. 感覚教育
  3. 言語教育
  4. 算数教育
  5. 文化教育

3歳から6歳までは、「意識の芽生え」の時期です。0~3歳までの時期に吸収したことを意識的に整理していく時期です。例えば「日常生活の練習」の場合、その目的は自分の意志通りに動く身体を手に入れることになります。0歳の頃から生活に参加することで、生活環境に適応しながら必要な動きを獲得していきます。これが3歳以降になると、獲得した動きをいくつも使って、身の回りのことを自分でできるようになっていきます。こうして、できることが増えることで自立に向かっていきます

参考:モンテッソーリ教育について/日本モンテッソーリ教育綜合研究所

教具を取り入れるときのポイント

モンテッソーリ教具

園で教具を取り入れるとき、いくつか大切なポイントがあります。教具は、モンテッソーリ教育の考え方に基づいて作られているものですので、まずはそこを理解して取り組むことが必要です。モンテッソーリ教育で実際に大切にされていることをもとに、まとめました。

子どもの活動のサイクルを理解しよう

教具を取り入れるにあたって、子どもの活動サイクルを理解しましょう。段階によって、大人が積極的に関わる部分と、子どもたちに任せる部分が異なってきますので、ここの理解はとても重要です。

(1)環境を整える
(2)提示
(3)子どもが自分で選ぶ
(4)繰り返し行う
(5)満足・充実


(1)(2)の段階は大人が積極的に行う部分で、(3)(4)(5)の段階は子どもたちに任せる部分となります。このサイクルを繰り返すことで、子どもたちは成長・発達していきます。

活動の選択は子どもたちがする

「子どもが活動を選択できること」。モンテッソーリ教育を取り入れる際に、最も手軽に実践できる要素と言えるでしょう。環境設定をする時も、これを意識するだけで、子どもが自ら成長するのを助けることができます。子どもたちにとっても、「今日はこれをやる」と誰かに決められた“やらされている”活動では、本来の集中力や吸収力を発揮しづらくなります。自分でやりたいこと、興味のあることを選択するからこそ、満足いくまで繰り返し取り組むことができるのです。

集中して取り組める環境を作る

モンテッソーリ教育では、「子ども・大人・環境」の3つをとても重要視しています。このときの「環境」とは、前述した子どもの敏感期に合った環境であり、子どもにとって使いやすい配置をするだけでなく、集中して活動に取り組めるように、大人が準備をすることも含まれます。子どもが集中してなにかに没頭しているときこそ、本来持っている力が発揮されますよね。その力を引き出し、伸ばしていけるような環境づくりをしましょう。

環境を作る際は、例えば子どもたちが自分で選んで手に取れるように、背の低い棚に収納し、運びやすいようにひとまとめにするなどの配慮も必要です。また、足りないものがあって活動が中断することがないよう、保育者はしっかりと準備しましょう。思い立ったときにすぐ取り組めるような環境を設定しておくことも重要です。

最初は「やって見せる」

教具の使い方は、「やって見せる」という教え方をします。モンテッソーリ教育ではこのことを「提示(提供)」と言いますが、模倣期にいる子どもたちには、実際にゆっくりとやって見せるという教え方が有効です。また教具は、間違った扱い方をすると、その力を十分に発揮できません。使い方が分からないまま進めることは、それ自体が意味のない活動になってしまいます。提示の目的は、子どもと環境である教具を結び付けること。保育者はそのことを意識して取り組めると良いですね。そうすることで、子どもたちは「なんだかおもしろそう」「自分もやってみたい!」という気持ちになります。

集中して活動を始めたら見守る

子どもの活動を見ていると、大人はつい「こうしたら?」「こうするんだよ」と手助けをしてしまいがち。しかしモンテッソーリ教育では、見守ることをとても大切にしています。子どもが集中して取り組んでいるときは、少し離れて見守ってみましょう。手助けをするのは求められたときだけでOKです。子どもが自分で繰り返し挑戦したり、考えたりする機会を大切にできるといいですね。

【分野別】おすすめのモンテッソーリ教具(3~6歳)

今回は、たくさんある教具の中から園でも取り入れやすいおすすめのものをご紹介します。

円柱さし【感覚教育】

シリンダー円柱さし

[【MONTE Kids】モンテッソーリ教具 -- シリンダー 円柱さし 大 ]

モンテッソーリ教具としてメジャーなもののひとつが、大きさが異なる円柱と、穴の開いた台でできている「円柱さし」です。円柱を穴にさしてぴったりハマるところを探していきます。目で見て大きさの違いを見つけるという点で考えられた、感覚教育の教具です。

円柱さしは、円柱の高さ・太さ・その両方が違うもの(2パターンあり)で4つのセットになっています。使い方はそれほど難しくないものの、じっくりと見て学べるおもしろい教具です。2歳半くらいから使えて、使い方を工夫すると年長さんまで楽しめますよ♪

