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コロナ禍のリモート授業で見えてきた問題【カノア保育園の生活】

アルファベットを見せる子ども
ブラジル・カノア保育園の設立ストーリーと並行して、地元の文化や地元の生活をお伝えする続編です。現在、ブラジルでは感染者数が世界3位、死者数が第2位と極めて深刻な状態が続いています。カノア保育園のある地域にも感染者が出るなど、心配な状況です。そんななか、リモート授業で浮かび上がってきた問題があるようです。
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新型コロナによる死亡者数は世界2位

カノア保育園のあるブラジル・セアラ州では、2021年1月22日現在、新型コロナウイルス感染症による陽性者が1週間で121%増となりました。

1月23日現在、感染者は360,000人を超え、死者は10,320人に。ブラジルは感染者数としては世界第3位ですが、死亡者数をみてみると、世界第2位となっており、極めて深刻な状況が続いています。

例年であれば、年末のクリスマスからカーニバル、そして3~4月にあるイースターの時期まで、国民の祭典が続くブラジル。

特にカーニバルは、世界でも「ブラジルといえばカーニバル」と言われるほど、有名なお祭りです。2021年は2月16日に予定されています。

各地のカーニバル中止が決定

本来であれば、学校や会社も1週間以上の長期休みとなりますが、2021年はいつもと異なります。日本でも有名なリオデジャネイロやサンパウロのカーニバルは中止が決定しており、私たちが活動するセアラ州でも中止が決定しました。

それと同時に、1月が新年度となるブラジルですが、2021年度はカーニバル休暇明けの2月22日に新年度が開始されると発表されました。

さらにカノア保育園のあるアラカチ市では、昨年度に引き続き2021年度も、リモート授業となることが決定しました。


リモート授業の成果

2020年度から始めたリモート授業。

特に5歳児クラスは、次年度に小学校への入学が控えています。そこで、他の学年とは異なる体制をとりながら個別授業を実施するなど、担任と共に工夫しながら活動してきました。

2020年11月末には5歳児クラスの保護者との面談をオンラインで実施し、状況を確認しました。初めてのリモート授業にも関わらず、子どもたちの成長は著しく、小学校入学に対して課題があると指摘した児童は2名にとどまりました。
アルファベットを見せる子ども

リモートでも、何とかうまく乗り切った!」と思っていた5歳児クラス。

翌月、例年であればクリスマス会を持って年度が終了となるのですが、その実施ができなかったため、保護者を招き、次年度の説明とクリスマスプレゼントの受け渡しを行いました。

その際、5歳児クラスの児童は親と共に来てもらい「小学校入学に向けて学習や社会性など、問題がないかどうか?」など、クラス担任による評価が個別に実施されました。

その直後、日本にいる私にクラス担任から「至急連絡してくれ」とのメッセージが入ったのです。

「いったい何があったのか?」

そう思いながらビデオ通話で連絡をしてみると、青ざめた顔をしたクラス担任が、目に涙を浮かべてこう言ったのです。

「5歳児クラスは、たった1名をのぞいては、何も身についていなかったの…どうしよう。このまま小学校に行かせるなんて。リモート授業は、幼児期の子どもにはやっぱり無理なんだよ…」

初めての試みとして行ったリモート授業。小中学生でも難しいこの方法で、幼児期の子どもを相手に対応することには無理があったのです。

それでも、2021年度も引き続きリモート授業をしなくてはいけません。私たちは、それに対応すべく考える必要があります。幼児期の子どもたちがリモート授業を通じて学びを身につけられるように。

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