保育園で起こり得る火災の原因
調理室を除けば、火を使うことがほとんどない保育園でも、実は火災の危険性があることをご存知でしょうか? 実際に保育園で発生する可能性がある火災原因について見てみましょう。①トラッキング現象
コンセントと電源プラグの間にホコリが溜まり、湿気によって火花が発生して火災になるというもの。特に冷蔵庫や複合機などの裏にあるコンセントにはホコリが溜まりやすいので、定期的に掃除しましょう。②モバイルバッテリーの火災
最近では、園内で使う機器の充電にモバイルバッテリーを利用するケースもあります。このモバイルバッテリーの中にあるリチウムイオン電池の劣化や破損により発熱し、火災になる場合があります。発熱やケースの変形など、異常を感じたら直ちに使用を中止し、メーカーに問い合わせるか、適切に処分をしましょう。③収れん火災
子どもの頃、太陽の光を虫メガネで集め、紙に火をつけるという実験をやった記憶がある方もいるでしょう。それと同じ仕組みで、ペットボトルや透明な花瓶などによって屈折させられた太陽の光が原因で発火することがあります。その視点で、窓際など日の当たる場所に置いてあるものをチェックしておきましょう。④火の不始末
木炭を完全に消していないと、中で火がくすぶったまま時間が経ってから近くのものに燃え移り火災になることがあります。園の行事で焚火や七輪などを使用した際には、必ず適切に処理をしましょう。炭壺を用意して中に入れたり、水に漬けておいたりすることをおすすめします。⑤近隣からの火災
園の立地によって異なりますが、住宅密集地や商業施設の中などでは、近隣からの火災が延焼することも考えられます。どこからの火災かを把握して素早く避難する訓練を日ごろから行っておきましょう。初期消火のポイント・消火器の使い方
火災は、早く発見して適切な対応ができれば、被害を最小限に食い止めることができます。もしも自分自身がいる現場で火災が発生した時には、すぐに初期消火を行えるよう訓練しておきましょう。初期消火の手順は以下の通りです。
- 「火事だー!」と大きな声で周囲に知らせる
- 消火器を火元の近くまで運ぶ
- 安全栓を真上に抜く
- ホースを外し、ノズルを火元へ向ける
- レバーを強く握り放射する
延焼火災時の避難のポイント
続いて、火災が発生してしまった際の避難のポイントについて見ていきましょう。広域避難場所に避難
関東大震災や阪神淡路大震災では、延焼火災によって多くの命が奪われました。大地震発生後には、さまざまな場所で火災が発生すると予想されます。たとえ園舎が安全でも、周囲を火に囲まれてしまったら助からないかもしれません。大規模火災の際に避難をする場所として、各地域には「広域避難場所」というところが指定されています。その時の風向きや強さによって、火の回りは変わってきます。まだ大丈夫という判断をせず、近くで火災が発生していたらできるだけ早めに広域避難場所へ避難しましょう。
煙に注意
火災が発生した際、実は火よりも怖いのが煙です。煙が迫っている時には、姿勢をできるだけ低くし、ハンカチなどで口を覆って素早く避難します。煙で視界が悪い場合は、片手で壁を触りながら進んでいきます。子どもたちがはぐれないように、保育者が最後尾にもつくようにしましょう。適切な判断と素早い行動を
いかがでしたか? 火災時の対応は、適切な判断と素早い行動力が大切です。消火器の訓練はもちろん、毎月の避難訓練でもさまざまな場所からの火災を想定した訓練を行うことで、いざという時に素早い行動ができるようになります。普段からのチェックや、いざという時の対応の参考にしてみてくださいね。
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