子どもが自由に遊べるのは当たり前?
みなさんの保育園では、子どもたちが自ら遊びを探し出し、自ら遊びを発展させて遊ぶことが出来るお子さんはどれくらいいるでしょうか?子どもたちは自由に遊べるのは当たり前だと思っていませんか?
実は発達に偏りをもっていることで、遊びを自ら見つけ出し、自由に遊びを充実させることが難しい子どもたちがいます。まさに、自由が不自由なのです。
自由に遊ぶこととは
自由に遊ぶということは、おもちゃを見ただけで、それをどのように使い遊ぼうかというイメージをもち、頭の中で計画することが出来ています。そして、そのイメージを実行にうつしているのです。しかし、自由時間にフワフワと何をするわけでもなく、お友だちのところに顔を出してはまた、違う場所に行き、今度は先生の元について回るなど、遊び込む様子はなく、何となく1日を過ごしている子は、その理由の一つとして、何でどのように遊べば良いのか分からないために、何もせずに他者の遊びを見ていることや、遊びを提案してくれる、大人の近くにいつもいるという行動が見られます。
「自由に遊べない子」への支援の方法
では、どのように支援すれば良いのでしょうか?
「自由が不自由」つまり、自由ではない方が安心するわけなので、遊びをあえて決めてあげると良いでしょう。
例えば、その日の遊びを1から順番にスケジュール化し、決まっていることで安心し、一つの遊びが終わると次の遊びを自ら確認し、行動に移すという流れです。こうすることで、何もしない1日ではなく、遊びが充実し、達成感を経験することで「楽しかった、またやりたい!」という次への意欲に繋がります。
さらに、次第に完全に大人が決定していたスケジュールを、本人と一緒に決めることが出来るようになると良いですね。遊びのメニュー表を作成し、ファミリーレストランでメニューを選択するように、たくさんのおもちゃの写真から選択し自ら遊びのスケジュールを決定していけると良いでしょう。
遊びのポイント
遊びを提供する際には、このような実行機能の中の計画をたてる部分が苦手なお子さんには、ブロックなどのゼロからゴールまでの工程が一目見て分かるような説明書も一緒に提供することをおすすめします。できないのではなく、やりかたが分からないという本人の手助けとなる部分の支援をいれることで、苦手なことが苦手ではなくなり、楽しく出来た経験を積み重ねることが出来ます。
また、スケジュール化した遊びで遊び込めないようなら、それは遊びの質が本人に合っていないのかも知れないということを考えましょう。
例えば3歳クラスのお子さんが遊び込めずにスケジュール化しても遊びにマッチしないのであれば、そのお子さんの「好き」は入っているだろうか? また、遊びの発達レベルは本当に3歳児の遊びで良いのだろうか? 2歳児の遊びではどうか? 1歳児の遊びではどうかと、年齢に関係なく発達レベルに合わせた遊びを提供出来るように考えましょう。 それでも、中々遊び込めないようであれば、おもちゃで遊ぶ段階ではなく自分の身体の内的感覚で遊ぶ段階なのかも知れません。運動遊びや、感覚、感触遊びをセッティングし「遊び」というものを幅広く捉え、本人に合わせた遊びを作り出していきましょう
井上さんよりアドバイス
子どもは遊びから多くのことを学びます。遊び込めていないお子さんをそのままにするのではなく、遊びが充実しているかという視点をもち、本人の興味に合わせた遊びを提供していきましょう。本人に合わせた遊びがなければ作ればよい。これは、保育士さんの一人一人に合わせたオーダーメイドの心のこもったプレゼントになり、楽しそうに遊んでくれたときの笑顔はきっと忘れないものになるでしょう。
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