子どもを叱ってもいいの?
保育所保育指針では、「子どもの主体性」を大切にした保育が推奨されています。そんな中、「子どもの主体性を大切にするのに、子どものことを叱ってもいいの?」と疑問や迷いを抱えている先生もいるのではないでしょうか。【叱るべき場面は…】
- ケンカをする中で相手にケガをさせるような場合
- 大きなケガや事故など、健康や命に関わる場合
- 人を厳しい言葉で傷つける、人権に関わる場合
- 社会のルールやマナーを無視している場合
叱るときに気をつけたいこと
叱るべき場面があるとはいえ、そのときに気をつけておきたい点がいくつかあります。ついついやってしまいがちなことばかりなので、再度確認してみましょう。感情的にならない
まず知っておきたいのは、「叱る」と「怒る」の違いです。怒るというのは感情的に怒りをぶつけること。一方で叱るというのは、相手のことを想い、良い方向へ導くために行うことです。保育士さんがとるべきは、「怒る」ではなく「叱る」。イライラの感情をぶつけることがないようにしましょう。また、子どもに対してつい「いい加減にしなさい」という言葉を言ってしまうことがあるかもしれません。この言葉は怒りの感情から出るものであり、子どもと今向き合っている問題とはつながりがない言葉のため避けましょう。
怒鳴らない
ついつい怒鳴ってしまう、大きな声を出してしまう…人間なら誰でもあり得ることですよね。しかし怒鳴ることで子どもが謝ったり、大人しくなるというのは恐怖心からくるもの。何がいけないのかという本質が分からないままになってしまいます。恐怖を与えたり、脅すような叱り方は避けましょう。無理に謝らせない
子どもたちのケンカを仲裁した際、「ごめんねは?」と言ってしまうこともあるかもしれません。しかし、これは無理に謝らせている状況。子どもの意思で「なぜいけないのか」「どうするべきなのか」を考えることが大切です。すぐに「ごめんね」が出てこなくても焦らず、何が問題なのかを一緒に考えてみましょう。“叱る”よりも“伝える”
子どもを叱るとき、保育士さんが心に留めておいてほしいこと。それは、「叱る」だけではなく「伝える」ということです。どういうことか考えながら、伝え方のポイントを見ていきましょう。子どもを落ち着かせる
子どもが泣いていたり感情が高ぶっている場合は、まず落ち着くのを待ちましょう。手を握る、優しく抱きしめる、落ち着くような声かけをするなど、目の前の子どもが安心できる状態にすることで話がしやすくなりますよ。理由を聞く
叱る前にまず、なぜそのような言動をとったのかという理由を聞きましょう。うまく言葉が出ないこともあるかもしれませんが、ゆっくりと子どもの言葉に向き合ってみてください。また、年齢によっては自分の言葉で伝えることが難しい場合もありますよね。そのようなときは問いかけながら、子どもの気持ちを代弁してみましょう。
いけない理由を話す
話をするときは、「なぜ良くないのか」を伝えることが大切です。「友だちを叩いちゃダメでしょ」と、結論だけを言っても子どもにはなかなか伝わりません。叩いたらどうなるのか、もし自分だったらどう感じるのか、などを話し合いながらいけない理由を伝えていきましょう。このとき、子どもとしっかり向き合い目を見て話すようにすると、こちら側の気持ちも伝わりやすいですよ。
子どもと一緒に考える
「じゃあこうしようね」と、保育士さんが答えを出すのではなく、「どうしたらいいと思う?」と一緒に考えてみましょう。自分で考えるという経験を重ねることで、次同じようなことが起きたときにどうすればいいのか少しずつ分かるようになります。否定しない
「いつもお友だちを叩いて困ったね」「なんでできないの?」など、子どもを否定するような言葉はNGです。何気なく言った一言でも、“否定された”という感覚は子どもたちの中に残ってしまいます。まずは一度子どもの気持ちを受け止めることも大切ですよ。褒めることも忘れずに
答えを自分で見つけ出せたり、解決できたときには褒めることも忘れずに。叱ることと褒めることはセットだと考えておいてもいいかもしれませんね。子どもと向き合う姿勢で
子どもを叱るときに大切なのは、向き合って伝えていくこと。自分が感情的になってしまっていると感じたら、他の保育士さんに対応を変わってもらうなどすることもひとつの手です。保育士さんの想いが子どもたちにも伝わるように、落ち着いて対応を考えてみてくださいね。>>ほいくのQ&Aひろば
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