
履歴書の目的とは
履歴書の書き方をチェックする前に、まずは履歴書がどういった役割を持っているのかを理解しておきましょう。何となく「自分のことを書けば良いので簡単」と思って書いてしまうと、読み手である採用担当者にまったく響かない内容になってしまうことはよくあります。ひとりよがりな内容にならないためには、採用担当者が履歴書から何を知ろうとしているかを考えることが大切です。- 志望度の高さはどれくらいか
- 園についてどれくらい調べているか
- 自己分析ができているか
- 丁寧に書類が書けるか
また、履歴書は面接時の質問の材料として使われたり、先方が求めているポジションや人材観に合うかを確認するためにも使われます。必要以上に背伸びしたり、自分自身を大きく見せるような内容は避け、誠実に書くことが何より大切です。
基本項目の書き方

基本情報
名前や住所などは省略したりせず正しく記入しましょう。名前に使われている漢字が旧漢字などの場合は、戸籍上に登録されている最も正しいものを書いてくださいね。日付は提出日を記入しましょう。この後出てくる日付の表記は、提出日の数字にあわせて和暦と西暦を統一していきます。学歴
一行目には「学歴」と中央に書きます。基本的には中学卒業もしくは高校卒業時からの学歴で問題ありません。卒業校に学部や学科がある場合は、省略せずに正しい名称を記入しましょう。例えば短期大学を「短大」と略してしまうことは避けてくださいね。長くなってしまう場合は無理に詰め込まず、二行に分けても良いです。職歴
学歴と同様に、一行目中央に「職歴」と書きます。細かい業務内容などは職務経歴書に記入するので、ここでは「勤務先名」「入社・入職年月」「退職理由」「退職年月」を正しく記入しましょう。保育園名や施設名だけでなく、株式会社、学校法人、社会福祉法人など運営主体の名称も省略せずに正式名称を記載するように注意することが必要です。また、前職での退職理由については「一身上の都合により」「夫の転勤のため」など簡潔な書き方でOKです。最後に、最終学歴の次の行に右詰めで「以上」と書くことも忘れずに。
自己PRや資格、希望欄

自己PR・特技
特技や趣味を説明するときは、ダンスやピアノ、そのほか保育に繋がりそうな内容を積極的にアピールするのがコツ。もちろん、仕事に活かせる自分の性格や、人柄が分かる内容も自己PRにはぴったりです。経験年数などの数字や、エピソードを入れると内容がより具体的になり、相手にも伝わりやすくなりますよ。特技はダンスです。3歳からクラシックバレエを20年間習い、長年に渡って音楽や身体を動かすことに親しんできました。現在の勤務先では子どもたちにダンスや体操を楽しく教えたり、運動会やお遊戯会などの行事で振付を考えるなど特技を活かしながら保育をしています。
免許・資格欄
保育士資格以外に保育や子どもに関する資格を保有している場合は強みになるため、ここでしっかりアピールをしましょう。資格名を書く記入欄が少ない場合は、より現場で活かせそうな、実践的なものを優先することをおすすめします。これから保育士資格を取得予定という新卒の学生さんは、その旨を書いておきましょう。参考例)
- 幼稚園教諭免許状
- チャイルドマインダー
- 絵本専門士
- リトミック指導者
- ベビーシッター
- 臨床心理士
- 社会福祉士
- 児童指導員
- 食育スペシャリスト
- 運動保育士
- 認定病児保育スペシャリスト
- ベビーマッサージ
本人希望欄
特に希望がなければ「貴園(貴社)の規定に従います」と書いておきます。運営主体が株式会社や学校法人、NPO法人などの場合は複数の園で募集をしているケースがあるので、希望の勤務地がある場合や、異動の可否を確認したい場合は記入しましょう。ただし、あまりに希望が多いと良い印象でないので、記入する場合は絶対条件のみにするのがベターです。
志望動機

理想の保育について
自分が考えている理想の保育について書いてみましょう。テーマ例)
- 子どもたちの気持ちと向き合い、主体性を大切にした保育がしたい
- 子どもの「やりたい」気持ちを引き出すような保育がしたい
- 相手の気持ちを考えたり、思いやりを持った行動ができる人になるための基礎を作る保育がしたい
園や運営法人の理念について
園はそれぞれに理念や保育目標を掲げています。採用する側としても、その理念に共感し一緒に園を作り上げてくれる人材を求めています。事前に応募先が掲げている理念や保育方針、目標などをホームページなどで確認しておくと、志望動機にも盛り込むことができますよ。使いまわしができる内容ではなく、その園に合わせたものを工夫して書くことで、「しっかりと理解したうえで応募してくれているんだな」という印象アップにも繋がります。
向上心について
今自分が持ち合わせている力を、今後どう活かして成長させていきたいかという向上心も大事なアピールポイントです。求められるのは、「そのままの力で頑張ってくれる人」ではなく、「今後の園をより良くしてくれる人」。前向きな成長意欲を、熱意をもってしっかりと伝えましょう。表現・表記の注意点

