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“砂丘が動く”強風を待ちわびる子どもたち。カノア保育園8月の風物詩とは?

レジ袋で凧揚げを楽しむ子どもたち
ブラジル・カノア保育園の設立ストーリーと並行してお届けしている、ブラジルの文化や地元の生活を紹介するシリーズ。今回は、8月に「凧揚げ」というお話。日本ではお正月の風物詩ですが、カノア保育園のある地域ではどのように楽しまれているのでしょうか。

私たちが住んでいるエステーヴァン村は、赤道直下ということもあり常夏です。雨季が終わって乾季になると、日中30度前後の日が毎日続きます。ただし、日本と大きく異なるのは、湿度が低いこと。そのため、日陰に行けば潮風もあり、とても涼しく感じます。

さて、その潮風。8月になると竜巻のような風が吹き荒れます。村のお年寄りによると、この時期に砂丘は“動く”のだそうです。確かに、砂丘は流動的で、山となっている部分が変わっていく様を毎年見ることができます。そしてそれが顕著にみられるのが、この8月なのです。

風の季節。夕方になると風は強くなります。そのため、買い物に出かけてちょうど海が見渡せる場所に来ると、砂嵐がやってきます。この時の砂は痛いのなんの。歩くことができず、飛び跳ねてしまうほどです。





私たち大人にとっては手ごわい風ですが、子どもたちにとっては最高の友だちです。この時期、子どもたちはたくさんの遊びをします。シャボン玉、凧揚げなどなど。特に凧揚げは、子どもたちがそれぞれに作って、誰が一番高くあげられるか。誰が一番長くあげていられるかを競い合っています。

村には凧作りの名人がおり、この時期になるとその人の家にはたくさんの子どもたちが「凧を作って」と、やってきます。それが自分のおじさんだと、その子どもの何と自慢気なこと! その「ドヤ顔」を見ると、思わず微笑んでしまいます。

カノア保育園や学童教室でも、凧作りを行います。村の凧作り自慢を招待し、子どもと一緒に作るのです。まだ凧作りをする日が決まっていなかったある日、1人の男の子が言いました。

「いつもと違う材料で、凧作りをしてみたい」
「何を使うの?」
「レジ袋!!」

確かに、レジ袋に紐をつけるだけで、凧のように飛ばすことができそうです。その話を他の子どもたちにしてみると、

「やったぁ~!!」

と大喜び。
風の季節がやってきて、子どもたちは、凧作りが待ち遠しくて仕方がなかったのです。
 
レジ袋で凧揚げをする子どもたち

そして、子どもたちは家からそれぞれレジ袋を持ってきました。白、透明、緑、グレーなど、さまざまな色のレジ袋があります。そして、レジ袋の厚みには差があることが分かりました。

「僕の凧が一番軽いから高くあがるよ!!」

そう言っていた男の子。しかし残念ながら、その子の持ってきたレジ袋は、紐をつけるときにはすでに破けてしまっており、飛ばそうとしても上手くあげることはできませんでした。

今年も風の季節がやってきます。家を自由に出ることができない今年。それでも、子どもたちは庭先から凧をあげるでしょう。どんな凧を作り、あげるのでしょうか。

少しでも子どもたちが大好きな風の季節を楽しめますように。


>>みんなで作るカノア保育園<その10>手作りおもちゃの作り方
>>幼児クラスの「オンライン授業」は受け入れられるか?
 
『ブラジル 天使が舞い降りる村のカノア保育園』
鈴木真由美(著)
発刊:2020年8月20日
「ブラジル 天使が舞い降りる村のカノア保育園」の書影
ブラジル北東部、世界的観光地のカノア・ケブラーダに隣接する貧しい漁村エステーヴァン村。
麻薬と売春の渦巻く環境の中で暮らす子どもたち。
親たちから託された願い。
それは“村に保育園を作る”ことだった。
「子どもたちに、これからの社会で生きていけるだけの力を」

サンパウロのファベーラ(スラム街)の保育園を経てエステーヴァン村にやってきた著者。
親たちの願いを受け村人たちと共に保育園作りに奮闘し、村が「未来に夢を持てるようになった」と言えるまでの道のり20年を、子どもたちのエピソードとフルカラー写真で鮮やかに描く。

>>本の紹介はこちら
鈴木真由美

この記事を書いた人

鈴木真由美

保育士。ブラジル・カノア保育園 園長。2000年にブラジル北東部にある漁村カノアに渡り保育園の運営を始める。2006年にカノアでの支援を目的にした「光の子どもたちの会」を設立(2015年にNPO法人となる)。現地の地域力向上を目指して活動中。2児の母。
<光の子どもたちの会HP>
http://criancasdeluz.org/quem_somos_nos/quem_somos_jp.html

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