【今回のテーマ】加配保育士さんからの相談
今月からは、加配保育士のルミ先生の悩みについて考えていきます。
<ルミ先生のお悩み> 家ではお話をするのに、園ではひとこともお話をしない美知瑠ちゃん(4歳)との関係づくりがうまくいかないのです。 ルミ先生は今日も元気に明るく、美知瑠ちゃんとお母さんに挨拶をしますが、美知瑠ちゃんはお母さんの後ろに隠れてしまいます。お部屋でも、ルミ先生が近づくと美知瑠ちゃんは逃げてしまいます。 |
しかし美知留ちゃんは、どうもルミ先生の「元気いっぱいの保育指導」が好きではないようです。ルミ先生が、美知瑠ちゃんとの関係をより良いものにするには、どうしたらいいのでしょうか?
まず「保育」の本質を考えてみる
「保育の場の目的」今回のお悩みを考えるとき、解決策を見つける前に、改めて「保育」の本質を考えてから検討したいと思います。 今回から3回にわたって【理論編】の解説をしていきます。
最初にみなさんにひとつの問いを投げかけてみます。
「保育の場は、誰が どのような経験をすることをめざす所なのか?」いかがでしょうか。
厚生労働省の保育所保育指針は「保育の目的」について、次のように述べています。
保育所は、この時期の子どもたちの「現在」が、心地よく生き生きと幸せなものとなるとともに、長期的視野をもってその「未来」を見据えた時、生涯にわたる生きる力の基礎が培われることを目標として、保育を行う。その際、子どもの現在のありのままを受け止め、その心の安定を図りながらきめ細かく対応していくとともに、一人一人の子どもの可能性や育つ力を認め、尊重することが重要である。 ※保育の目標 (保育保育所指針P3(2)ア)より引用 |
保育所保育指針の「保育の目的」解説
ここで言われているのは、- 保育所は、子どもが「現在」幸せを感じる場である
- 保育所は、子どもが「未来」のために学ぶ場である
- 1と2を実現するために、保育所は、ありのままの子どもを受け止め、子どもを尊重する
「保育の目的」考察
ここから言えるのは、まず保育の場は徹頭徹尾「子どものため」の場だということです。保護者や保育士のための場ではありません。ルミ先生のお悩みへの解決策前をお話しする前に、このことを確認していきたいと思います。
「保育の目的」の3つを満たすためには?
では1~3を満たすために、保育所はどうあらねばならないでしょうか。これについて私は、「一人ひとりの子どもの願いを叶える場であること」が最も大切だと考えています。
人は誰しも「願い」を持って生きています。
「願い」を叶えることができたとき、人は生きる喜びや楽しさを感じ、生きていてうれしい、と感じます。
それこそが「幸せ」だと私は思います。 だからこそ人が人生の初期を過ごす場所である保育所は、子どもがその子ならではの「願い」を叶える場でありたい。
子どもが自分の「願い」を叶える経験を通して、生きる喜びや楽しさを感じ、自分の周りにいる、他の子どもや先生との繋がりを感じられる場でありたい。
そのために保育士は、保育士と子どもの関係、子ども同士の関係を良好に築く必要があるのだと思います。
子どもはどんな「願い」を持っているのか?
ところで「子どもの願い」とは何でしょうか。私は子どもだけでなくすべての人は、
- 尊重されたい
- 安心したい
- 信頼したい
- 有能でありたい
- 楽しみたい
- 人とつながりたい
※『発達障害のある子と家族が幸せになる方法』第2章(出版:学苑、2018/9/14発行、原哲也 (著)より引用
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