限定的な希望は避ける
「1歳児の担任がしたい」「乳児の主担任がしたい」など限定的な希望が書かれていると、「希望以外のクラスの担任はできない」つまり、園を円滑に運営していくには不適切な人材だと考えられてしまう可能性があります。求人に「乳児クラス担任募集」などの条件が書かれているときや、「何歳児クラスを担任したいですか?」と聞かれたとき以外は、主張しすぎることは避けましょう。
否定的な表現をしない
「0歳児の保育はできません」「ピアノは弾けません」などの否定語は、相手を不安にさせることにも繋がるため使わないようにしましょう。聞かれたときには「ピアノは得意ではありませんが、現在練習中で少しずつ簡単な曲が弾けるようになりました」「ピアノはあまり得意でないため、その分歌や体操で子どもたちと楽しんでいました」などポジティブな内容を足しましょう。空欄・使いまわしはNG
履歴書の使いまわしはNGです。「不採用になり返送されたものがもったいないのでそのまま使いたい」と思うかもしれませんが、面接官は日付記入の有無などを一人ひとりしっかりチェックしています。使いまわしているものはすぐに分かってしまい、イメージを損ねてしまうことにもなるので都度しっかりと新しい履歴書に記入しましょう。職歴を省略しない
転職回数が多かったり保育以外の経歴があると、記入を省略してしまうこともあるかもしれません。しかし面接官は、過去にどのような場所で働いてきたのか、どのくらいの期間勤めていたのかなども知りたいと考えています。職歴欄には、できる限り全ての勤務歴を記入するようにしましょう。丁寧な字体で書く
保育の仕事もICT化が進んでいますが、まだまだ字を書く場面が多いのも事実です。また、文字はその人の印象を左右する要素にもなるため、できれば丸文字などは避けて丁寧な字で記入することを心がけましょう。履歴書フォーマット
基本的な履歴書のフォーマット(テンプレート)を用意しましたので、ダウンロードしてご利用ください。
書式や写真、基本ルール
採用担当者によっては、書類の作り方から丁寧さや読み手への気遣いなどをチェックしている場合があります。細かい点まで見られていることを意識して、基本的な点は押さえておきましょう。
書式・サイズ
履歴書にはB4サイズ(二つ折りにしてB5サイズ)と、A3サイズ(二つ折りにしてA4サイズ)の2種類が一般的です。特に指定されていない場合は、基本的にはどちらでも問題ありません。市販されているものではなく、パソコンでフォーマットを利用する場合はこの2つのいずれかのサイズにしておきましょう。
写真
証明写真については、インスタントに撮れる自動の証明写真機で問題ありません。細かい点ですが、貼付する際は写真の裏面に名前を書いておくと、万一剥がれてしまったときに安心です。採用担当者が必ず見る訳ではありませんが、念のために丁寧な準備を心がけましょう。手書きが望ましい?
就職・転職活動では、パソコンで作成した履歴書や職務経歴書を使うことも一般的になっています。ただし、手書きの書類や連絡帳でのコミュニケーションなどが少なくない職種のため、手書きで丁寧に作成した履歴書や職務経歴書は、実務に関するアピール材料の一つにもなります。先方に意欲を伝える意味でも、できれば手書きでの作成をおすすめします。
修正液はOK?
手書きで書く場合は、手間もそれなりにかかるため、ちょっとした間違いは修正したくなるところ。しかしこれは原則NG。修正液や修正テープは良い印象を与えないので避けましょう。間違いを防ぐためにも、下書きをすることをおすすめします。記入漏れ・誤字脱字はNG
書類作成にはそれなりの時間がかかるためついつい怠ってしまいがちですが、必ず一度は全体を読み返すようにしましょう。ありがちですが、氏名の隣に「印」とある場合は、押印をすることも忘れずに。この場合は必ずしも登録した印鑑である必要はなく、スタンプ印でOKです。
また、誤字脱字は、あるだけでかなりマイナスな印象を与えるため避けたいところ。メールアドレスや電話番号などの連絡先については記載ミスが無いように注意が必要です。そのほか、学校名や施設名など、略語ではなく正式名称を使うべきところも見落としが無いようにしてくださいね。

丁寧に書こう
履歴書が丁寧に記入されているかどうかは、採用側からとてもよく見られています。合否のカギを握っている大切な書類になるので、しっかりと書き方をチェックしてから臨んでくださいね。【関連記事】