保育の中では、いしかわこうじ絵本が大活躍しています。
今秋、いしかわこうじ氏と共にイベントを実施しました。一緒に過ごす中で、魅力が明確に見えてきました。いしかわこうじ氏の魅力を掘り下げていきたいと思います。
絵本作家「いしかわこうじ」とは
本屋さんや保育室で見かけた人も多いことでしょう。いしかわこうじさんは、大学在学中 よりイラストレーターとして活躍され、2000年頃から紙で作った小さな犬「ペーパーわんこ」と世界を旅をして撮影するプロジェクトを開始します。
その後「どうぶついろいろかくれんぼ」(ポプラ社)の出版を皮切りに50冊以上の絵本を出版している保育業界でも大人気の絵本作家です。
保育に通じる全領域カバーという考え方
絵本作家の中でいしかわこうじ氏の特筆すべき点は、絵本の文、絵、デザインを一人で作り上げているという点です。文と絵を一人で作り上げる作家は多くとも、表紙のタイトルや、テキストの位置やフォント、本全体の完成までデザインする作家は、あまり聞いたことがありません。
ご本人曰く、「完成までを構想して、本の内容、構成、パッケージ全て同時に考えて作っているから」とのこと。これは分野違いではありますが、養護と教育が一体となり、全領域をカバーしながら組み立てていく保育と同じ考え方だと思いました。子どもの成長、発達は全て繋がっており、同時に考え保育していく必要があります。
いしかわこうじさんのお気に入りの作品を紹介
まずは数ある作品の中でも、俺が好きな絵本を中心に紹介していきます。
『どうぶついろいろかくれんぼ』
いしかわこうじ
ポプラ社/2006年
いしかわこうじ氏の絵本第一号。子どもが喜ぶ「色」「形」「音」「問いかけ」が揃った大人気絵本。一冊目からこの完成度が素晴らしく、『これなあに? かたぬきえほん』シリーズとして15冊(以下続刊)出版されていますが、どれも楽しさは変わらず、季節や子どもの興味関心に寄って読み分けることも出来ます。
また、いしかわこうじ絵本全般に言えることですが、カラフルで版型は正方形が多いのは、いしかわこうじ氏が子どもの時から折り紙が大好きで、あそこから様々な形が作られていくことが原点となっているとのことです。
このカラフルな正方形の絵本から無限の世界が広がるのは折り紙も絵本も一緒。
『まほうつかい』
いしかわこうじ
偕成社/2018年
偕成社から出版されている『あっ!とおどろくしかけえほん』シリーズは、『おめんです』(偕成社/2013年)もありますが、俺がよく読む絵本はこちら。
まほうつかいのコジモが身近な物に「あっ!」と驚く魔法をかけていきます。りんご、車、ホットケーキetc...
ページをめくると場面がかわるしかけは、方向が自在。横に縦に動きがあることで子どもたちは次の魔法がどんどん楽しみになっていきます。謳い文句の如く、まさに『あっ!とおどろくしかけえほん』はたくさんの子どもも魔法にかけられたかのようです。
『ふねくんのたび』
いしかわこうじ
ポプラ社/2008年
手紙を届けるように頼まれたふねくんは、大きな港まで海を旅します。
のんびり、どっきり、わくわくの船旅は波乱万丈ではありますが、空の青、海の青、調度良い具合にシンボル化された登場者たちから深い安心感を得ることができます。
いしかわこうじ絵本の中では版型が大きく、見開きいっぱいに広がる空と海の青が子どもたちの眼前に広がり、船旅を一緒に楽しみ、最後のしかけは、圧巻! 喜ばなかった子どもに、未だ出会ったことはありません!!
いしかわこうじ氏の言葉です。
『ふねくんのたび』のようなきれいな海と空の様に、「広くて深い」と俺も思います。絵本の楽しみ方は無限大。子ども一人ひとりの楽しみ方、読み方は違いますが、絵本はその全てを受け止めてくれます。保育士が絵本の楽しみを限定したくないものです。
次回はイベントを通じた いしかわこうじ氏の魅力を紹介
今回は、絵本紹介をしました。次回のコラムでは、絵本イベントの様子をお伝えしながら、いしかわこうじ氏の魅力を更に掘り下げていけたらと思います。