雑音筒【感覚教育】

雑音筒
モンテッソーリ教具 -- 雑音筒
見た目は同じ筒で、耳元で振って音を確かめます。6段階の強弱があり、強いから弱いに並べたり、2本ずつあるので対にしたりするおしごとです。

着衣枠(ちゃくいわく)【日常生活の練習】

着衣枠

[モンテッソーリ 教具 【GAM社製Buttoning Frame with Small Buttons ボタンフレーム】]
ボタンを留めたり、ファスナーを開け閉めしたり、リボンを結んだりして日常生活の練習をする「着衣枠」です。指先の運動になり、自分の服の着脱の練習にもなるので、子どもにとっても身近で挑戦しやすいのではないでしょうか。フェルトなどを使って手作りもできるので、取り入れやすい教具のひとつです。

紐通し【日常生活の練習】

紐通し

[PLANTOYS 5353 レーシングビーズ (30ビーズ)]
すでに園に用意しているところも多い教具が、「紐通し」です。指先の運動として、年齢に合わせたサイズ・素材のものを用意しましょう。プラスチック製で大きめサイズのものから、実際のビーズのように細い穴に通すものまであります。くれぐれも誤飲などには注意して使用してくださいね。

砂文字板【言語教育】

砂文字板

[モンテッソーリBox もじ]
モンテッソーリ教育の中で、言語教育のための教具として欠かせないのが「砂文字板」です。砂文字板とは、板に書かれた文字が砂で吹き付けられている教具で、子どもは砂でザラザラした場所をなぞることで文字を学びます。触覚を使って文字の形や書き順を学ぶ活動で、言語教育の中でも、「文字を書く」の一番最初に位置します。

文字スタンプ【言語教育】

文字スタンプ
[ひらがな50音 スタンプ]
文字を書くのはまだ難しいけど、拾い読みができる子が喜びます。例えば、自分の名前は読めるけど鉛筆で文字を書くことはできないくらいの子が、このスタンプを使うと、自分の名前を書くことができます。

メタルインセッツ【言語教育】

メタルインセッツ
[モンテッソーリ教具 --幾何学図形パズル メタルインセッツ]
図形を置いて、色鉛筆で縁取りしたりする、アートのようなおしごとです。これは、鉛筆を持って書くことに慣れたり、図形を縁取りしながらさまざまな手首や指の動きを経験することにより、知らないうちに文字を書く準備につながっていきます。

算数棒【算数教育】

算数棒
[【MONTE Kids】モンテッソーリ教具 -- 算数棒 小 家庭用サイズ --]
算数棒とは、長さ10cmから1mまで、10cm刻みで長くなっている10本組の木製の棒です。10cmごとに赤色と青色に塗り分けられているのが特徴で、数と量を一致させて学ぶことができます。「1」は赤色が一つ。「2」になると、赤色に、同じ長さの青色が一つ加わった長さになります。赤色と青色に塗り分けられていることで、視覚的に量が増えたことがわかるようになっています。例えば、「10」の棒を置いて、「これと同じにするには、何と何が必要かな?」などと問いかければ、10の構成(7と3、6と4など)や足し算の導入にもつながります。

算数教育の最初に位置するもので、筋肉感覚と視覚よって数字と数詞と量の三者関係を一致させることが目的です。ぜひ園でも取り入れて欲しいですが、とても長くて、おしごとをするためにスペースを取るのと、正しい使い方と異なる別の遊びが始まってしまうこともあるので、その点は注意してくださいね。

世界の国旗【文化教育】

国旗に関連する教具として用意できるものはいくつかあります。導入としては、国旗の絵本が馴染みやすいかもしれません。その他におすすめしたいのが、世界地図に国旗を挿していく教具。絵本のような台紙を開くと世界地図が描かれていて、国旗を挿すための穴が開いています。オーストラリアにはオーストラリアの国旗を、アメリカにはアメリカの国旗を…というように進め、場所と国旗、国の名前を照らし合わせて学ぶことができます。

文化のおしごとは、モンテッソーリ教具として販売されているものもありますが、それにこだわらなくても大丈夫です。分野としては、地理、歴史、生物、化学、科学、音楽、美術などの言葉と数以外のものです。感覚、言語、算数、日常で培った運動や思考を使って学んでいくもので、大事なのは子どもの興味は無限大なので、それに対応できるようにさまざまなものを環境に置いてあげることです。

モンテッソーリ教具で五感を使って学ぼう

モンテッソーリ教具は、今回ご紹介したもの以外にもたくさんのものがあります。五感を刺激する要素が含まれているものが多いのですが、それは五感を刺激されることに子どもが興味を持つからです。こちらの記事を参考にして、活動の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。

[監修:新子由香里/モンテッソーリ教師・保育士]

ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

ほいくis(ほいくいず)編集部

保育・幼児教育のプロフェッショナルで構成された編集部のライティングチームが、質の高い保育を日々提供していくために必要な知識・ノウハウを発信。専門知識から保育ネタ、保育士試験関連情報、保育学生さん向けの情報まで、あらゆる分野を網羅していきます。

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