今回のテーマ「プロジェクト活動」
これまで3回の連載を通じて、スウェーデンの「子ども主体の学び」についてお話してきました。今回はその総まとめ編!私のクラス(1〜2歳児)で昨年度行った「りすのプロジェクト活動」を紹介したいと思います。
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スウェーデンのプロジェクト活動
連載で何度かご紹介してきた「プロジェクト活動」は、スウェーデンの保育の特徴の1つ。「子どもたちが主体的に学び、さらにその学びに参加するための手法」という位置づけです。プロジェクト活動の取り入れ方は、園によってさまざまです。
私の働く園では、子どもの興味に従ってプロジェクトのテーマを決めて取り組んでいます。昨年は年間を通じて「リス」をテーマに学んできました。
活動のきっかけは子どもたち
「リス」がテーマのプロジェクト活動と書いたのですが、実は最初は「どんぐり」が出発点でした。お散歩でよくいく公園でどんぐりを見つけた子どもたちは、その茶色いコロンとした丸い物体に興味津々でした。
にぎったり、つまんだり、かじったりしながら、どんくりがどんなものなのかを探究していました。 そこで、室内外を問わずどんぐりを探究するために、
・どんぐりを転がすための仕掛けを保育室に作ったり
・粘土で形を作ってみたり
こんな活動を行いました。そういった活動から、どんぐりは丸い形状で、転がるという性質を持っていることを子どもたちは学んでいきました。
子どもの連想~活動テーマの発展
それをきっかけに、どんぐりが出てくる歌も頻繁に歌うようになり、その中にどんぐりと<食べる―食べられる>関係にある「リス」が登場していました。 1ヵ月半近くどんぐりの探究をしていましたが、その頃には歌の影響もあってか、子どもたちの興味は「リス」に移っていきました。その様子を見て、このプロジェクトに「リス」を加えることに決めました。
もしここで、保育者側が当初に決めたどんぐりのプロジェクトにこだわったら、この後に起こる「子ども主体の学び」は生まれなかったと思います。
「子ども主体の学び」のためのサポート
こうして、子どもたちは歌を通じて「リス」がどんぐりを食べ、どんな風に食べるのかを知っていきました。そこで、さらに「リス」の生態系に興味がもてるように…と私は考えました。
保育者のサポート①質問を投げかける
私は、こんな質問をしてみました。「りすってどんな風に寝るの?」
すると2歳児の二人が、その場で横になり「人間みたいに寝るんだよ。そうだ、毛布がいる!」と言って、おままごとのスペースから生地を持ってきました。
彼らなりの仮定を立てている様子が分かります。さらに図鑑にちょうどりすが寝ている様子の挿絵があり、それをその子たちと見て、「しっぽが毛布みたい」ということを発見していました。
保育者のサポート②子どもの興味から入る
ほかにも2歳児たちとの活動では、彼らが四六時中“うんちの話”をしているので、粘土で「リス」のうんちを作ってみよう!という活動を行ってみました。この時は動物のうんちの絵を見ながら作っていたのですが、「リス」以外の動物のこと、自分のトイレトレーニングの話など、言葉の発達を促す活動に繋がったと感じます。
毎日たくさんのことを発見していく子どもたち。彼ら主体の学びを一つの束に束ねるのが彫保育者が実践する「プロジェクト活動」だと感じます。
是非、子どもたちの学びの手法として取り入れてみて下さいね!
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