「落ちたと思った」実技試験
タケトさんは、実技試験では「言語に関する技術」「造形に関する技術」の受験をされたのですね。あまり自信がなかったそうですが…
僕、まじで落ちたと思いました。言語については、3分間におさまらなかったんですよ。体感1分半くらいでした(笑)。
やっぱりね、「芸人がトークで落ちるわけねえだろ!」と、自信満々だったんです。四谷学院さんの言語対策もあったんですけど、「僕、芸人なのでトークには自信あるので」って言って拒否したんですよ。
3分間におさめられますか? と言われたんですが、芸人のネタって大体3分ネタ、5分ネタ、10分ネタ、って時間が決まっているんです。だから、3分間を見誤るわけねえ! って(笑)。そしたら全然ダメでしたね。
練習では、3分間計っていたのですか?
一応計ったんですが、練習もほぼやってないです。テスト1週間前に1回やってみたら、2分55秒だったんですよ。「あ、やっぱり体感あるんだ」と思って、そこからあまり練習していなかった(笑)。前日はもちろんやったんですけどね。
いざ当日会場に行ったら、ものすごい数の受験者がいて! 急激に「みんなすごいんじゃないか」と思って焦りましたね。でも、逆に「よし、この中で言語をトップで受かってやろう!」って気合い入っちゃいました。
造形のテストが先にあって、言語までは4時間空いたんです。その間も僕は、「いや、芸歴23年あるし、ここで練習するのは違うな。4時間有意義に使おう」と思って、喫茶店に行ってAmazonプライム見てました(笑)。
このときはまだ余裕があるようにも見えますね(笑)。
『桃太郎』を選んでいたので、おじいちゃん・おばあちゃん・桃太郎・犬・サル・キジって全部声の色変えて、落語みたいに上下(かみしも)分けて話して、残りの30分で練習しました。
それで本番。犬・サル・キジを見つけて鬼ヶ島に行ったところで3分のタイマー鳴っちゃいました…。
これから、というところですね…。どう対応したのですか?
それで、最後に一言決めてきたんですよ。「お二人笑いましたよね? こんな楽しい保育士さんがいたらどう思いますか? ありがとうございました」って(笑)。
でも、後で四谷学院さんのテキスト見たら、終わったら立って「ありがとうございました」って挨拶をしてドアを開けて、最後に会釈をして…ってやるんですよね。
不安過ぎて終わってから、受験者の人の話をインターネットでめちゃくちゃ調べたんですよ。そしたらみんな、「続きはまた今度」とか言って時間オーバーに見せないようにするんですね…。僕は時間オーバーまでして、面接官の方にツッコミ入れて、最後に失礼なこと言って出てきてしまって、絶対落ちたと思いました。
でも、結果を見たら50点中41点! 8割以上取ってたんです。時間内に入ってたら満点じゃないの(笑)⁉
なかなかない展開ですね(笑)。でも、試験の雰囲気は結構怖くなかったですか?
でも、僕もそうですけど、皆さん自意識過剰にならない方がいいです! だって、1日に何千人とか見ているわけじゃないですか。ちょっと下手をしてしまったところで問題ないと、僕は思うんですよ。だから、面接官をそんなに意識しすぎないでいいと思います。
その後面接官の人が飲みに行って、「あの620番目のあの子、すごい照れて顔真っ赤だったよね~」とか言わないですよ(笑)。
造形の問題文を、読み解きすぎる⁉
造形はいかがでしたか?
造形も落ちたと思いましたね。完成はしたんですけど、本当に時間ギリギリで。しかも色鉛筆を尖らせて行っちゃったんですよ。1本1本「受かるぞ」って想いを込めながら。評価には色を塗ることも含まれているから、早く塗ることも大事なんですよね。尖っていると折れたり、塗る範囲が少なくなっちゃう!
タケトさんの受験したテーマは何でしたか?
確か、「3歳の子ども3人が、好きな動物を粘土で作っているところを保育士さんが見ている」だったかな。でも僕、やっぱり芸人だから言葉にはこだわっちゃうの。問題文がすごく気になって…。
「3歳児の好きな動物?」「手の器用さからしてどのくらい表現できるんだろう」って。動物がうまく出来すぎていたら、「あ、これ3歳児の絵じゃないじゃん」ってなるけど、動物って分からせなきゃいけないじゃないですか。それが分からなくて。
しかも、粘土の色をカラフルに塗っちゃったんですよ。それも、「あれ、カラフル粘土あるよな? でもそれって最近の物だから、もしこれを評価するのがおじいちゃんおばあちゃんだったら、カラフル粘土知ってるかな?」って不安になりました。
でも、これも31点で合格。30点以上だからギリギリ!絵の必勝方法は…ごめんなさい、ないです(笑)。
細かく文章を読み解いていますね(笑)。でも、それは意外と大事なポイントかもしれませんね。そこが評価対象になっているかもしれません!
どのお題にも当てはまるので、室内ならこれ、園庭ならこれ、って背景も決めていきました。
保育士として、積極的に活動したい
これから保育士を目指す受験者に向けてアドバイスはありますか?
僕も最後の1、2か月は、人生でここまで勉強したことないってくらい勉強しました。中学や高校の「やらされている」勉強とは違って、自分でやると決めたものなので。でも、ここが1番伸びるときだから本気出してほしいです!
あと、演習問題やっていて気付いたのは、「必ず」って書かれているものは大体✕(笑)。オールマイティなものってないから。それに自分で気付くくらい勉強したんだなぁ、と思いましたね。だから、そういう対策がきっと見つかりますよ!
今後は、保育士資格をどのように活かしていきたいですか?
保育士さんの素晴らしさを広められたらいいですよね。僕は結構大学の講義とか講演会に、育児系の話で呼んでいただけることがあるんですが…「大学教授」っていう肩書って、やっぱり説得力あるんですよね(笑)。でも、もう僕も保育士取ったので堂々といけます! 実際に子どもたちと関わってワークショップとかもやってみたいです。
あとは、保育士さんってやっぱり収入が低いなと思うんです。幼児教育無償化とかで保護者支援はしていても、保育士さんの支援ってまだまだ少ないですよね。そこをもっと声に出して言える場所があったら、どんどん発信していきたいです。
ありがとうございます。タケトさんの今後のご活躍に、期待しております!
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お笑いタレント。吉本興業所属。日本人男性で初めてベビーサインパパアドバイザー、ベビーダンスアドバイザーの資格を取得。その他、ベビーマッサージ講師、キッズヨガ&産後ママのソフトヨガ講師、プリネイタル講師、おひるねアート講師、こどもパートナーなど、子育てに関する資格を多数保有。1児の父として日々の育児に活かす傍ら、保護者向けの講演会などの活動も精力的に行っている。
2019年(令和元年)後期保育士試験で合格を果たし保育士資格を取得。