1.ぬり絵遊びの発達
まずは、ぬり絵遊びの発達について押さえておく必要があります。一般的に子どものぬり絵遊びは次のような段階を経て発達します。第1段階/2歳前半~
- 形式:図に点を打つなどして、マーキングする。
- 特徴:図の中を塗るという認識がなく、図の上をなぐり描きするだけで、ぬりすぎ、あるいはぬり残しが大変多い。
第2段階/2歳後半~
- 形式:図の中にギザギザ線やぐるぐると丸を書くことが多い。
- 特徴:図の中をぬることを認識し始める。ぬり残しは大変多いが、ぬりすぎはほとんどない。
第3段階/3歳~
- 形式:図の中をぬることを理解し、ぬりつぶすことに集中する。
- 特徴:ぬり残しが急減するが、ぬりすぎに注意を払わず、ぬりすぎが増す。
第4段階/4歳半~
- 形式:図の中をきれいにぬることを意図してぬる。
- 特徴:ぬり残しとぬりすぎが共に少なくなる。
2.ぬり絵遊びの機能
また、ぬり絵遊びには、次の5つの機能があります。①腕や手指をコントロールする力が付く
姿勢が不安定ではぬり絵はできないので、まず座位の安定が必要です。また、腕をスムーズに動かすことも必要ですし、クレヨンや色鉛筆を持ちながら描くには、手指をコントロールする力も要求されます。「はみ出さないように描こう」「ぬりつぶそう」「薄くぬる」「濃くぬる」など、緻密にぬろうとするならば、力の細かいコントロールやスムーズな動きが要求されます。
ぬり絵を仕上げたい、上手にぬりたいという気持ちでぬり絵に取り組む中で、座位を安定させる力や腕や手指をコントロールする力が育つことが期待されます。
②目と手の協応を育てる
目と手が協応できるというのは、目の動きに手の動きを合わせられるということです。ぬり絵では、ぬる方向を見ながらぬり絵の紙面と線を見て、線から出ないように色鉛筆やクレヨンを使う必要があり、そのためには、目の動きに手の動きを合わせなくてはなりません。
ぬり絵で目の動きに手の動きを合わせる経験を数多くする中で、目と手を協応させることができるようになることが期待できます。
③集中力が身に付く
自分が思ったようにぬろう、はみ出さないようにぬろうと思えば、自然に集中します。ぬり絵の紙を注視すると他の刺激が入りにくくなることも、集中できる要因でしょう。枠の線の太さ、枠の小ささ、複雑さなどによって難易度が高くなると、集中度はさらに高まります。ぬり絵遊びは子どもの集中力を育てる機会になります。④達成感や自己肯定感を育む
ぬり絵遊びは、完成がわかりやすくはっきりしているので、「できた!」「完成した!」という達成感が得られます。また、自分で絵が描けなくてもぬり絵ならば、子どもは満足できる絵を「自分で」完成させられます。大好きなものの絵を自分で完成させたときの達成感は大きいはずです。「上手くぬれるかな?」「完成させられるかな?」と不安があるような子どもにとって、不安を乗り越えて完成できた、素敵にできた達成感や満足感は、子どもが自己を肯定的に捉える機会になります。
⑤創意工夫や目標に向かう計画性を養う
どの色を使おうか、どこから、どのように色をぬろうか、と自分で考えて工夫し計画してぬっていく中で、子どもたちは創意工夫や計画性を養っていきます。その子らしい創意工夫や計画性を十分に発揮できるように、ゆったりとした時間を補償しましょう。3.発達障害のある子の場合のぬり絵遊びのポイント
これらの、ぬり絵遊びの機能を踏まえて、保育者がサポートする際のポイントを4つの視点から見ていきましょう。
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