お散歩に行ったときの「約束ごと」

保育園の近くの広場へ行き、まずは子どもたちに”お約束”を話していたその日のリーダーの先生。
「はい、ここで遊びます。あっちに階段があるから、あそこには行かないでね。あの階段は上っちゃいけないところだから、行かないでね」
広場の横にある階段に行かないように念を押してから、子どもたちに「遊んできていいよ」と促していました。
そして、子どもたちが階段の方へ行かないように、その前に先生たちが立っていました。
その様子を見て、私は先生たちがわざわざ階段に注目させているように、見えてしまいました。
案の定、子どもたちは階段に上りたくて、何度も行っては引き戻され、他の子が引き戻されている隙に別の子が登ろうとし…。

「やってほしくないこと」を子どもにどう伝える?
「行ってほしくないところ」や「やってほしくないこと」を子どもたちに“ルール”として伝えている園も多いのではないかと思います。幼児と乳児の違い
幼児は、その説明(ルール)をある程度理解できるので、リスクマネジメントとして先に伝えておくことも、時には必要かもしれません。でも、乳児に同じように説明をすると、この園の子どもたちのような状態になります。
乳児期は、見たものに興味を持ちます。そして、興味を持つと、近づいていき、触れてみたり、遊んでみたりしたくなります。
このことを、保育の振り返りの時間に先生方へ伝えると、1人の先生が「そっか!お笑いのフリと同じことしてたんだ〜!」と言うと「ほんとだ〜!」と、みんなで大笑い。
そうです、お笑い芸人の「押すなよ。押すなよ。絶対押すなよ」と言うことで、それが押すことの前振りになっている…というように(笑)
乳児には逆効果になることも
乳児にも「あそこに行ったらダメよ。あそこだよ。あそこはダメだからね」と何度も念を押すことで、子どもたちの“行ってみたい”という興味にエネルギーを注ぐことになってしまうのです。
この先生の一言がそのことを言い当てていて、愉快な振り返りとなりました。
この出来事から、私はあることに気づきました。
私たちは子どもたちの「やってほしくないこと」や「ダメなところ」などに意識を注いでいるかもしれないということです。
それは「できていないところ」「良くないところ」など、否定的な部分(“ない”部分)に目が向いている状態です。
「このことができている」とか「これに興味を持っている」という子どもたちの姿の”ある”部分を見るという、“肯定的な眼差し“が大切だと思います。
「肯定的な眼差し」って?
この「肯定的な眼差し」は、子どもたちの可能性に目を向けていることになります。否定的な部分を見るよりも、子どもたちの可能性に目を向け、好奇心や探究心を引き出すような関わりをすることで、より保育が面白くなるのではないでしょうか。
「肯定的な眼差し」のもとで育つ子どもたちは、伸び伸びと個性豊かに育つと思っています。
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